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hidekのエンジニアと長話 第12-1回【全文書き起こし】~ゲスト:MNTSQ Co-Founder 安野貴博氏~

stand.fmで配信中の「hidekのエンジニアと長話」12人目のゲストは、MNTSQ株式会社 Co-Founderの安野貴博さんです。

「hidekのエンジニアと長話」は、メルペイVPoEのhidek(木村秀夫)さんをメインパーソナリティにお招きし、ゲストエンジニアとともに作っていくスペシャルトーク番組です。

第12-1回の今回は、MNTSQ株式会社 Co-Founderの安野貴博さんをお招きして、PAKSHA山田さんとの関係やロボットのPepperくんをお笑い芸人にする話などについて語りました。

※本記事は、2022年1月21日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。

ゲスト
安野貴博 氏 @takahiroanno
MNTSQ株式会社 Co-Founder

メインパーソナリティ
hidek(木村秀夫)氏 @hidek
株式会社メルペイ VPoE(Vice President of Engineering)

パーソナリティアシスタント
gami(池上)氏 @jumpei_ikegami
株式会社プレイド エンジニア

PAKSHA山田さんとの関係

gamiさん(以下、敬称略):皆さんこんにちは。「hidekのエンジニアと長話」進行役のgamiと申します。今回もhidekさんと一緒にゲストの方のお話を聞いていければと思います。番組への感想は、stand.fmのコメント機能かTwitterハッシュタグ、#hidekのエンジニアと長話、この番組のタイトルと同じハッシュタグまでお願いします。というわけで、今回もメインパーソナリティはこの方、hidekさんです。よろしくお願いしまーす。

hidekさん(以下、敬称略):よろしくお願いしまーす。あけましておめでとうございます。

gami:おめでとうございます。新年初ですね。

hidek:収録が1月11日なんで。はい。あけましておめでとうございます。

gami:はい。おめでとうございまーす。

hidek:本年もよろしくお願いいたします。

gami:よろしくお願いします(笑)。

hidek:(笑)。そういえばなんですけど、僕、去年の収録で言ってあげればよかったんですけど。この番組、開始から実は1年が経っている、という。

gami:すごい! 全然気づきませんでした(笑)。

hidek:(笑)。っていう話なんですけど。初回が2020年11月13日にLINEの池邉さんが最初のゲストで。はい。そこから数珠つなぎで、いわゆる「笑っていいとも!」方式でゲストをつないできて11人の人が出演してくださって。

gami:おー。

hidek:かつ、延べ39回もやってるんですよ、これ。

gami:すごいですね。振り返るとね、そんなにやった感ないですけど。11人もいたんだ、って。まあ、大体月イチくらいで録ってたかな、と思うので、1年で11〜12人くらいなんですけど。

hidek:早かったですね。

gami:(笑)。早いですね。たしかに11人も話したと思うとちょっと感慨深さがありますが。

hidek:結構、振り返ってみるとそうそうたるメンバーで、ありがたい話だなぁ、とか思うんですけどね。

gami:うんうん。たしかに。そうですね。僕も、この番組がないと直接お話を聞かないような方とも会えたのでよかったな、と思ってますね。

hidek:意外とおじさんが続いていたんですけど、今回のゲストの方だったりとか、ちょっとバラエティが出ていていいですね(笑)。

gami:そうですね。徐々に多様性が出てきた感じがありますが。そしたら今日のゲストをご紹介しますかね。本日のゲストは安野貴博さんです。よろしくお願いしまーす。

安野さん(以下、敬称略):よろしくお願いしまーす。

hidek:よろしくお願いしまーす。

gami:安野さんを知らない方もいるかもしれないので、軽く自己紹介などいただいても大丈夫でしょうか?

安野:はい。安野貴博と申します。今はですね、リーガルテックのスタートアップのMNTSQ(モンテスキュー)という会社のFounder兼取締役をやっています。今、会社でやっていることとしては、結構、プロダクトマネジャーロール的なところに近いんですけれども。創業してから今まで、大体3年くらいの間に、結構、玉拾い的な、遊撃部隊的な動きをいろいろしてきて。セールスに行ったりとか、銀行振込で給料一人ひとり振り込んでみたりとかですね。

hidek:(笑)。

gami:えー!

