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魂のレヴュー 毎秒感想

らいせ
https://twitter.com/20161018Wt


Introduction 序幕

 どうも、真矢クロのオタクです。この文章は2021年6月劇スに狂っていたタイミングでfusetterへあげた文章に、2022年3月チネチッタのハードコア上映を浴びて改めて劇スに狂ったテンションのまま追記した「魂のレヴュー」毎秒感想文になります。3rdライブ後の興奮のまま、横アリで新作劇場版の特報を見て叫び倒したあの時、公開から8ヵ月を経てもなお映画館で上映される作品になるなんて思ってもいなかったなぁという感慨があります。自分が、何度も観た映画を改めて観に川崎の映画館まで足を運ぶとも思ってなかったなぁ。

ACT Ⅰ 舞台裏

 私は楽屋シーンから魂のレヴューは始まっている派なので、楽屋シーンの感想から始まります。「すすめ!! あにまるウォーズ」、5回見てようやく青い方が天堂真矢であることに気づきました。なんかずっと赤い方が真矢だと思ってたので、この状況で天堂真矢が負けてるってどういうこと!? 私の将棋知識雑魚過ぎ!? と思ってました。お将棋がお弱い真矢ちゃんかわいいね~~! 真矢ちゃんがどのタイプの「ゲームに弱い人」なのか気になります。チェスとか囲碁とかが苦手なタイプの人なのか、それとも七並べで誰かが8止めてて全然手札出せないのに「??」ってなったりUNOでUNOって言わなくて追加で引かされたりするタイプなんですか?? えっかわいい。スタリラで将棋やってなかった? というツッコミは心の中にしまっておくことにします。普通の将棋はめちゃ強だけどあにまるウォーズは激弱なタイプかもしれないし(どんなタイプだ)。説明書がクロディーヌ向きにおかれているところを見ると、クロディーヌが初見でめちゃ強い可能性もある。

 自分が過去に満足して次の舞台に向かえていなかった、と真矢相手に口にできることがクロディーヌの強さなのだなぁとしみじみしてしまう。

 そして99期生が壊れかけの電車に乗って劇場を通りかかるシーン。真矢クロレヴュー、公開されがち。アニメのタッグマッチはみんな観客席に座って観てたけど、今回は電車に乗ってるし通り過ぎるだけで止まって観劇とはいかないんだな、というところに成長というか変化を感じますね。旅は道連れ世は情けよ。袖振り合うも他生の縁だね。いやそれは違うかもしれない。

 というか魂のレヴュー、舞台セットが「劇場(舞台)」から始まるの、すでにスタンディングオベーションなんですよね。最高。舞台じゃん。

 控え室で将棋してるのかわいいんですが、魂のレヴュー前半の舞台セットが「劇場(舞台)」だったのを考えると、電車に乗った99期生が「観客」としてやってくるのを待ってたんですかね。みんな通り過ぎて行ったけど。そういえばアニメの真矢vsクロ戦、真矢vs華恋戦が巨大建築みたいな舞台セットだったから魂のレヴュー後半の巨大建築舞台セットも真矢主体の装置なのかと思ってましたが、ステージの枠上部に鳥が描かれていたことを考えると、あの劇場の方こそ真矢の用意した舞台装置だったのだろうか。真矢クロの用意する舞台装置、実際似通っていそうではある。

ACT Ⅱ 舞台人と悪魔

 このあたりから語彙力を失っていきたいと思います。裾はらってポケットに手突っ込んで優雅に歩いてくる悪魔クロディーヌさんさ~~~~オタクの性癖を突くのがお上手。意図的に、よりスタイルがよくなっている西條クロディーヌさん、最強過ぎない? 男装(?)のクロディーヌ助かる。八重歯だし。いや悪魔が男装かは解釈が分かれるところかな……と思いましたが西條クロディーヌなので女だし男装でした。一方そのころカボチャパンツに白タイツの真矢ちゃんかわいいね。なんでそんなピクトグラムみたいな立ち方してるの。ふふっ(かわいい)。

