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サイゼリヤフードファイト 2023秋冬環境考察

はじめに

本記事では、先日発表されたサイゼリヤ秋の新メニュー改訂に基づき、サイゼリアフードファイト(以下、「SFF)」の環境考察と構築指針についての私見をまとめていきます。
また、昨今の新規プレイヤー参入増加傾向を鑑み、ビギナーの方向けにSFFの歴史と変遷を併せてまとめました。環境考察をご理解いただく上での一助になれば幸いです。


歴史と変遷

本章ではSFFの歴史と変遷について簡単に説明していきます。SFFがどのようにして現代に至るのかを知っていただくことで、次章以降の環境考察が理解しやすくなる部分もあるかと思いますので、ビギナーの方は是非ご一読ください。
なお、ビギナー向けの内容になりますので、既存プレイヤーの方は本章は飛ばしていただいて問題ありません。

黎明期(2000年代末)

ルールが明確でなく、とにかく1円でも高く注文できた人が勝ちという時代です。
その為、環境トップ層の勝負は専ら「単価が高いボトルワインを如何に多く空けるか」であり、この時代のサイゼリヤフードファイトは「肝臓ゲー」と評されていました。
同時に、このアルコール至上主義を非紳士的だと批判するプレイヤーも現れ、トップランカー層との間で対立が激化、様々な論争が巻き起こりました。なお、勝敗に拘らず自己表現やゲーム性を優先するティミー・ジョニープレイヤーを揶揄する「ゼリカス」と言う言葉は既にこの時代からあったと言われています。

ワインをあおる当時のトップランカー達の表情は明るい

流行期(2010年代前半)

黎明期の様々な議論をもとに、ゲーム性を重視したルール作りが試みられた時代です。
この時代に開発されたルールは「楽しく遊ぶため」の最低限の枠組みであり、プレイヤーはその枠の中で自由に楽しんでいました。ルールの浸透に伴いアルコール至上主義者は徐々に減少し、安価なフードメニューを純粋に楽しむ層が増えました。その結果、プレイヤーは爆発的に増加、全国でSFFが盛んに行われました。
現在も競技環境で主流となっている「1リミット」はこの時代に生まれたものです。

思い思いに楽しむプレイヤー達は自由の象徴であった

反動期(2010年代中盤)

プレイヤー増加に伴い思想や派閥が複雑化し、プレイヤー離れが深刻となった冬の時代です。
流行期の急激なプレイヤー増加は様々なコミュニティを生み、それぞれの中でローカルルールが醸成されていきました。その結果、認識や価値観の相違による衝突や議論が全国で勃発していきます。
特に、結果・記録を重視するトーナメント層と自己表現を重視するカジュアル層対立は激化の一途を辿り、当時のSNSでは争いが絶えませんでした。この陰には、対立を煽る自称インフルエンサーの台頭があったと言われています。
この無益な闘争に辟易したプレイヤーは徐々に環境から離れていき、一時期は「プレイヤーは絶滅し、エアプだけが残った」とまで言われる事態になりました。

論争ではなく相撲で決着をつけようとするプレイヤー達

回復期(2010年後半)

冬の時代を耐え忍び、再起のために奮闘した、フォーマット作りの時代です。
人口減少を憂いた一部のプレイヤーたちは、万人が気軽に楽しめるゲーム作りを再び目指し、多様性を受け入れるための仕組みづくりを始めました。
その結果生まれたのが、プレイスタイルごとに区分されたフォーマットであり、これにより各プレイヤーは自分の嗜好にあったプレイ体験を暗黙のルールに頼ることなく楽しめるようになりました。
地盤整備は次第に実を結び、プレイ人口は徐々に回復しました。

建設的な議論が夜通し行われた

安定期(現在)

多様性を受け入れ、誰もが楽しめるようになった時代です。
回復期を経てプレイヤー層は更に厚くなり、プレイスタイルは多様に進化しています。マルチプレイは、これまでの「孤独な戦い」という殺伐とした競技イメージを払拭し、手軽に楽しめるゲームとして若年層を中心に浸透しつつあります。また、インフルエンサーによるSFFの発信も活発化し、新たなプレイヤー層の獲得にも繋がっています。
時代は変遷し、SFFはかつての「一部の選ばれたプレイヤーが挑む競技」から「誰もが楽しめるゲーム」へと進化を遂げようとしています。

