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【完全保存版】XCMによって可能になるAstarイノベーションハブのビジョン(パート1)
当記事は、こちらの記事を翻訳・編集したものです。
0 はじめに
ブロックチェーンの歴史を通じて、相互運用性とマルチチェーンアプリケーションはWeb3.0の聖杯と考えられてきました。
しかし、従来の資産ブリッジはセキュリティと集中化の問題に直面しており、そのようなブリッジが多くのパブリックブロックチェーンにとって信頼できる普遍的なプロトコルになることは困難です。
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翻訳者注
・ブリッジのように異なるブロックチェーン間での取引を安全に行うには、取引の一貫性と完全性を保証しなければならないため、セキュリティの問題を引き起こす可能性があります。
・また、資産ブリッジはしばしば集権化の問題を持っています。
これは、ブリッジを管理するエンティティ(例えば、特定のブロックチェーンプロジェクトや団体)が、ブリッジを通じて資産の移動を制御する能力を持つためです。これはブロックチェーンの分散化という基本的な原則に反する可能性があります。
さらに、ほとんどのチェーンは、dAppsがそれらを活用できるように、流動性や外の資産を自身のネットワークに流すためにブリッジを使用しています。
最近では、AxelarやAlgorandのような、様々なブロックチェーン間で真の汎用分散型相互運用性をもたらすことを目的としたプロトコルが見られます。
しかし、これらのプロトコルは、パブリックネットワークの多様性を促進する一方で、クロスコンセンサスの相互運用性における標準化をまだ欠いています。
そのため、dAppsは相互運用性を真に活用することができません。
なぜなら、これらのクロスチェーンアプリケーションは、流動性をファンネル化し、高いガスコストを回避することによって制限されたままだからです。
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翻訳者注
「流動性をファンネル化する」とは、特定のブロックチェーンに流動性(資金)が集中する状況を指します。ファンネルとは漏斗のことで、ここでは資金がある特定の方向(ブロックチェーン)へと向かって集中する様子をイメージしています。
つまり、ここでは、せっかく、クロスチェーンアプリケーションを作っても、人気の高い、もしくはガス代が安いチェーンに集中してしまうことを言っています。
パラチェーンとクロスコンセンサス・メッセージング(XCM)のPolkadotエコシステムでは、マルチチェーン資産を持つだけでなく、機能的な相互運用性を活用することもできます。
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Astar Networkでは、これこそが次世代の革新的なdAppsを生み出し、Web3.0をさらに進化させる鍵だと考えています。
本稿では、XCM機能に関するAstar Networkの主な取り組みを提案します。
技術的に言えば、XCMはコンセンサスを超えたメッセージ共有のための普遍的でオープンなメッセージフォーマットであり、これはPolkadotのエコシステムに限定されないことを意味します。
翻訳者注
そのままですが、XCMはPolkadotのエコシステムに限った話ではありません。
しかし本書では、XCM は異なるパラチェーン間、またはパラチェーンとリレーチェーン間の検証者(validators)を通じたクロスチェーントランザクションの送信を指します。
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1 XCM(P)の基本
XCMは、特定の操作を処理できる任意のブロックチェーン間でオンチェーン命令を送信するための汎用メッセージフォーマットです。
翻訳者注
ここはポイントですね。XCMは、あくまでもただのフォーマットです!
