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Project DIVAに出会って10年を迎えて

こんにちは。先日、「一切の前情報もなく存在を知って手に取りそのままコンテンツにガッツリハマった体験」について記事を書いたりしておりました。
今回はそんな、私がはまった沼のひとつを語ろうと思います。


新しい出会いへの渇望

2012年3月。とあるやらかしでPSPを失った私はPS Vitaを手に入れた。
ロンチタイトルなどを触りはしたものの、Vitaならでは、というわけでもない。私は新しいゲームを求めていた。

そんな折、ニコニコ動画を眺めていると、偶然一つのPVに辿り着いた。

それがPlaystation VITA専用ソフト、「初音ミク -Project DIVA- f」である。

この当時の私はまだ「VOCALOID」という概念をおぼろげながらしか理解しておらず、「友達や先輩がカラオケで歌っていたっけ」程度の認識しかなかった。
しかし、当時のVitaソフトとしてはかなり美麗なムービーであり、惹きつけるには十分な魅力を何故か感じた。

一方、リズムゲームは「パラッパラッパー」「ブラボーミュージック」「けいおん!放課後ライブ」程度のプレイ経験しかなく、
大真面目なリズムゲームはアーケード含めほぼ触れてこなかった。
音楽だってクラシックは好きだけれどエレクトロサウンドやポップスにさほど思い入れはなかった。

ルーツもないのに惹かれたのは何故なのだろうか?まずはジャンルを理解しないと始まらないことは確か。
そもそも私自身にVOCALOIDの楽曲に耐性があるかわからない。「ボカロ耳」なる概念があるほど向き不向きがあるなんて言われていた界隈でもある。(今は人間の肉声に近しい受け取り方もできるソフトは増えてきている)

そこで私は、購入と前後して同じくニコニコ動画でランキングにある曲から適当なものをピックアップすることにした。

今振り返ると、我ながらこの嗅覚はすごかった。
MVも歌詞に沿ったストーリー仕立てで伝わりやすいものであったが、その声色も合わさったうえで私は涙を流した。心を動かされた。
このたった2曲だけで、私はすべてを悟った。
VOCALOIDを用いて作られた音楽の良さを自らの中に認めた。

これが決定打となり、私は「初音ミク -Project DIVA- f」をプレイすることになる。

なお、結局ハマるに至る理由は何だったのか、今もわからないままである。

譜面エディットという沼

購入後、即日でHARD譜面走破、ひと月もしないうちに、譜面エディットという存在を認知、作成するようになる。
音源の確保法を調べ、譜面の法則を理解していき、他人様のエディット譜面を触り、気づけばエディットをアップロードしていた。

▲エディットデータを専用アップローダーに投稿した際に取得できるトロフィー。
わかりやすいエディターデビューの証

なお、はじめての譜面エディットに選んだのは、まさかのコレである。

いきなり暴走Pの楽曲かつ大曲である。
当時の私は何を考えていたのだろうか。
(なお数度リメイクしF2nd版も公開したりした)

ひっそりとアップロードしていたこともあり、自作譜面の良し悪しなど知ることもなく、この後10カ月ほど独学でひっそりと譜面を作り続けた。

そのうち、PS3版「初音ミク -Project DIVA- F」が発売されたことで動画キャプチャの難易度が大きく下がり、それにともないニコニコ動画上でのユーザー間コラボ企画も盛り上がりだした。
そんな中、私は某エディットスレを訪れ、私は36作目の作品に関して、動画キャプチャの依頼をすることになる。

2013年7月。初めて自身のアカウントでエディット動画を投稿した。

だからどうして初っ端がミュージカルなんだ。
人にキャプチャを頼む分際でもうちょっと考えはなかったのか過去の私。

楽曲時間12分。BPM変化だらけ。
譜面の難易度はトップクラスなのは間違いない。初投稿にはインパクトを。
そういう思考も確かに根底にはあった。
しかしそれ以上にこの曲を私が好きだった。作るのはその程度のきっかけで十分である。

当時こんな特殊な譜面のキャプチャを引き受けてくれた方には感謝してもしきれない。思うところは絶対あっただろう…
(この当時の罪悪感は非常に大きく、わずか2カ月でキャプチャボードを購入、自前で動画をこさえる環境を用意するに至る)

ともかくこの譜面を引っ提げて、私はコラボ企画「もっとなかよし!PV&譜面エディット両立企画」に殴り込みをかけた。

私としては、名も顔も知らぬコミュニティに突撃するのは人生でも初めての経験であった。
このコラボをきっかけにいくつかの縁へと拡張していくことになり、知り合いも増えた。多少は世界も変わって見えるようになったと覚えている。