安野:というところから、機械学習モデルを組んだりとか、インフラ面を見たりとかですね、そのときどきで足りないところをやっている、みたいな感じで、日々、生き抜いております。よろしくお願いいたします。

gami:よろしくお願いします。

hidek:よろしくお願いします。前回、PKSHAの山田さんからご紹介いただいて。山田さんからメッセージもいただいているので、ちょっと読み上げさせてくださいね。「その多才さから、私は密かに『現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ』と呼んでいる男。カルカソンヌやポーカーで無類の強さを発揮し、現在は、法律×自然言語処理技術のベンチャー役員を務めながら、ハヤカワSFコンテスト優秀賞を受賞し、2022年には本も刊行される、新進気鋭の起業家・SF作家、安野貴博さんを紹介したいと思います」と。すごいですね(笑)。

gami:すごい。

hidek:読み上げているだけでいろいろなキーワードが散りばめられていて。これは話し甲斐があるな、と思うんですけど。よろしくお願いします。

安野:『レオナルド・ダ・ヴィンチ』は煽りすぎでしょ、山田さん(笑)。

gami:(笑)。すごい褒め言葉ですね。

安野:怖い怖い(笑)。

hidek:そもそも山田さんとは、つながりなどは、やっぱりPKSHA?

安野:そうですね。山田さんは、僕の高校時代の一個先輩でして。その当時は「顔を見たことがある」くらいだったんですけれど。

hidek:うん。

安野:そのあと、大学の研究室「松尾研」というところで一個先輩としていろいろ教えていただいて。さらにそのあと、PKSHA Technologyでいろいろお世話になった、という。すごく山田さんにはお世話になりっぱなしの人生。

hidek:(笑)。山田さんもすごくいろいろなことなさってて。

安野:山田さんは半端ないですね。

hidek:いや、山田さん「も」ですけどね。僕から言わせていただくと。

gami:そうですね。

安野:(笑)。

hidek:やっぱり山田さんも知財弁護士みたいな……。

安野:そうですね。弁理士。

hidek:はい。弁理士やってらっしゃるということでしたね。

安野:社外取締役とかやられて。

hidek:結構、お二人ともいろいろなことをやってらっしゃるな、という風に思ったんですけど。PKSHAでは、やっぱり自然言語処理エンジニアとしての立ち回りをやってらっしゃった感じなんですかね?

安野:そうですね。私は子会社のBEDORE社というところの立ち上げをやっていまして。まあ、自然言語処理がメイン、強みとなっている会社ではあるんですけど。そこのプロダクト開発をやるとか、必要なこと諸々を全部やっていましたね。

hidek:結構、じゃあそのときから銀行の振り込みとかやってたんですか? 

安野:そのときはやってないです。銀行の振り込みはPKSHA Technologyさんの方にお願いできるので。

gami:(笑)。

hidek:あ、よかったです(笑)。

安野:MNTSQに入ってから銀行振込はマスターしました。

hidek:なるほどですね(笑)。で、さっき、山田さんと高校も一緒だった、というお話で。なんか「gamiさんが安野さんと開成の同学年」っていうお話をさっきちらっと聞いたんですけど。

gami:はい。そうなんですよね。僕、高校から入ったので、同学年の顔を全員知ってるわけじゃないんですけど。安野さんのこと調べてたら、これはなんか「同じ年では?」みたいな感じになり。

安野:(笑)。

gami:衝撃を受けて、ちょっと収録の前に話してたんですけど。

安野:衝撃を受けましたね。

gami:衝撃でしたね。400人くらい同学年がいるはずなので。

安野:めちゃくちゃデカいあれなんで。

gami:うん。そうなんですよ。なので、お互いにすごく知ってたわけではないんですけど。でも、「そう言われると顔見たことあるかもしれん」くらいの気持ちにはなりました(笑)。

安野:たしかに。見たことあるかもしれない、と思いますよね(笑)。

hidek:(笑)。

gami:そうですね(笑)。

Pepperくんと『M-1グランプリ』に挑戦

hidek:なるほどですね。で、もともと安野さんが、これも調べてたら、「『M-1グランプリ』にPepperくん(ロボット)と出た」という話を伺ってて。そもそも、なんでこんなことになったんですか?