XCMはメッセージフォーマットでありプロトコルではないため、Dotsamaエコシステム以外のブロックチェーンであっても、XCMを実装してメッセージをやり取りすることができます。
翻訳者注
"Dotsama"は、PolkadotとKusamaという二つのクリプトカレンシープラットフォームを総称した用語で、これら二つのプラットフォームが連携し合うエコシステムを指しています。
しかしSubstrateでは、XCMパレットとともにメッセージエンコーディングスキームが組み込まれており、Polkadotリレーチェーンがパラチェーン間でこれらのメッセージを送信するプロトコルとして機能します。
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パラチェーンの通信を可能にするプロトコルに相当するものは、XCMPとして知られています。
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つまり、Substrateのパラチェーンになることで、ネットワークがXCMチャンネルにアクセスできるようになり、ネイティブにメッセージを送信できるようになります。
Polkadotエコシステムの中で、ネットワークはアセットをブリッジするような通常のことができ、さらに、Substrateのエクストリニクスのようなチェーン関数を直接呼び出すことができます。
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翻訳者注
エクストリニクスとはSubstrateフレームワークにおける外部からの命令や操作のことを指します。
これはPolkadotエコシステムの機能を拡張する強力な機能です。
従来のブリッジがアセットを移転する貿易ルートのようなものだとすれば、XCMは複数のパラチェーンがアセットに限定されない商品を「輸出」できる自由貿易協定であり、各パラチェーンが他のブロックチェーンで使用できる特化した機能を構築できるようにするものです。
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2 ブロックチェーンの未来
ブロックチェーン同士がより統合され、多様なユースケースを共有する未来が見えます。
ブロックチェーンは特定のユーティリティに焦点を当て、外部の資産をその主権ネットワークにもたらす必要があるでしょう。
成長はエコシステムやアプリケーション内のユーティリティだけでなく、他のブロックチェーンに提供できるユーティリティによってもたらされます。
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ネットワーク内の競争は減り、ネットワークやコミュニティ間の協力が増えるでしょう。
私たちは、Astar Networkが、様々な言語で書かれ、他のパラチェーンの機能を使用して、相互運用可能なdAppsのユニークな体験を生み出すことができる革新的なdAppプロジェクトのハブになることを望んでいます。
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3 マルチチェーンと相互運用性
1 マルチチェーンdApps
この文脈では、マルチチェーンdAppとは、流動性の最大化、ガスコストの削減、パフォーマンスの向上、ユーザーベースの増加などを目的として、複数のネットワーク上に展開されるプロジェクトを指します。
DeFiとNFTのマーケットプレイスは最も一般的なマルチチェーンdAppsであり、少ない取引手数料で複数のチェーン上にトークンを持つことで最も利益を得ることができます。
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例えば、同じ機能を提供するサイドチェーンやレイヤー2チェーンにデプロイされるDEXプロトコルは、取引手数料を支払うためのトークンが異なるものの、マルチチェーンdAppsとみなすことができます。
翻訳者注
まさに上と同じ構造で、チェーンは異なるものの、機能が同じという状態ですね。
もう一つの例は、ユーザーが単一または類似のUIからdAppのホストチェーンを変更できる場合です。
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前述の長所に加え、同じコントラクト環境(例えばEVM)をサポートするチェーン上でマルチチェーンdAppsを開発するのは非常に簡単です。
多くの場合、このようなマルチチェーンのDeFiプロジェクトやDAOの成功は、トークンのネームバリューと流動性に依存しており、ホストネットワークの価値提案を無視して、ユーザーベースの増加、高い流動性、低い取引コストを追求します。
翻訳者注
マルチチェーンの成功は、いかにガス代が安いかや、有名なチェーンを引き入れるかということに依存しています。
本来なら、それぞれのチェーンに特徴があるはずですが、その特性や利点は十分活用されていないということが述べられています。
しかし、既に特定のブロックチェーン上で確立されているプライバシーdApps、オラクル、NFTプロジェクト、その他のDAOプロジェクトにとっては、ブロックチェーンネットワークにサービスを提供する中央集権的な組織でない限り、マルチチェーン化するインセンティブはありません。
翻訳者注
すでに一つのチェーンで確立しているということは、その特性やコミュニティを利用しています。
新しいチェーンに対応させるということは、その機能に適用し、コミュニティを作るための時間やリソースも必要になります。
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そのため、プロジェクトは人気のあるdAppsを新しいチェーンにフォークさせる傾向があります。
翻訳者注
これは、新しいブロックチェーンネットワークに自己を確立するための最良の方法の一つとされています。
新しいチェーンが成長する中で、既存の成功したdAppの機能や人気を利用して自己の存在感を高めることができるからです。
2 相互運用可能(クロスコンセンサス)なdApps
私たちは相互運用性を複数のブロックチェーン間の通信と定義しており、単一のネットワーク上のdApps間の相互運用性は定義していません。
マルチチェーンdAppが、統一されたUIによって制御される異なるネットワーク上に同じdAppをデプロイすることであるならば、相互運用可能なdAppは、単一のブロックチェーン上の単一のdAppであり、そのコア機能として他のブロックチェーンの機能や流動性を活用するものと定義できます。
