は フォドラともんじゃ

今年もまもなく梅雨が始まるらしい。
おかしい、早すぎる。つい最近、散りかけの桜を見ながら、ジャスティンカフェ、差せよ!とスマホに怒ったのではなかったか。タッチウッドやばい、持ってかれてる、あっでもいけるかも!残れ!残れ!なんとか2着!よっしゃ!馬単当たった!あっでも、もう○○円負けてるからあんま意味ないか。と府中の指定席で嘆いてからもう3ヶ月以上経っているというのか。時の流れは早い。

競馬の良さの一つに季節を感じることができることがあると思う。新年は金杯、真冬は午前のダートばかりの3歳未勝利戦、春になればクラシックロードに中山グランドジャンプ、新馬戦が始まれば梅雨、そして、夏は北海道を中心に夏競馬、そこから札幌記念、セントウルステークスのGIIたち(今年から紫苑ステークスもか)聞こえる秋の足音。秋真っ只中にスプリンターズSと凱旋門賞で盛大にGI戦線が幕を開ければ、秋古馬三冠とその裏で争われる年末へ向けた2歳若駒たちの重賞やリステッド競走。アルゼンチン共和国杯終わりからの連続GI開催は年末の中山三部作で大団円だ。

中央競馬だけでもこれだけある。なんか体系整備で来年から変わると思うとちょっと書きづらいが、帯広記念、報知オールスターカップに始まり、東京2歳優駿牝馬、高知県知事杯に終わる地方重賞たちも全く見逃せない。

もちろん季節は予想とも密接に関わる。冬場のダートは雨が降らないから含水率が低い、そうなれば狙えるのは上がりがかかって浮上するこんな馬やあんな馬となるし、夏の小倉は雨がつきもの、そうなれば後半の1200メートルは上がりがかかって、外から差せるあんな馬やこんな馬、この重賞の週は雨が多いよね、だから非根幹距離と相まってこんな種牡馬が…というようにだ。かくいう私も平日はほとんど気温も天気もチェックしないが、土日は必ず天気をチェックする。チェックしすぎて、住んでもいない街たちをスマホの天気のおすすめに入れてしまうくらいに。



皆さんの中にもあの思い出はこのレースの日というのがあるんじゃないだろうか。もち、ん、1レースから12レースまでできる現地での思い出もあるだろうが、私は案外、現地じゃない日の思い出の方が強く記憶に残っていたりもする。

その日は(も)寝坊した。
起きたらもう約束の30分前、家からお昼のお店の最寄り駅までぴったり30分だというのに。もうここなると気持ちが折れる。ラインで遅刻宣言をしつつ、ゆっくり家を出る準備…我ながら人としてどうかと思う。

とは言いつつも、バタバタしながら家を出て、ふと気づく。今日の予定は16時過ぎまでで、初めてご飯をご一緒する人もいるから(じゃあ遅れんな)スマホ出して馬券買うわけにもいかないし…あれ、この時間に馬券を仕込んでおかないとメインまでに買う時間がない。

今日のメインは函館2歳ステークス、いよいよ2歳重賞が始まる。そろそろ腰を据えて競馬を学ぼうと思い、POGも始めた私が、2歳重賞初戦のこのレースに参加しないわけには行かない、とはいえ時間はない。とりあえずネットで人気や過去の傾向を調べよう。電車の中で慌ててスマホを開いた。

1番人気はモンファボリ、サンデーレーシング×武豊、いかにも勝ちそうだ。…とはいえこんなに人気になりそうなのか。2歳重賞は荒れやすいと聞いたことがあるし、もう少し穴馬を探そう。そう思いながらブラウジングしていると一本の記事が目に止まった。題名や細かい内容は忘れたが、2年目ジョッキーが初重賞初制覇か?みたいな感じ。その記事が言うには、穴馬は新馬戦は逃げて上がり最速で勝利という強いレースぶりを見せたが、ジョッキーが若手だけにそこまでは人気しないのではないか…確かに今もそんなに人気していない。しかもジョッキーの名前が温心とかいてはーとと読むというではないか、これは面白い、買うしかない。

そんな感じでフォドラを軸とした馬券を購入。40分遅刻でもんじゃ焼き屋に滑り込んだ。

会は盛り上がり、「じゃあ、お会計しようか」という流れになると、みんなお手洗い、優しい人が集金して会計…突然私がテーブルで一人になる時間が生まれた。ふと時計を見るともう16時前。レースは終わっている。

この隙に結果をみよう。パッとスマホを開いてレース映像をクリック。音は消して…スタート!えっとフォドラは8番で…おっ逃げてるじゃん…いい感じいい感じ。みんな戻ってきちゃうし、早く逃げ切ってくれ…外からサンデーの勝負服が来てるぞ、まずいまずい、もう直線!あっ、モンファボリ手応え怪しい、いけるぞ、いけるぞ!あと少し、粘れ粘れ、あっあっ、あーっ…。

4着

終わりだ。何も当たっていない。
結果を見ると、リンゴアメが勝ったという、40倍以上ついてるやん…いやその前になんやねん、その名前…。

悲しみに浸る間もなく、みんなが戻ってきた。スマホをしまって店を後にした。

特に何があったわけでもない。賭けていた額も、今では覚えていないから相当小さかったんだと思う。それでも、はっきりと思い出せるあの日、あの店、あの席。リンゴアメが勝ったからかもしれないし、はーと騎手だったからかもしれない。理由はわからないが、素敵な夏の思い出の一ページである。

今年も馬券を買いつつ、競馬の外でもいろんな発見をしつつ、そのリンクで楽しい思い出づくりをしたいなと思う。

次回は「あっもう16時半じゃん、かしわ記念終わってる、インティは差せたかな?お手洗い行くついでにこっそり見よ」を機会があればお届けしたい。

あっ、◎ヒーローコール、少しでも馬場は乾いてほしい。明日も全人馬無事に。



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