この時のコラボで作らせていただいた譜面が『Mind Scientist』である。
この当時から難易度差分を作るようになっていた。

「f/F」時代の自作エディットの譜面は今見返すと粗さしか見えなくて辛いところもあり、成長を感じることもできたりする。

ほどなくして曲がりなりにも自作エディットPVの製作にもトライしていく。

これは先ほど挙げた、私の出会いの一曲での初PVエディット。
曲の解釈しやすさと思い入れがPVを作らせるエネルギーを与えていた。

これらの作品は1ヶ月もしないうちに立て続けに表に出した。
まわりの環境も変わっていって、より積極的にエディットに触れたい気持ちが高まっていく。
こうして、私はDIVA譜面エディターとしてひっそり活動していくのであった。

また、この時期からアーケードの「Project DIVA Arcade」や旧作の「ドリーミーシアター」シリーズでVITA系統以外でしか触れられない譜面も遊んだ。

F2ndという一つの契機

最終的に、「初音ミク -Project DIVA- f/F」では56曲ほどに譜面をつけた。
この頃までは、動画を漁り、好きな曲に気ままに譜面をつける、ということを繰り返していた。

続編といえる「初音ミク -Project DIVA- F2nd」が発売された2014年。
エディット作成に関連する大きな変化が2つあった。

  • グレーゾーンでありながら同一の音源を入手可能だった手法が消滅した

エディターの間で、環境ごとの楽曲再生タイミングの個人差を減らすために用いられていたサイトがあったが、この頃消滅したのだ。
この影響で自由な楽曲選択はしづらくなり、モチベーションが下がったものも当然いただろう。

  • piaproとの連携機能が搭載され、条件を満たした楽曲は音源をそのままDL、借用できる

こちらは私にとって非常にモチベーションを上げる出来事であった。
なぜなら、譜面エディットを作成・プレイする者にとって、
「完全に同一の音源である」ということは重要であり、
プレイヤーへの手間を減らすためのキーポイントであるためである。
特に譜面エディターとしては、多くの人が遊べる、触れやすい譜面を作る方が良いに決まっているのでpiapro連携機能の存在は絶大だった。

『colorful』はpiapro連携機能で楽曲を借りた最初期の例。プラットフォームが変わると自分の琴線に触れる楽曲を探すのもなかなか大変。けれどそれもまた楽しみ方の一つとなった。

以後わたしはほとんどの譜面作成において、piapro連携機能で楽曲が入手できるものを中心としていくことになる。

そうはいっても好きな曲で譜面を作りたいという気持ちは残っており、
実プレイではCD音源を利用する前提で動画投稿したものもあった。
『Good Morning, Polar Night』はその例。当時は個人サイトから音源がフリーダウンロードとなっていたが、今はCD音源でないと遊べない。

わたしのスタンス

ここで、私のスタンスを改めて思い返すことにする。
大前提にあったのは、「Project DIVAシリーズのスタッフが作成した譜面スタイルを踏襲する」というもの。
いわゆる公式譜面に近い譜面づくりである。

例えば、PVがある譜面に対して譜面に顔が被らないように心がけるのも、公式譜面のスタンス。
これはいつかの動画のコメントで指摘を挙げられて以降、自作エディットでも常に意識していることである。

『Cardiophagia』は一度「F」でのコラボ作品を「F2nd」で譜面リメイクしたもの。このあたりで私のこだわり飛来が形を成しつつある。

今だから言ってしまうと、「顔のドアップはやめてくれ!」と思ったことは少なくない。なんなら先日もそう思う機会があった。
とはいえそれで引き下がっては譜面エディターの名折れである。飛来と配置を工夫し、PVを損ねず叩きやすい譜面を作ればいいだけである。
こういったパズル的な取り組みは非常にやりがいを与えてくれ、マンネリになりがちな譜面の配置にブレイクスルーをくれるときもあった。

工夫の印象が強いものだと『夢見ることり』のコラボエディットが挙げられる。チャンスタイム成功の大星の居場所に迷ったが、「敢えて口づけを隠そう」と思いつき形にした。

一方、公式らしい譜面を心掛けた結果、譜面配置のパターンがマンネリになりがちという欠点も抱えていたことは事実。
「らしさ」になっていたら幸いではあるが、譜面のみのエディットだとどうしても似通いがちなところは気になっていたりする。

しかし、マンネリ化しがちということは、そうなるほどお約束の組み方があるということの裏返しでもある。
それが良い形で表れているとするなら、「譜面制作の速さ」であろう。

こちらは最盛期に行った「セブンノートプロジェクト」。
7曲の譜面を7日で作成するというトンデモ企画。
もちろん1日の余暇時間が十分になければそうそううまくいかないが、これは実現できた挑戦であった。