 悪魔クロディーヌの

「あんたの魂をいただく!」

のわくわく感すごい。レヴューが劇中劇として始まっていることにも、悪魔クロ舞台人真矢の配役にもうきうきが止まらないので、このあたりずっと確変みたいなテンションになってしまう。契約書にサインした血文字のT、天堂真矢のTでもあるしポジション・ゼロのTでもあるの、本当に天堂真矢。天才過ぎる。それはそれとしてヤバげな契約に「おもしろい!」ってサインしちゃう真矢ちゃん、親戚のおばさん心が出てきて「やめな!」と思ってしまう。

 悪魔クロディーヌのすべてが性癖にダイレクトアタックという感じなので優雅にお辞儀しているクロディーヌが目を開けるところ一時停止で眺めて悦に浸ってました。好きです。BDの利点。劇ス、全体的に作画が凄まじいですが、その中でも絵として美しいところとアニメーションとして美しいところがあり、絵として美しいところのブロマイドが欲しいと言い続ける妖怪になってしまう。

 悪魔と舞台人の殺陣一生見てたいよ。殺陣の合間にくるくるステッキ回すやつ嫌いな人類おらんやろ舞台少女全員やってほしい。真矢ちゃんは武器的にできないんですけど……。

「人は言った、私を『サラブレッド』と。『天才』、と。されど、喝采の中
に見えてきた。演じるべき真の役。究極の舞台人の姿が!」

 天堂真矢~~! 声音がさ~~~~たまらんかっこいいのよね。息つきながら天井を見上げるところの背もたれと背中に挟まれて髪がふくらむところと喉がえっち。いや他にいうことあるだろって感じ。あるけど天堂真矢がえっちなことも重要だろうが。

 神の器であるところの天堂真矢さん。天堂真矢さんさ~~……。機械仕掛けとも言えないレベルにガタガタ動く鳥さん、正直めっちゃ不気味ですね。その直後にめちゃくちゃ美しいオデット衣装(実際のところはわからないけど呼びづらいので私のなかであれはオデットということになっています。オデットの天堂真矢めちゃくちゃ美しくない?? 髪型最高美しいしドレスで戦うのとか性癖過ぎて困惑する。予告時点で下半身シンフォギアみたいになってるのかと思ってたんですけどめっちゃドレスで安心しました)の天堂真矢と並ぶので余計不気味に見える。

 あの不気味さになにか意味があるのかなと思いつつ、天堂真矢の美術のセンスが独特だからああだったらどうしようという一抹の不安がぬぐえない。いやでも私の中の天堂真矢は絵画系は苦手だけど造形系は得意ということになっているのでね。よんこまで否定された気もするけど。

 神の器の鳥さん、逆さ吊りなのにもなんか意味があるんですかね? 鳥バード2018の鳥さんは正位置だったのに。不自然さの表れか? 鳥なら飛びな! (考察本で疑問を投げっぱなしにする勇気)

 映画見るときマジでなんにも考えてないので、天堂真矢が神の器を自称し出したとき「ほげぇ? 天堂真矢ついに神になるんか?? スタリラでは世界になるし??」つってたら悪魔が笑って結婚式場にワープして心臓が吹っ飛んで死んだんですが、あとから考えると自分を「魂もなにもない空っぽな神の器」であると定義するのって、「魂のレヴュー」的にシンプルに分が悪くない? わからんけど魂を燃やした方が勝つんじゃないのか魂のレヴュー的には。いや「誰も見たことがないキラめきを見つけた」方が勝つんだからいいのか。神の器のキラめきが悪魔を圧倒すればよいのだろうし。

ACT Ⅲ 神の器と悪魔

 悪魔と神の器の殺陣も一生見てたいよ。

 神の器天堂真矢が次々に額縁のなかに「私」を映し出すシーン、本当に美しくてあそこの絵を切り抜いたブロマイドを売ってくれないか。額入りだと有難い(欲深)。

 映し出されている役、雰囲気的に、楊貴妃→オスカル→クレオパトラかな? (オスカルが一般的な役なのかわからないけどというか違う気がしますが。一般的な役で並べるならマリーアントワネットだと思うんですが、女王ではないしなということで私の中ではオスカルということになっています。このときはまだアニサマでマジで『ベルサイユのばら』オスカルを天堂真矢が演じることになるとは思ってなかったのでビビり散らかしました。スタァライトに出会ってから、そんなことあるんだ……みたいな現実にばかり遭遇する。そんなことあるんだ……)

