CRISPR Systems の分類

CRISPR-Cas SystemはClass 1 とClass 2に, さらにType I~VI, その下にいくつかのサブタイプで分類できる。(歴史としてはTypeが先にあって、後にClassができた)

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959440X16301981


まず最も大きいClass分けについて

Class 1とClass 2はCasタンパク質の数が異なる。

Class 1は複数のCasタンパク質によってCas(es)-RNA 複合体が形成され、核酸を切断する。

Class 2は一つのCasタンパク質とRNAとでCas-RNA 複合体が形成されて、核酸を切断する。


Type I~VIの分類について

 Type I, III, IVがClass 1

 Type II, V, VIがClass 2

Type I

・DNAを切断
・複数のCasタンパク質
・Cascade=CRISPR-associated complex for antiviral defense
・crRNAと5種類のCasタンパク質+Cas3でDNA切断

特に有名なサブタイプはI-E

Type III

・ssRNAを切断
・複数のCasタンパク質

III-A

・Csm複合体
・Csm1~5

III-B

・Cmr複合体
・Cmr1~6

標的類似体と結合したCRISPR-Cas系Cmr複合体の結晶構造

Type IV

・Cfs複合体
・Cas8-like protein,  Cas7, Cas5


Type II

・DNAを切断
・1つのCasタンパク質 SpCas9
・標的配列をコードしたtracrRNAとCas9が認識する高次構造を形成するcrRNAとで二本鎖RNAを形成することでtarcrRNA配列特異的にCas9がリクルートされる

Type V

・単一のタンパク質 AsCpf1
・二本鎖DNA切断
・tracrRNA不要
・Type IIのSpCas9との違い(PAM配列, 切断箇所, 切断末端が突出)

Type VI

・Cas13
・単一のタンパク質
・RNAを標的とする

Type-IとIIIはアミノ酸配列・立体構造から進化的には同じ祖先から進化したと考えられている。


もともとのCRISPR-Casの作用機構

CRISPR-Casのシステムは古細菌やバクテリアが保有する外来DNAやRNAに対する適応免疫システムである。

CRISPR遺伝子座にはCasタンパク質をコードする領域(Cas Operon)とCRISPR RNA(crRNA)と呼ばれるRNAをコードする領域(CRISPR array)がある。

CRISPR arrayから転写されてできたRNA(pre-crRNA)はCas6などによってより短いcrRNAに処理される。

それぞれのcrRNA特有の高次構造に特異的にCasタンパク質が結合。

Typeごとの機構によってCasタンパク質-RNA複合体を形成し、標的核酸配列へと誘導される。

https://www.nature.com/articles/nrmicro2577


Cas1とかCas9とかってなに?

CRISPR-Cas Systemに関与してくるタンパク質の番号。ただの番号の振り分け。
Cas9はType III, 単独でDNA切断できる。

Cas1...Proto-spacer Adjacent Motif(PAM)配列を認識
Cas2...Proto-spacer Adjacent Motif(PAM)配列を認識, DNA/RNA切断

II型CRISPR-Casが、Cas1-Cas2を介したスペーサー組み込みを介して免疫を確立する仕組み | Nature | Nature Research


Cas3...DNA切断

Cas4...DNA切断

Cas5...crRNAを認識, 結合する

Cas6...pre-crRNAのプロセシングに関わる

Cas7...crRNAを認識, 結合する

Cas8...crRNAを認識, 結合する

Cas9...Type IIのCasタンパク質 (crRNA認識, DNA切断, PAM認識をする)

Cas10...crRNAを認識, DNA切断をする

Cas11...Subunit

Cas12...Type VのCasタンパク質

Cas13...RNA編集


Class 1とClass 2はCellがいい感じのポスターを作っているのでリンクをおいておきます

Class 1

Class 2


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