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【BBG】BBGキャンプレポート(前編)|幸田穂奈美

7月7日、昼下がり。清里駅から佐久平駅に電車に揺られる。長野県に入ったあたりで乗車してきたランドセル背負った子たちとお話して自分を少しでも長野に溶け込ませることを試みる。


思っていたより佐久平駅が大きい駅だったこと、白身さんがお迎えに来てくださったこと、辿り着いた場所にあの看板があったこと。何かが始まる予感がした。

1日目はブルーベリー農園の紹介をして頂いたり、アートプロジェクトの話をしたり、まるで私たちは初めましてではないような。居て、話して、心地よさを感じていた。

夕方、ドラム缶風呂に入った。滞在少し前のある日、ドラム缶を用意したので、入るようだったら水着を持ってきてくださいとの連絡を頂いた。ぜひ、と思ってもちろん入る準備をしたのだが、入ってみてこれまた不思議。暗くなった時のためにライトを置いてくださっていたのだが、それが途中からカメラに思えるのだ。ここは私の劇場かもしれない、と見られている意識を持ちながらドラム缶風呂に浸かる。頂いたブルーベリージュースが温まったからだに染みる。


3日間の滞在中に、私なりに「くらし」と「表現」をわかちあうのにテーマにしてみたいことが「食」であった。行き手に入れた野菜を持ち込んで、3日間を共にするスープを作ろうと思う。葉付き人参が手に入って、それを刻んだりUFOズッキーニなるものをなんだこれって力也さんと話しながらとりあえず炒めてみたり、そうだこれを明日のfarmer’s market dialogueで皆さんと食べようと思ったり。滞在初日はそんな感じで終えた。

2日目は摘み取りワークショップにいらっしゃった2組のご家族と交流。お話がとっても盛り上がるし、途中で雨が降ってきたときにみんなの傘をさすその姿は、きっといわさきちひろがスケッチしたくなるであろう光景だった。みんながお腹いっぱいになったところでかくれんぼをして遊ぶんだけど、おにを決める方法が「グッとパーで分かれましょ」であることに驚いた。これは長野の文化か?そしてかくれんぼがとても面白くて、劇場であることも相まって脚本をひとつ書けそうな気がした。(後日談:『あの日のかくれんぼ』として地元の文芸誌に寄稿しました)

ちょっぴりご家族とのお別れが寂しかったけど直売所には日中色々な方が出入りして、出会いと別れの場所なのだと気が付く。曇り空と相談しながら今だ!と少し近隣の散策に自転車をお借りする。近所の神社やパン屋や直売所、そして辿り着いた〈こもろミズオオバコビオトープ〉ここでのことをことばにしていたので公開してしまおう。

一歩進めばかえるが跳ねる
もひとつ進めばミツバチも一緒
肩にとまるはフタホシテントウ
そうか、昨日織姫と彦星は会えたのだなと知る

ふっとこころの落ち着く、そんな散策を楽しんだ。

夜はfarmer’s market dialogue、昨日のスープを「わかちあいたいスープ」と名付け皆さんと食べる。食卓って感じがやはり心地よかった。さっとんの星読み込みのそれぞれの自己紹介、「皆が知らないであろう内容」込みの自己紹介、長さもそれぞれの自己紹介、自己紹介がこんなに面白いことが初めてだった。

そして私自身が追求していた「畑する」ということから発酵というキーワードが出てきて、では発酵と腐敗の違いは何かというと、結果と有害か否かということだと知った。なるほど、発酵を促す菌でありたいと思うのであった。というか、私は菌なのだと胸を張って生きていこうと決意した。

後編に続く

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