 無限の私、全部美しいんですが、楊貴妃がさ~~、マジで美。これは傾国。天堂真矢の楊貴妃、絶対に舞台で観たい。通います。それにしてもメイクがバチクソお似合いでいらっしゃる。顔は天堂真矢だけど役ごとのメイクで印象が全然変わるの、うわ舞台だ~~! となりました。というかありそうでなかったバチバチにウィッグとメイクをキメた姿を見られたことに今更ながらビビり散らかしています。え、マジではじめてじゃない? ウィッグとメイクをキメた舞台少女……スタリラは地毛だし……え、現実……? 最高。

 話それますけど、いつか天堂真矢が新国立第一歌劇団で『遙かなるエルドラド』の主演をはるの、めちゃくちゃ観たいな。でも新国立第一歌劇団、だいぶ宝塚っぽかったし男役とか娘役とかあるタイプなんだろうか。前述の天堂真矢、全部女なんだけどその辺はどうなんだろう。私は女をやる天堂真矢も男をやる天堂真矢も見たいです。人外もやってほしい。あらゆる役をやってくれ。

 結果的には否定されてしまいますが、私は天堂真矢が神の器を自負したときめちゃくちゃわくわくしてしまったので、神の器になった天堂真矢の可能性にも夢を見たいなと思ってしまいます。でも神の器天堂真矢が勝って「This is 天堂真矢」でレヴューが終わっていたとしたら、劇スの真矢クロに関して甚だ不完全燃焼だっただろうなとも思います。魂のレヴューの起承転結セリフ作画歌アクション何一つ文句がないので魂のレヴューがあれでよかった…… (なんだか上から目線な文章になってしまった)……それを言ったら劇ス自体に文句のつけようがないスタンディングオベーション100兆点という感じなので本当にスタァライトのオタクをやっていてよかったな。

 悪魔クロディーヌの倒れ方えっち。

 口上がさ~~クロディーヌとラップバトルしてボコしあってるの良。

「奈落で見上げろ、私がスタァだ!」

 良良良。震える。あんたがスタァだよ。

 やっぱレヴュー服はちゃめちゃかっこいいよな~~~~!!

 バチギレした天堂真矢が奈落からせりあがってくるとこ一生好き。しかも光背みたいなの背負ってくるやん。光背背負ってくるの仏像か聖人だけだと思うんだけど天堂真矢はどっちだと思う?? バチギレの雰囲気的には阿修羅っぽいけど神の器の話的には聖人の方っぽいですね。どっちもか。

ACT Ⅳ 天堂真矢と西條クロディーヌ

 美しく洗練された巨大建築をバチボコにぶち壊しながら殴り合う真矢クロ、性癖。大理石! 薔薇! 十字架! なんかの布! みたいなこれだ聞くとやっぱ教会というか結婚式場というかなんというかそういえば真矢ちゃんのオデットの衣装真っ白でウェディングドレスみたいだったもんね~~~~クロディーヌの悪魔の衣装は燕尾服みたいだったもんね~~~~ね~~!

 はい。

 舞台がせりあがって、通路の端と端で見つめあっていた真矢とクロディーヌが走り出して剣を交えるまでの一連の声の演出大好き。真矢視点から始まるから最初真矢の声だけが聞こえるのに距離が縮まるにつれてクロディーヌの声がまじって聞こえてくるのかっこよすぎる。最高。

 クロディーヌ「あんた、今までで一番かわいいわ!」
 真矢「私はいつだってかわいい!!」
 私「ま゛ や゛ ち゛ ゃ゛ ん゛ は゛ い゛ つ゛ た゛ っ゛ て゛ か゛ わ゛ い゛ い゛よ゛ぉぉぉ!!!!」

 発声可能応援上映で叫びたいシーンナンバーワン過ぎる。絶対に真矢ちゃんに「かわいいよーーーー!!!!」って叫びたいもん。毎回天堂真矢のかわいさを噛みしめて奥歯割れそうになる。天堂真矢はかわいい。世界の真理。「私はいつだってかわいい」が売り言葉に買い言葉にせよ、マジで「いつでもかわいいだろうが(怒)(怒)」ってキレてるだけにせよ、どちらにしろかわいいのでなんかもう言葉が見つからん。天堂真矢はいつだってかわいい。なぜなら天堂真矢なので。以上。証明終了。