こちらの『メルト』でのコラボは今年の作品だが、速度は変わらず。
大変よく知る曲ということも手伝って、依頼受諾から実作業5時間ほどで仕上げていたと言ったら驚くだろうか。(仮組みから仕上げまでの調整時間2時間も含む)

依頼を受けて、または譜面を作りたい曲を思いついて一日で形にする、ということも結構な頻度で達成しており、これは少なくとも特技の一つと自負している。

そんなこんなで、時には譜面を付けるお手伝いをしながら、やりたいように譜面を作るというマイブームを通り越した生活の一部となり、エディターの活動は続いていった。

気づけばエディット歴10年

そうこう活動しているうち、気づけば「Project DIVA」と、エディット機能とであってから10年の月日が経っていた。もうそんなに経ってしまったのかと思うと恐ろしい。

「初音ミク -Project DIVA- F2nd」発売後8年も同じソフトで譜面エディットをよくも作り続けてこられたものだ。ずっと熱意を持っていた私自身をほめたい。そんな感慨もある一方、どうしても認識しなければいけない事実だってある。

…そう、8年も同じソフトで創作してきている。

「F2nd」発売以後、エディット界隈は完全に停滞した。
シリーズ作品に、自由なエディットを行える機能を搭載したものが発売されなくなったからである。
2016年には「初音ミク -Project DIVA- X」も発売されたが、エディットできる項目が大きく減らされ、まず楽曲がゲーム内蔵曲のみ、リズムモーションも固定。
エディットというよりは映像プロデュースといった方がよいだろう。


私自身、ここ数年は年一曲程度しか譜面を作れていない。
これはエディットのアクティブ人口がじわじわ減り、遊んでもらっている感覚を受け取りづらくなったのも一因である。
エディット人口に関しては、そもそも同じゲームを8年も遊び続ける時点で酔狂だし、ゲームハード自体限界を迎えたケースも多いだろうから止むも得ない点はあると思われる。

とはいえ、私の場合一因であって主因ではない。ゲームハードは買い替えや新調もあって未だピンピンしている。
主因は、ただの作りすぎである。

F2ndにおいてはここまでに難易度差分も含め200譜面以上作成しており、
楽曲数にして160曲、私の譜面かつpiapro連携作品に絞ってなお40曲のベストセレクションを編纂可能とくれば、十分なのではないか?
ここでたとえ途絶えたとしても満足なのである。不完全燃焼のまま、筆が止まったわけではない。むやみやたらに作る動機がなくなっただけである。

とはいえ、piapro連携機能も終了してしまい、手軽に譜面エディットを遊んでもらう環境は終焉を迎えたこともあり、作りづらさが出てきたことは否定できない。

また、「Project DIVA」というコンテンツも、今年はSteam版「初音ミク -Project DIVA- Future Tone」系列を発売するなど生き永らえているが、私から言わせれば見かけだけである。
間口は確かに広くなったのかもしれないが、あくまでアーケード版の移植のひとつでありコンテンツの追加があったわけではない。何より元々のアーケード版には何も還元されていないので切なさが増してしまう。

率直に言うと、DIVAの動きがあることを願える人が羨ましく疎ましいくらいにはコンテンツ自体滅びを迎えつつあると受け止めている。

終わるなら終わるとさっさと言ってほしい…が、お上は諦めたわけでもないらしい。待つにも限度がある。

また、音楽(音源)そのものも摂取手段がストリーミングに比重が置かれ、無償配布もどんどん消滅している。
権利面・活動資金面でも楽曲をゲームソフト内で借用しゲームプレイ可能にする環境が旧くなりつつあるのもわからされてしまっている。

そんな状態なので、DIVAシリーズはともかくエディット界隈が再び復活するのは流石に難しいだろう。
復活するのならまたその時は活動するだけである。

▲そんな中Nintendo Switch版『Project DIVA MEGA39's』のミックスモードはよい刺激。
HARD譜面は暫定全一らしいがDLC全部買って遊ぶ人口が少ないのが真実

未来への諦観なども書いてしまったが、ふとした出会いからここまで長く遊び続けられた時点で、私の心の中には残り続けるコンテンツであることには間違いはない。
なお、譜面エディットをやめる宣言のために記事を書いたわけではない。
あくまで10年分の想いをまとめておきたくて書いただけである。
思いついたらまた譜面を作ることもあるだろう。

今回は10年分の感想をざっと、思いつくまま綴らせてもらった。
これからも、ほそぼそと無理なく、楽しんでいければと思っている。


今回も、またなんとなく語り口調を変えてみました。
こういう文章、稚拙だけれど書きたくなるんですよ。

先日、私が長く沼に落ちた数少ないコンテンツの話題を出したので、
そのうちの一つであるこの作品について触れることにしました。

また長くなってしまったので改めて、今回はここまで。
読んでいただき、ありがとうございました。

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