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姫路モノレールをつくる

姫路モノレールとは


姫路駅から姫路城とは違う方向、手柄山方面に行くと巨大なコンクリートの塊や商店から突き出している橋脚など目を引く構造物が多数ある。これが姫路モノレールの軌道跡で一部撤去はされているものの終点の手柄山公園に向かって遺構が続いている。かつては10階建て公団住宅の3,4階部分に駅を設けた他に例のない構造を持っていた大将軍駅も残っており(2016年に解体)、廃線跡の遺構は独特な雰囲気であった。1966年に開業し1979年に廃止され営業期間はたったの8年、遺構としての期間の方が長いモノレールで、車両は2011年から手柄山公園で公開保存されている。


手柄山公園で保存されている姫路モノレールの車両

※本記事は1/150で製品化している姫路モノレールの製作記です。
製品そのものの詳細はHPへどうぞ。

姫路モノレールとの関係

私は関西の出身なので、姫路(姫路城)には学校の遠足等で訪れる機会が多くありました。遠足といっても移動時間は長く、姫路セントラルパークが日本一心の距離が遠いサファリパークと自虐的に謳っているように距離の割に意外と遠いと感じる場所です。体感的には明石海峡大橋を渡って徳島に行くより遠く感じます。実際にはそこまで遠くないので幼少期から何度も行くことになり、何か独特な建造物が目に留まり妙な遠さも相まって海外の遺跡を見るような気になっていました。

姫路モノレールは8年で運行休止、当時の運賃はタクシーよりも高いと言われた事もあり関西出身の両親もその遺構が何かは分からずでした。それでも行くたびに大将軍駅や手柄山駅の塞がれた部分を見て興味は高まる一方でした。特に手柄山駅の塞がれた部分の何とも言えない怪しさが好きでした。姫路城から姫路バイパスまでの間の道中は遺構を見逃すまいと車窓に釘付けにされていました。

姫路モノレールの廃線跡

正体を知ったのはインターネットが普及した中学生の時で、姫路モノレールに興味があれば知らない方はいないであろうサイトを見た時でした。あの時見たのはこれだったのかとなるどころか鳥取延伸などの壮大な計画に更に惹かれていきました。特に姫路モノレールに採用されていたロッキード式は160km/h走行が可能で、伊丹空港に行く時に乗る大阪モノレールがゆっくり走っていてモノレールは遅いイメージを覆すような記述には驚いたのを覚えています。この頃鉄道が好きな友人の間でもこのサイトは話題になっており、手柄山の塞がれている奥に車両が今も保存されているというのが子供心をくすぐっていました。当時よく作っていた秘密基地に通じるものがあったような気がします。

姫路モノレールのサイトを初めて見て実際に見に行きたい欲は高まる一方でした。しかし中学生では往復4,000円近い運賃を捻出する事は不可能で、高校受験もありしばらく姫路からは離れていました。再燃したのは2009年に姫路モノレールが公開された時で、この時はずっと塞がれていた手柄山駅を開けて車両が外で見られました。姫路モノレールを目的に姫路に行ったのはこれが初めてで、この時初めて今まで惹かれていた遺構の数々を近くで見る事ができました。近くで見ると本当に大きくその存在感に圧倒的されました。当時まだ残っていた大将軍駅も見る事ができ、その異形と共に究極の駅近に興奮したのを今でも覚えています。

手柄山公園で初めて実物を見た姫路モノレールの車両の第一印象は丸っこくて可愛いでした。160km/h出せるという方式のイメージのせいかもっと精悍な感じを勝手に持っていました。近づいて回り込んで側面から見てみると顔に傾斜が付いていてやっぱりスピード感もあるデザインで愛らしさとかっこよさがどちらもある事に驚きました。今回製作にあたっては当時の記録を見返し、上記の様な初印象を残すようにしています。

模型製作

手柄山公園での公開から10年ほど経ち、2020年前後には3Dプリンタの普及で個人的な製作が容易になっていました。これが自分にとっては有難い存在でした。
姫路モノレールの初公開より前から模型趣味を持っていましたが、製作の腕は高くなくガンプラをカッコよくしてみたいと切り刻んではその跡をうまく消せないような製作を多くしていました。当然姫路モノレールも手元に欲しかったのですが何から改造していいかは当然分からず、とはいえフルスクラッチも当然できず八方塞がりでした。

そんな時、3DCADと3Dプリンタで物が作れるようになったのは幸運でした。3Dプリンタでの製作は何かと費用も掛かってしまうのですが、既に社会人になっていたのでそこも何とかクリア。取り掛かり始めたのは2021年頃で、この頃にはフルカラー3Dプリントを使えば3DCADで色付けまで行ってしまうと3Dプリント後は組み立てるだけで完成させる事ができました。

国立国会図書館や手柄山公園で保存されている実車で集めた資料から3Dモデリングを行い、フルカラー3Dプリントで製作が完了しました。

完成した姫路モノレールの模型



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