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現在のエコシステムでは、このようなプロジェクトはあまり見られませんが、可能性のある例を考えることはできます。
例えば、流動性を最大化するためにNFTをイーサリアムに上場して取引し、DAOの原動力となるDEXプロトコルは取引手数料を下げるためにポリゴンに導入するというDAOプロジェクトが考えられます。
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別の例としては、複数のネットワーク上の単一アカウントが所有するNFTからアセットをインポートできるメタバースプロジェクトがあります。
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最後に、直接統合され、ブリッジコントラクトに依存するdAppも相互運用可能なdAppとみなすことができます。
例からわかるように、現在のエコシステムでは、プロジェクトはアーキテクチャをまとめるために集中型のプロトコルやチャネルに大きく依存しています。
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しかし、Polkadotのエコシステムでは、XCMが普遍的な汎用メッセージフォーマットとして機能し、スキームを実装するあらゆるブロックチェーン(つまりパラチェーン)で解釈可能です。
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そして、分散型で信頼性の高いメッセージリレーヤー(伝達者)の保証としてPolkadotのバリデータを使用するため、この問題はなくなると考えています。
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これは従来のブリッジでは不可能です。
言い換えれば、受信者と送信者のブロックチェーンが適切に機能している限り、メッセージを送信するチャネルの整合性や、データ構造の問題は気にする必要がなくなります。
翻訳者注
ここの部分はバリデータに任せているためです。
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これを念頭に置くと、1つのdAppが異なるネットワークでしか利用できない機能やアセットに依存するような、新しいdAppアーキテクチャを想像することができます。
一般的な例として、チェーンAにデプロイされたdAppが、チェーンBにデプロイされた別のdAppからのコールや、チェーンDからのサブストレートパレットコールを実行できることを想像してみてください。
翻訳者注
パレットとは、Substrateのフレームワークの一部で、再利用可能なコンポーネントであり、特定の機能やロジック(たとえば、トランザクションの処理や状態の更新など)を実行します。
パレットはModular(モジュラー)であり、それぞれが独自の特定の機能を持つため、異なるパレットを組み合わせて新しいブロックチェーンを作成することが可能です。
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これらのリモートdAppは、バックで特定の機能を別のdAppに依存することもでき、様々なスマートコントラクトやネットワーク間で相互接続された相互作用のウェブを作ります。
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私たちは、現在のdAppエコシステムが停滞しているのは、ほとんどのブロックチェーンが特化することなく、専用のユーティリティ機能を提供することなく、汎用的なスマートコントラクトプラットフォームになろうとしているからだと考えています。
このため、プロジェクトは新しいネットワークに自分のプロジェクトを展開しようとするたびに車輪を再発明しなければなりません。
しかし、もしパレットを通じて専用の包括的なオラクルサービスを提供することに特化したパブリック、コンソーシアム、プライベートのSubstrate parachainがあるとしたらどうでしょう。(特定の機能は、集中型システムを使用しないとEVM環境内で実装することが難しいため)。
翻訳者注
この部分は、EVMでの実装には限界があると指摘しています。
例えば、特定の高度な機能や複雑な計算を実行するには、イーサリアム環境では中心化されたサービスやオラクル(ブロックチェーンの外部から信頼できる情報を供給するサービス)を利用する必要があります。
一方、専門的なパレットを持つブロックチェーンであれば、その機能を提供できるということを言っています。
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他のブロックチェーンが複数のチェーンに同じコントラクトをデプロイすることなくこの機能を利用でき、複数のチェーンが同じソースから読み取ることができれば、全体的なセキュリティと分散化の度合いが高まる一方で、妥協することなく優れたユーティリティを提供することができます。
もう一つの例として、1inchのような分散型クロスチェーンDEXアグリゲーターが考えられるます。
翻訳者注
DEXアグリゲーターとは一つのプラットフォームで複数のDEXからの最適な取引を探し、ユーザーに提供します。
これにより、ユーザーは最良の取引価格を見つけやすくなります。
トークンのスワップのためにイーサリアムだけでなく、他のブロックチェーンの相場を見ることで、スリッページを改善し、正確なトークン価格を反映することができます。
翻訳者注
ここでは、さらに一歩進んで、このアグリゲータがEthereumだけでなく、他のブロックチェーンからも価格情報を見るようなシステムを想像しています。
これにより、トークンのスワップ(交換)におけるスリッページ(注文時の価格と実際の取引価格との差)の改善や、より正確なトークン価格の反映が可能になると考えられます。
相互運用可能な未来ではdAppの全体的なアーキテクチャはより複雑になると考えられますが、プロジェクトがイノベーションを望むのであれば、このシステムの利点がわかるでしょう。
第2部と第3部では、XCM dAppsとスマートコントラクトによる資産の多様性について説明し、Astar HubとPolkadotエコシステムが真の相互運用性を実現している例を紹介します。
以上です。
サポートをしていただけたらすごく嬉しいです😄 いただけたサポートを励みに、これからもコツコツ頑張っていきます😊