インターネット「ラジオ局」を作る
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インターネット「ラジオ局」を作る

 そんな依頼や問い合わせが多くなってきた。Clubhouseは失敗だったが、明確に「音声配信」への注目が高まっているのだろう。たしかにYouTubeを始めとしたライブ配信は「映像ありき」な世界ではあるので、ちゃんとやるには少々敷居が高い。そこで「音声だけ」ならある程度敷居が下がるとの判断があるのかもしれない。
 ここでは、足立区民放送で導入しているシステムをご紹介するので、システム構築の参考にしていただきたい。
(※この記事は有料となっていますが本文はすべて読むことができます。)

■手っ取り早く聞いてみたい方向け

下記URLで実際に稼働している音声をお聞き頂けます。
〔ごたんのラジオ〕
http://gotanno.love:8000/;
〔RadioDJ演奏デモ〕
https://www.youtube.com/watch?v=5C4NWvuXWDU
なお、ごたんのラジオでは、毎週土曜22時から私が喋ってます(宣伝)。RadioDJ演奏デモは、YouTubeでRadioDJの動作画面を同時にご確認いただけます。

■足立区民放送の音声配信システム

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 足立区民放送では、「ごたんのラジオ」と称した「ミニFM放送局」と「ネットラジオ局」を運用している。平時は音楽放送であるが、スタジオでの生放送などの際はごたんのラジオにも同時放送を実施している。つまり、一般的な放送局と同じように、録音された音声とスタジオの生放送音声を切り替えながら一元的に放送を可能にしているのがウチのシステム。

【システム諸元】
・送出PC Interl NUC (Core i3、RAM 8GB、SSD 120GB)、Windows10
・オーディオIF ESI MAYA22USB
・放送運行アプリ RadioDJ2
・エンコーダー BUTT
・NDI出力 vMix


■送出PC、オーディオIF

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 これまでASUSのノートPCを採用していたのだが、発熱の問題とメモリ不足の問題があったため、今般入れ替えることとした。また当初はWindows Serverでの運用も検討したが、デバイスドライバーの問題で音声入力に対応できなかったため、Windows10での運用とした。

 ここにRealVNCをインストールし、遠隔での操作を実現している。なお、WindowsであればRemote Desktop(RDP)があるではないか、との意見も聞かれるが、RDPで接続するとオーディオIFの設定が崩れてしまうので、音声を扱う環境ではかなり困ったことになる。またRealVNCはクラウド経由で接続可能なため、遠隔地からの接続も可能となる。

 オーディオIFのMAYA44USBは、DirectWireという機能により、物理端子と仮想端子をソフトウェアでワイヤリングできる機能がある。今回はこのDirectWireがどうしても利用したかったため、Windows Serverでの運用は諦めた経緯がある(もちろん、他のIFであればWindows Serverでも動作可能なものはあると思われる)。

■RadioDJ

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 放送局で言うところの自動放送運行装置(APS)に相当するのがこのアプリである。一般的には「ラジオ・オートメーション」と呼ばれており、国内で出回っている製品の中ではSCA社のDADがそれに近い(DADはもともとラジオ・オートメーションである)。

 RadioDJは、基本的には登録されている音源を自動、またはスケジュール登録された条件に従って再生していくもので、例として以下のような機能を持っている。

・MANUAL
 選曲表から自ら楽曲を検索して再生していく。一般的な「オーディオ・デリバリー」と呼ばれるシステムと同様。

・AUTODJ
 予め決められた条件にしたがってランダムに選曲し、自動的に再生を続ける。この際、同一楽曲や同一アーティストの再選択をしない時間を決めることができるため、同じ曲やアーティストが短時間で何度も出現することを防ぐことができる。

・SCHEDULE
 事前に動作をスケジュールしておくことができ、たとえばオンタイム送出のCM等はこの機能を利用して放送することができる。

 さらに、RadioDJには「INPUT」というモードがあり、これは接続されているサウンドIFに入力された音声を送出することができる。本来マイクなどを想定しているもので、INPUTを有効にすると、サウンドIFのライン入力(またはマイク入力)がONになり、同時新今演奏されている楽曲にディマーがかかるようになっている。ただし、環境によっては遅延が大きいため、コレをモニターしながらしゃべるのは相当難しいと思われる。足立区民放送ではこの機能をSCHEDULEと組み合わせ、生放送の時間が到来した際、楽曲の演奏を止め、スタジオの音声を放送するよう設定している。

■BUTT

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 BUTTはmp3やaacを利用したICY(Shoutcast/Icecast)形式の音声ストリーミングを行うもので、足立区民放送では自社サーバとFC2ねとらじの双方に送出しているため、2つのインスタンスを立ち上げている。

 本来BUTTは接続されているオーディオインターフェースに入力された音声をエンコードする。しかし、足立区民放送ではRadioDJから送出される音声を配信したいので、この仕様のままだといささか不具合がでる。このため、MAYA22USBのドライバーに搭載されているDirectWireを利用することになる。

■DirectWire

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 ESI社製のオーディオインターフェースには、DirectWireというパッチシステムが付属している。弊社で採用しているMAYA22USBは、2つの物理端子(ステレオ)の他に、4つの仮想端子を持っている。物理端子(INPUT 1-2)から録音し、物理端子(OUT1-2)で再生するのであれば設定は不要ではあるが、仮想端子を利用する場合は、DirectWireを利用してそれぞれのINとOUTを接続してやる必要がある。

 今回の環境では、RadioDJとBUTTは同じPCで動作しているので、同じオーディオIFのINとOUTを物理的に接続すれば解決ではあるが、残念ながら弊社ではINPUT1-2にスタジオのミキサーが接続されているためこの方法が使えない。そこでDirectWireの登場となる。

 まず、RadioDJの出力をVirtual3-4に指定する。続いてBUTTの入力サウンドIFをVirtual3-4に指定する。ただしこの状態では、MAYA22USB内部ではVirtual3-4のINとOUTが接続されていないので、DirectWireでそれぞれの端子を接続する。こうすることで、RadioDJの音声を、オーディオインターフェースの仮想端子を経由してBUTTに渡すことができた。

■vMix

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 vMixはビデオミキサーではあるが、NDIという便利な機能を持っている。このNDI、ネットワーク経由で映像や音声を低遅延で伝送するプロトコルで、同一LAN内であれば0.1秒未満の遅延での伝送が可能である。そしてvMixには、その伝送機能が標準で搭載されている。この機能を常時有効にしてバックグラウンドで機能させることにより、遠隔地への音声伝送を実施している。

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 受信側ではvMixの他に、NDIの開発元であるNewTek社が提供しているツールキットを使っても受信できる。(上図参照)また、vMixの受信機能を利用すると、「Audio Only」モードがあるためネットワークへの負荷がかなり下がる。とくにVPNで外部から接続して利用する場合はvMixで受信することをおすすめする。

■ソフトはここまで全部無料で揃う

 そして驚くべき事実として、ここまで紹介したソフトウェアはすべて無料で公開されており、すでにハードウェアがあるのであれば追加費用はかからないという点が大きい。DirectWireは残念ながら(?)MAYA22USB(ほかESI社製オーディオIF)を購入しなければ導入できないが、Voicemeeterというアプリを利用すれば同様の機能を実現できる。

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 そして、弊社ではこれらの導入一切のコンサルティングをご提供中。オンサイトでもリモートでもお手伝いできますのでぜひお問い合わせ下さい。(最後は宣伝!)

またご導入のご相談は下記までメールでどうぞ。
info@stcat.com

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みやざきまさや

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放送系・IT系フリーランス。ネット配信とか番組制作とかネットワーク活用について幅広く。