(詩)私はここに居ません

朝、目が覚めるとカーテンが開いていた
青天井に迎えられ、掌がボロボロと崩れた
爪先立ち 床が壊れるから
扉をノックする音
聞こえないふり、私はここに居ません
ふと上を見たら天井に穴が空いていた
雨漏りが滴って、瞼がドロドロと溶けた
爪先が無い 私じゃないから
扉をノックする音
聞きたくないので、私はここに居ません

靴を間違えたような気がする
上手く歩けないの
声が他人のものの様に感じる
耳に届かないの
舌が無くなったように感じる
上顎に張り付いている
皮膚が冷たくなる
胃が足元に落ちていく
どうやって喋るんだっけ
どうやって呼吸するんだっけ
なんで視界が歪むんだろう
何を頑張れって言うんだ
他人事だからって綺麗事ばかり
いっそ何にも言わないで
でもそばにいて
でも私を見ないで
だからもう、ずっと外に出ない
知ってるはずの痛みが思い出せなくて
足元に転がる石を踏みつけた
何かを間違えた気がする
もう何も無いような気がする
さようなら人生、またあした

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