そして、サイゼリヤには再び賑わいが戻っていった


2023 春夏環境の振り返り

本章では、構築戦における前期環境を簡単に振り返っていきます。
2023年春環境はグッドスタッフが大半を占める形でスタートしました。良くも悪くも安定した、変わり映えのない光景です。
ここに一石を投じたのが、7/12のメニュー改訂です。「小エビのカクテル」「鳥ささみの香味ソース」の登場に加え「ほうれん草のソテー」が復活。前菜メニューが充実したことで、【前菜アグロ】が一気に上位層に駆け上がりました。生ハムを失ってから冬の時代が続いていた【前菜アグロ】は、適度にミッドレンジ帯のメニューを取り込みながら着実にシェアを伸ばしていきます。
また、ドリアメニューに「焼チーズ ミラノ風ドリア」「タラコとエビのドリア」が追加されたことで、長らくファンデッキと位置付けられていた【鉄板単】も実践級になり、全国各地で地雷として恐れられるようになります。
忘れてはいけないのが、粉チーズの無料提供終了です。これは、各地で議論を巻き起こした「追いチーズは害悪プレイか否か」に対する公式からの言葉無き通達であると個人的には捉えています。

直近の大型大会での構築分布


2023.10メニュー改定の振り返り

2023年10月上旬、サイゼリヤ本部からメニュー改訂が発表されました。
今回も価格変更はなく、3つのメニュー変更のみでした。大きなテコ入れがないことは環境が安定している証左であり、本部陣営のバランス感覚と弛まぬ努力には常々頭が上がりません。
今回のメニュー変更は殆どのプレイヤーに追い風となるものであり、多くのプレイヤーにとっては更なる記録更新が期待できるでしょう。

生ハムの復活

間違い無く今回最大のニュースです。
生ハム(税込320円)は価格レシオが非常に優秀であり、ほとんどのフォーマット・構築での活躍が期待できます。
脂質糖質は少ない一方で塩分は高い為、チェイサーとしての役割を持たせることで様々なメニューとのシナジーが期待できます。特に、【ほぼデザ】においては甘味と喧嘩せずにリフレッシュできる最軽量級メニューである為、プレイタイミングによっては構築のポテンシャルを大きく引き上げることになるでしょう。
ただし、強烈な塩味はゲーム終盤ではテンポを大きく狂わせるリスクもある為、ビギナーの方々は過信せず序盤に消費してしまうと良いでしょう。

全プレイヤー待望の復活に各地で歓喜の声が上がった

ステーキからラムグリルへの変更

リブステーキ(税込1000円)が廃止され、入れ替わる形でラムと野菜のグリル(税込870円)が実装されました。
最高価格メニューとして長く君臨してきたリブステーキの突然の訃報は、多くの古参プレイヤーにとって衝撃的なニュースでした。特に、フリーフォールのプレイヤーにとっては、1品目として長年付き合ってきた象徴的メニューであり、ショックのあまり引退を宣言するプレイヤーも出ています。なお、新メニューのラムと野菜のグリルが最高価格メニューを引き継ぐ形になります。
リブステーキは高価格であるものの、カッティングや顎の酷使による疲労蓄積が重いため実際は価格レシオの悪いメニューであり、価格に釣られた多くのビギナーに苦汁を飲ませたことから「ビギナーキラー」とも呼ばれています。その為、ミートメニューではハンバーグよりも優先度を下げるプレイヤーが大半であり、【ロカボ】での採用が中心でした。

リブステーキを惜しむ声は必ず本部にも届いている

一方、新メニューのラムはカット済みであり肉質も比較的柔らかいことから疲労蓄積要素が軽減された可能性が高いです。また、プレートの半分が野菜である為、リブステーキに比べて全体的にかなり軽いメニューになっています。ただし、価格も13%減となる為、価格レシオの単純な改善とはなっていません。個人的な評価としては、リブステーキよりも価格レシオが優れていると判断しています。

新メニューのラムは今後の活躍が期待される

モッツァレラの改定

バッファローモッツァレラ(税込300円)が廃止され、入れ替わる形でモッツァレラトマト(税込280円)が実装されました。
モッツァレラ3個入りだった旧メニューに対し、新メニューはモッツァレラ2個にカットトマトという形になっています。
この改訂については意見が分かれるところであり、トマトを忌避するプレイヤーやチーズ至上主義者からは非難の声が上がる一方で、濃厚なモッツァレラとさっぱりしたトマトの組み合わせを喜ぶ声も出ています。
個人的には、生トマトが苦手な為に採用を回避したいメニューですが、あっさり爽やかなモッツァレラを手放すことへの抵抗も強く、苦心しています。

絶大な人気を博していたバッファローモッツァレラ
新メニューのモッツァレラトマトの動向や如何に


2023 秋冬環境の考察

本章では各フォーマットごとの環境考察をしていきます。

カウントアップ・ゼロワン

カウントアップやゼロワンのような構築戦では、ほとんどの構築で生ハムの採用を検討することになるでしょう。中でも、デザート系メニューの甘味を生ハムの塩味で中和できる【ほぼデザ】は大幅な強化です。【前菜アグロ】などの軽量デッキにとっても序盤から繰り出せる手数が増えたことになり、正統強化だと言えます。マルゲリータピザとの往年のコンボは現代でも健在であり、今後の活躍が期待できます。

