睡眠薬の夢遊症状で電子レンジを焼きかけた

 不眠症、特に睡眠導入に難があるので薬を飲んでいる。今飲んでいるのはルネスタとレンドルミンだ。それでも眠るのが難しく、一時間二時間かかることもあって、結局ソファで横たわっているうちに寝落ちしてしまうのを待っている。

 睡眠薬の副作用に健忘や夢遊症状があって、ようは薬が効いている間の行動を忘れてしまうというもので、これまでも半分意識が曖昧なままテーブルの上にあったお菓子を食べてしまって、朝起きて空袋があって「?」となることがあった。

 昨日はいつもより焦燥感があって眠るのにもかなり時間がかかって、いつもと同じようにソファで眠っていた。一時過ぎにいったん眠ったのだと思う。それからおよそ一時間ほど経って、ぼんやりと「おなか空いた。パンを食べよう」という意識が生まれて、パンを探し始めた。うちにはベースブレッドがあるので食べようと思えばそれを食べればよいのだけど、そのときの自分は何か違っていて「パンをレンジで温めなくちゃ」という思考が頭を支配していて、パン(だと自分が思ったもの)を掴んで電子レンジへと向かった。このときも暗闇だというのもあって足元がふらついていて、部屋の壁にガンガンぶつけていて、反対側の部屋に行ったりもしていた。そうこうしている間に電子レンジを見つけて、手に持っていたものを入れ、「600Wで4分にしよう」と思ってスイッチを入れた。

 その場から離れず、電子レンジが動いているのを見ていた。それが結果的に自分を救うことになる。2分ほど稼働をしていたら、電子レンジの中からもこもこもこと煙が溢れてでてきた。ここでようやく意識が完全に戻り、「煙が出ることなんておかしい!」となって停止ボタンを押して少し待ってからドアを開けた。そこにあったのはパンではなく、寝転がりながら眺めていた紙の本だった。本はチリチリになって端は焦げて若干赤く熱を持っているし取り出すのも厳しそうだったが、隅を摘まんでガスコンロの上に置いてあったフライパンに移動し、水を掛けた。

 どうして本をパンだと認識していたのか、普段温めないパンを電子レンジに入れようとしたのか、今となっては本当に何も思い出せないのだけど、あと2分加熱していたら電子レンジもさすがに燃えていたかもしれないし、最悪そのあたりの家電を巻き込んで全滅させていたかもしれない。

 今回はさすがに肝が冷えて怖くなったので、これを繰り返すわけにはいかず仕方ないけど睡眠薬を減らす方向で行くことにした。眠れないより家を焼くことの方が怖い。

 と言う話。



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