 この「私はいつだってかわいい!」、最初観たとき「グゥッ」つって不意打ちで死んだときの呻き声をリアルにあげちゃってマジで申し訳なかった。でも不意打ちで殺されたらどうしようもないんだよすまない……真矢がこんなセリフ言うと思ってなかったんだよな…… 「うろたえるな!」とか「奈落で見上げろ、私がスタァだ!」とかの方がまだ耐性がある。それでも死ぬけど。気づくと心臓が止まってるので悲鳴はあげずに済む。「私はいつだってかわいい!」は本当にダメです。劇場版スタァライトで一番好きなセリフ。向こう1年はこのセリフでダメになれる。むり。という文章を2021年6月時点で書いていたんですが、8ヵ月後のハードコア上映で無事むりになったので向こう1年どころかたぶん3年くらいはむりになっていると思います。リアルな数字だ。

 宙吊りの床の上を軽やかに飛ぶクロディーヌさん、めちゃくちゃ美しい。体幹が良い。足場のロープを切ったあとの真矢クロのロープアクション、レヴューデュエットの時のひかりちゃんから学んでるのだとしたら熱いなと思いました。他人の良さを血肉に変えていけ。

 真矢がクロディーヌを追って足場に飛び乗った勢いで弾け飛ぶロープを手に降りてくるクロディーヌとぶっ飛んでくる真矢からの一連の流れ、もうなに? 演出というかアニメーションが本当にすごくない?? そんなに? そんなに動くことある?? 原作少年ジャンプか???? すごいゴリゴリに戦うじゃん……そんで吹き荒ぶ薔薇、バチボコにぶち壊される舞台装置……えぇ……歴史に残る映像美でしょこんなの……いいんですかこんな最高レヴューを拝見してしまって……ありがとうございます……。戦いながら感情をむき出しにする真矢クロ、これこそが私が見たかった舞台! 過ぎる。

「西條クロディーヌ、あなたは美しい……」

 西條クロディーヌっ……! 天堂真矢っ……! (感無量)というかレヴュー曲が『美しき人 或いは其れは』ってなに!? あるいはそれはなんなの?? 意味深な匂わせやめて!!?? まあたぶんこれはクロディーヌのレヴュー曲だしセリフ的にも「美しき人」はクロディーヌだと思いますが「或いは其れは」……? あるいはそれは悪魔ってことですか? (劇中歌アルバムVol.1オンラインスタッフトークイベントで、「美しき人 或いは其れは」に続くのが「恋の歌か」だったことがどうしても言及したい相羽さんのおかげで明らかになってしまい戦慄したオタクです。オタクの妄想を超えていくじゃん……)

 4回目くらいでやっっっと気づいたんですが、上掛け落とされて舞台セットが燃え上がり崩れ落ちたあと、アップになる真矢の目元にうっすら涙が浮かんでるのほんま……ほんま……真矢ちゃん……となる。

 クロディーヌの、真矢にケリをつけて次の舞台に向かうという宣言から始まった魂のレヴューが、ふたりで永遠のライバルを誓って終わるの、福音。

Intermission 考察

 最後に、すこしだけ考察っぽいことをしてこの文章を締めたいと思います。天堂真矢が「皆殺しのレヴュー」では負けず、「魂のレヴュー」で負けた理由をずっと考えていました。「皆殺しのレヴューで負けなかった」のに大場ななには全員一緒くたに「私たち、もう死んでるよ」と言われ、決起集会ではクロディーヌに「だからあの子は(負けなかった)」と言われた真矢が「魂のレヴューでは負けた」という一連の流れの整合性が、自分の中でうまく落とし込めなかったからです。

「列車は必ず次の駅へ。では舞台は? 私たちは?」

とななに問われた真矢は答えます。

「舞台と観客が望むのなら、私はもう舞台の上」

と。進路相談でも答えていたように、真矢はこの時すでに舞台の上で生きる覚悟を決めていて、その意志は確固たるものだったと思います。このセリフから読み取れるのは「人の期待に応えるために舞台に立つ」という意識です。「トップスタァになりたい」「演じたい役がある」「立ちたい舞台がある」という動機を能動的とすると、こちらは受動的な動機に思えます。とはいえ、動機や感情に正解も不正解もありません。「人の期待に応えたい」を原動力にひとかどの人物になる人もいるでしょう。アニメで描写されていた追われる者としての意識や、トップスタァとしての自負から、真矢にその気があることもわかります。