クリケット

前菜メニューに生ハムが追加されたことで、前菜エリアの奪い合いが激化することが予想されます。
肉メニューの変更については、リブステーキが元々人気の最も低いメニューであったこと、肉エリアは7品あることから、影響は軽微と予想されます。

ドラフト

生ハムをどの段階で拾いに行くかの駆け引きが非常に難しく、その結果として序盤のピックの定石が大きく見直されそうです。
詳細な考察については別記事にてまとめる予定です。

ルーレット

ドボンメニューとされていたリブステーキがラムと野菜のソテーへと軽量化されたことで運要素が軽減され、プレイヤーの実力が顕著に現れることになりそうです。一方で、パーティゲームとして楽しんでいたプレイヤー層からは不安の声も上がっています。

AtoZ

最重量級メニューのリブステーキがラムと野菜のソテーに変更されたことで、記録を伸ばすプレイヤーがいる一方で調整に苦戦するプレイヤーも続出するでしょう。中でも、フリーフォール形式への影響は多大であり、ジャンプ台となる1品目の変更は長年の肉体改造を経た古参プレイヤーほど適応に時間がかかるかもしれません。

2023 秋冬環境の構築指針

本章では、新環境のゼロワンフォーマットでの私の構築を紹介させていただきます。構築指針の検討材料になると幸いです。
フォーマットはゼロワンの8k、採用ルールはノンドリ・ノンダブ・ワンリミットです。

構築

第一サイクル ¥1600
AA05 ¥400 エスカルゴのオーブン焼き
DG07 ¥400 エビクリームグラタン
MT18 ¥550 チョリソーとハンバーグの盛り合わせ
DE05 ¥250 イタリアンジェラート

第一サイクルのメニュー

第二サイクル ¥1330
AA08 ¥280 蒸し鶏の香味ソース
AA02 ¥400 アロスティチーニ
AA10 ¥400 ムール貝のガーリック焼き
DE06 ¥250 イタリアンプリン

第二サイクルのメニュー

第三サイクル ¥1800
AA06 ¥280 小エビのカクテル
AA04 ¥300 ポップコーンシュリンプ
MT13 ¥870 ラムと野菜のソテー
DE15 ¥350 コーヒーゼリー&イタリアンジェラート

第三サイクルのメニュー

第四サイクル ¥1330
AA01 ¥300 辛味チキン
AA07 ¥400 チョリソー
AA14 ¥280 モッツァレラトマト
DE13 ¥350 トリフアイスクリーム

第四サイクルのメニュー



第五サイクル ¥2000
AA22 ¥320 生ハム
AA15 ¥280 カリッとポテト
DE01 ¥300 ティラミスクラシコ
DE04 ¥450 ジェラート&シナモンプチフォッカ
DE07 ¥300 チョコレートケーキ
DE25 ¥350 シチリア産ピスタチオのジェラート

第五サイクルのメニュー

合計 ¥8060


ゲームプラン

ベースプランには「輪廻転生」を採用しており、今回は5サイクルで構成しています。
第一サイクルはオーソドックスなフルコースメニューを意識しつつ、クリームグラタンやチョリソーといった比較的重めのメニューを序盤で消費していきます。また、提供時間にムラが出やすい鉄板系メニューをここで頼んでおくことでテンポロスのリスクを軽減しつつ、熱々メニューを冷ます時間の余裕が持てます。
第二サイクルは前菜中心の軽めな構築にすることで、第一サイクルとの緩急をつけていきます。
第三サイクルでは勢いをつけにいきます。新メニューであるラムと野菜のグリルをメインに据え、前菜はエビで固めます。デザートには1サイクル空けて再度ジェラートを投入。コーヒーゼリーはクラッシュされているため、喉越しの良いドリンクです。
第四サイクルは肉系前菜で固め、次の最終サイクルに向けて一気に駆け上がります。このタイミングでのモッツァレラ投入に違和感を抱く方もいるかと思います。しかし、今回のメニュー改定でモッツァレラにフレッシュトマトが付与されたことで、オイリーメニューの緩衝材としての役割を持てるようになったと判断し、辛味チキンおよびチョリソーと組み合わせています。
第五サイクルは、輪廻転生の定石を捨ててデザートを中心に構成し、「デザコン」の追加点を獲得しにいきます。ここで、温存していた生ハムを投入することで、終盤の甘味責めの逃げ口としての役割を狙います。また、カリッとポテトの程よい塩味と温かさを生かすことで、アイス系メニュー連打による内臓ダメージの軽減を期待します。

本構築におけるゲームプラン

最後に

いかがでしたでしょうか。
SFFにはプレイヤーの数だけ楽しみ方と捉え方があると思います。この記事が皆様のSFFに新たな刺激になれば幸いです。
それでは皆様、よきSFFライフを!


出典

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