「吾輩は“蚊”である」(小説)
一日目
吾輩は、蚊である。名前?そのようなものは、無い。まだ無い、と言うよりも。それは永遠に付けられる事は恐らくないであろう。いや、きっと、絶対と言って良い程にないのではないだろうか。飼われてもいない虫や動物には、基本、名前などと言うものは付けられない。名前の無いまま、一生を終える者が殆どではないか。しかし、まあ動物好きな人間が、近所の野良猫や地域猫に名前を付けたりする事はあるそうだが。それ以外は基本は無い。猫は猫、雀は雀、野良犬であれば、犬はやはり、犬なのだ。しかし、ど