猫とジゴロ　第四話

ポルシェ・ジャパン銀座に着くと、尋常でないマダムの出立とお抱え運転手の華麗なエスコートで係の人が飛んできた。「いらっしゃいませ」マダムは俺の方を向きながら言った、「この人が車を決める張本人です、彼の話をよく訊いてあげて」係の人はまあ、服やら醸し出す雰囲気とかでやっぱりマダムを最優先に接客している。「まあ、お立ちになられているのも大変でしょう、こちらへおかけ下さい、お飲み物は？」「私はミネラルウォーターを、出来たらボルビックやクリスタルガイザーなどの軟水がいいのだけれど。なければ何でも構わないわ。ただし水道水だけはやめて。私はお水に敏感なの。悪いものはなるべく身体に入れたくはない。」「水道水など、私どもからは絶対にお出ししませんのでご安心下さい。私どもは「サントリー天然水」と「六甲のおいしい水」を常備しておりますが、事足りませんでしょうか？」「素晴らしいわ。ありがとう」