 また、魂のレヴューでも似たセリフがあります。舞台人真矢が悪魔クロディーヌをいなした後です。観客席で天を仰ぎながら言ったセリフ

「人は言った、私を『サラブレッド』と。『天才』、と。されど、喝采の中に見えてきた。演じるべき真の役。究極の舞台人の姿が!」

は、皆殺しのレヴューで真矢が答えたのと同じ主旨のセリフだと思います。究極の舞台人の姿として明かされた神の器は、からっぽで魂がない。皆殺しのレヴューの時点で、真矢が神の器のビジョンを持っていたとすると、ななに「私たち、もう死んでるよ」と評されることに納得がいきます。しかし、「神の器」は「サラブレッド」「天才」を超える存在です。「人の期待に応えるために舞台に立つ」という意識から一歩進んで「人の期待を超えてやる」という意気込みが感じられます。

 そろそろ私の考察力が切れそうです。天堂真矢が神の器を宣言し自負したのは、真矢を「サラブレッド」「天才」と称した人々へのある種の意趣返しだったのではないかと思います。ただ期待に応えることを良しとせず、自分はそんなものに収まる器ではない、という意地。さらにその上を行ってやる、という決意が「神の器」宣言だったのではないでしょうか。天堂真矢、反抗期がまじめ。

 しかしながら、それ以上に天堂真矢という人は己がトップスタァになるということに貪欲で熱い情熱を秘めていたはずです。「自分以外の人間がトップスタァになるなんて、考えただけでも嫉妬で狂いそうになりますから」というセリフに象徴されるように。

 ここですこし横道にそれます。前述の毎秒感想文の通り、私は神の器天堂真矢も見たいが!?派ですが、天堂真矢が舞台に立つ理由に一点の曇りもあってほしくないよという祈りを抱いているので、魂のレヴューを通して真矢が「うるせぇ私がトップスタァだ!!」という感情に立ち返ってくれて本当によかったなと思います。「奈落で見上げろ私がスタァだ!」の精神、この先一生失ってほしくないよ。

 一方、クロディーヌはずっと明確に「天堂真矢をねじ伏せる!」を突きつけています。そのために舞台の理を捻じ曲げることも、自分で自分を刺し殺すことも厭いません。炭治郎と同じ胆力です。

 結果的に真矢が作り上げたはずの器はクロディーヌに斬り捨てられ、真矢も本性をさらすことになります。

 「舞台で生きる覚悟をしていた」から皆殺しのレヴューでは負けなかったけれど、「神の器に成ることで舞台少女天堂真矢を殺していた」から、ななには皆と同様に死んでいると指摘された。決起集会・魂のレヴューでも同様に、「舞台で生きる覚悟をしていた」からクロディーヌは真矢だけが負けなかったことを察し、一方で「神の器に成ることで舞台少女天堂真矢を殺していた」から魂のレヴューでは負けたのではないか。これがこの考察の結論です。

Fifth Act 終幕

 皆殺しのレヴューの天堂真矢は、負けてはいないけど勝ってもいないんですよね。ななに負けなかったことで、おそらく真矢は例外的に舞台少女としての死と向き合わずに魂のレヴューに突入します。舞台少女の死の象徴としての亡骸が並んだシーンでも、横たわる自分自身に見向きもしないまま。

 アニメで天才子役西條クロディーヌの鼻っ柱を折り人間にしたのが天堂真矢だったように、神の器を自負した天堂真矢をねじ伏せて人間にするのは西條クロディーヌである、という構造、あまりにも美しい。

 これは本当にお互い様だね、という話ですが、クロディーヌの激情が炎だったとして、舞台装置を燃やし尽くすほどの情熱にさらされて燃え尽きるどころか勝負がつくまで何度でもとか言い出す真矢でなければ、クロディーヌはあれほど燃えなかったのだろうし、明日も明後日もとのたまう真矢にライバルのレヴューは終わらない永遠にと返すクロディーヌでなければ真矢はあれほど己をさらけ出すことはなかったでしょう。と考えると、本当にこんなにもぴったりとはまる相手、二度と出会えないだろ……という気持ちになります。

 真矢クロは燃えながらともに落ちていく炎。ライバルのレヴューは終わらないので真矢クロは永遠です。おしまい。

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