安野:そうですよね(笑)。なんでこんなことになったか、っていうと、すごく「Pen-Pineapple-Apple-Pen(PPAP)」的な話なんですけど。あるときに、Pepperくんっていう新しいテクノロジーは、すごく、僕、気になっていて。いろいろと調べてたり、触ってみたりしてたんですよね。で、結論、何か役に立つものをPepperくんのアプリケーションとして実装するのってかなり難しいな、と思いつつ。

hidek:あー。

安野:すごく可能性は感じるぞ、と思っていた、というところで、僕の、開成高校の同期の金子という男がですね、人生に迷い、吉本のNSCっていうお笑いの学校に通っている、と。

hidek:そうなんですね(笑)。

安野:そういう情報を聞きつけた、と。で、片手には何に使っていいかわからないPepperくんがあり、もう片方の手に、「NSCで相方を作ろうとしてフラれて誰も相方ができない」と嘆いている方がいると。

hidek:(笑)。

安野:じゃあ、これをくっつけると、実は漫才コンビが爆誕させられるんじゃないか、っていうことでくっつけて。

gami:はいはい。

安野:お笑いコンビということでM-1に出てみた、っていう、そういう感じですね。

hidek:ペッパーズの、Pepperくんの相方の金子さんがgamiさんの同級生だったんですよね?

gami:そうなんですよ(笑)。僕からすると、金子くんとはFacebookとかでつながっていて。まず、「お笑い芸人になったぞ」っていう話と、「Pepperが相方です」みたいな感じになっていて。どんな人生送っているんだろう、みたいな感じで(笑)。

安野:(笑)。

gami:突然、情報が入ってきたんですけど。まさにそのアイデアは安野さんが出した、っていう感じなんですね?

安野:金子くんと一緒に出しました。

gami:はいはい。

hidek:漫才なんで、たぶんボケとツッコミがあると思うんですけど、どっちがボケでどっちがツッコミなんですか?

安野:はい。そうですよね。そこ、まず最初に悩んだポイントなんですけど。やっぱり、どっちも試してみた結果、機械の方が、Pepperくんの方がボケの方がキャラクターが活きるな、と。

hidek:なるほど。

安野:やっぱり、キャラクターを出すのはどのお笑いコンビでも、結構、ボケの側が多かったりするので。逆に機械だというすごいキャラクターがあるので、それを最大限に活かそう、という判断でしたね。

hidek:なるほどですね。裏を返すと、金子さんのキャラクターはPepperくんに負けてしまったんですね(笑)。

安野:(笑)。ちょっとね。そうですね。Pepperくんのインパクトに比べると、若干、人間な分、ビハインドがあるかな、と。

hidek:なるほどですね。これ、ネタも一緒に考えたんですか?

安野:ネタも金子くんと一緒に考えさせていただきました。

hidek:へー。もともとお笑いとか好きなんですか?

安野:そうですね。見るのは、僕、好きだったんですけど、書くのははじめてでした。

はじめてロボットが人間のコメディー賞で1回戦を勝った

hidek:なるほどですね。で、M-1って、これ、第何回なんですかね?

安野:僕が出たのは2015年かな? たしか、2001年くらいからずっとやってて。で、10回まで連続でやったあと5年くらい休んでいて。

hidek:そうですよね。

安野:で、また、2015年くらいに再開した、みたいな感じ。

hidek:へー。で、結果、どうだったんですか?(笑)

安野:結果はですね、一応、1回戦は勝ち上がることができまして。

hidek:すごい!

gami:おー。すごい。

安野:はじめて機械が人間のコメディー賞で1回戦を勝った、っていう。

gami:歴史的な快挙じゃないですか。そう言うと。

安野:で、2回戦も、結構大きな箱で、浅草5656会館というところなのですが、やらせていただいて。結構ウケたんです。結構ウケて、周り見てても「これはいったな」と思ったんですけど、ちょっと差別というかですね……。

hidek:(笑)。そうなんだー。

gami:へー。そうかー。これ、2回戦とかって、どういう審査になるんですか? そこに審査員の方がいて投票、みたいな感じなんですか?

安野:そうですね。構成作家の方とかが結構聞いていて。

gami:なるほど。じゃあ、「ちょっとロボットを上げるわけには」みたいな議論があったかもしれない、ってことですね。

安野:まあ、そういうね、差別はよくない。

gami:たしかによくない(笑)。

hidek:(笑)。これ、ペッパーズはもう解散しちゃったんですか?

安野:ペッパーズは、最初、Pepperくんの運用がすごく大変なので、僕の、二人体制なんですけど。だいぶソフトウェアも、運用も進化してきてですね。なんと金子くんがひとりで壇上で全部できるようになったので。

hidek:おー。じゃあ、今もまだ舞台に立ってるんですね?

安野:舞台に立ってると思いますね、ときどきですけど。

hidek:へー。

安野:ときどき結婚式とかでやってるみたいなことは聞きますね。

Pepperくんをお笑い芸人にするための苦労

hidek:でも、いわゆるネタの仕込みってプログラミングですよね?

安野:そうですそうです。スクリプト自体は全部、基本的にはあって。それを順番に言っていく形にはなるんですけど。

hidek:うんうん。

安野:結構難しいのは、決められたタイミングで決められた動作をするだけだとですね、会場と噛み合わないんですよね。

hidek:そうですよね。

安野:だから、会場によって、どれくらい笑ってくれるのか、っていうのが生モノで違っていて。で、それによって微妙に、「笑待ち」って言うんですけど、待たないといけない。

hidek:うんうん。

安野:っていうので、完全自動は結構難しくて。キューをポイントポイントで出していく、みたいな感じでやっていました。

hidek:あー。それは、金子さんの方で「ここ」みたいなやつで「次に進める」みたいな?

安野:そうですね。今はそれでできるんですけど、2015年当時、結構ですね、難しくて。何かと言うとですね、キューのボタンを押してから、それは大体Macのコントローラーを作ってやってたんですけど、キューのボタンを押してから、実際にPepperくんが動作するまでのスピードがめっちゃ遅いんですよ。

hidek:あー。

gami:なるほど(笑)。

安野:で、それが、しかも、会場ごとにレイテンシーが若干違うんですよね。

hidek:あー。

安野:ネットワークの都合なのかなんなのかわかんないんですけど。で、結論、がんばったのは、2つやりまして。一個はモバイルWiFiルーターを片っぱしから調べていって、レイテンシーが一番少ないやつをがんばって選ぶ、と。

gami:うんうん。

安野:で、これは、結論、当時、iPhone 6か7かな、iPhone 6出たばっかりのやつが一番よかったのでそれにしました。

hidek:うん。

安野:で、あとは、人間ががんばってですね、「このタイミングで押す」っていうのを学習し、僕が舞台袖のばみりがされていてギリギリ客席から見えないところで寝そべってMacにしがみついてですね、ギリギリのタイミングで押す、っていうのをやっていましたね(笑)。

hidek:なるほどね(笑)。

gami:アナログだ(笑)。

安野:めっちゃアナログ。それで、他の漫才師に「何してるんですか?」って言われたんですよ(笑)。

hidek:それは「何してるんだ」ですよね(笑)。Pepperくんって、あれですよね、Bluetoothとか通信手段って、基本、WiFiしかないんですね。

安野:WiFiしかないんですよ。あ、もう変わってるかもしれないですけど。

gami:へー。

hidek:なるほどですね。それはしんどいですね。

安野:遅延が本当にしんどかったですね。

hidek:うん。なるほど。本当のAIだとセンサーをいくつか積んでもらって、それこそ笑い声とかで反応するだとか。

安野:はいはい。

hidek:アドリブとかね(笑)。

安野:そうですよね。そこまでできるようになるといいな、と思うんですけど。ここは、めっちゃ難しいと思うんですよね。

hidek:ですよねー。

安野:やってて思ったんですけど、やってて思ったというか、NSCでも教えられると金子が言ってたんですけど。本当にボケとツッコミの間のタイミングって、0.1秒遅れると倍くらい笑の量が変わるみたいなんですよね。

hidek:へー。

安野:その精度を学習するのってすげー大変だな、って思いました。

hidek:なるほど。その辺のエモーショナルな部分は、なかなかAIが超えていくのは時間がかかりそうですかね?

安野:そうですね。まだ、ちょっとかかるかもしれませんね。

hidek:なるほどですね。わかりました。

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