秋の雨上がりの公園で
今日は練習試合の予定だったものの、雨天中止。部活自体も休みになり
彩:(急に休みになったからやることなくて退屈だなー。)
ぽや〜っと過ごした午前中。午後になると雨も上がりいい天気になったので、気分転換に散歩でも行くことに。
彩:〜♪
お気に入りの音楽を聴きながらルンルンと歩く彩。
彩:(いいお天気♪)
キンモクセイの香りが漂い、暑くはなく、ちょっぴり肌寒さも感じる、秋の空気の中
彩:…。
いつだかの夏の試合の後、夜に○○と会った公園の近くに差し掛かる。
彩:(池田くん居ないかな?)
たまたまフラッと出歩いたら、意中の人とばったり会う…そんなミラクルあるわけないだろ!なんてわかってはいるものの、公園の中を見渡してみると
彩:えっ!!?
公園の端のほうで、黙々とバットを振る人影を発見。
彩:(すごい!運命かも♡)
気づかれないように回り込んで…後ろからこっそり近づいて
彩:(ふふ♡)
真剣な表情でバットを振る姿を見つめ
彩:…キミ、なかなか筋がいいねぇ…どこのチームの4番だい?
○○:はっ…!?💦
急に声をかけられ、驚いたように彩の方を振り返る○○。
○○:お、小川!?びっくりした…何やってんだよこんな所で。
彩:お散歩♪池田くん居ないかなーって思って公園見たらほんとに池田くん居たの。すごくない?笑
そう言ってにこにこと笑う彩に
○○:まぁここ俺んちから1番近い公園だし…てか、そんなに俺に会いたかったんだ?笑
ちょっとイジるように言ってみると
彩:…会いたかったよ?
普通に、そう返され
○○:えっ?💦あ、ああ…そうなんだ。
ドキッとしたのか、急にしどろもどろになる○○に、思わず笑ってしまう彩。
彩:んふふ、邪魔してごめんね。続けて?
○○:(近くで見られてるとやりづらいな…。)
なんて思いつつ、バットを構えると真剣な表情。
何かを確認するかのように…一振り一振り、丁寧なスイング。
風を切るバットの音が、心地よい。
すると
○○:…あ、そうだ。
徐ろにスマホを取り出す○○。
○○:ちょっと…動画で撮ってくんない?あとでフォーム見返したいから。
彩:ふふ、いいよ♪
カメラを起動して、彩にスマホを渡す○○。
彩:いぇーい、池田くんのスマホゲット〜♪LINE見ていい?笑
○○:やめて。笑
彩:ん?何か見られたら困るようなことでも話してんのか?お?笑
○○:…じゃあ見てもいいけど、小川のも見せて?
彩:…それはダメ。
○○:ほら。笑
なんて冗談はさておき、○○のフォームを撮影する彩。
右から、左から、前から、後ろから…
彩:池田くんさ、ちょっとフォーム変えたでしょ。
○○:えっ、わかんの?
彩:わかるよ〜♪構えた時のバットの角度とか、タイミング取る時の脚上げる高さとか!
○○:…すげぇな。
彩:ふふ♡だってマネージャーだもんっ♪
そう言ってばちばちのドヤ顔をキメる彩に、きゅんとくる○○。
ひと通り撮り終えて、スマホを返す彩。
彩:ん!
○○:ありがと。
すると
彩:ね!バット貸して?あやも素振りする!
○○:いいよ。周り気を付けてな。
○○のバットを手に取り、構えると
彩:(お、重っ…!💦)
ふらふらしながら、まるでバットに振られてるかのような、へなちょこスイング。
○○:あはは、そんなんじゃ前飛ばないよ。笑
彩:…む!
○○に煽られ闘志に火がついた彩。もう一度構えて、今度は思い切りスイング。
彩:…えいっ!!
○○:おー、いい!今のはマリンの壁直撃したかも!笑
彩:ほんと?へっへっへ。笑
褒められてドヤ顔しながら、バットを○○に返す彩。
○○:もう終わり?
彩:疲れた!
○○:はや。笑
――――――――――
近くの自販機でジュースでも買って、ベンチで一息。
○○:あー、今日試合したかったなー。
恨めしそうに青空を見上げる○○。
彩:ね。こんなに晴れてるもんね。
○○:まぁ…グランドがぐじゅぐじゅだろうから、仕方ないんだろうけどな。
そう言って、ごくっとジュースを飲み干し
○○:…よしっ。
バットを手にして、立ち上がる。
彩:おっ、もう再開?
○○:あんまり休むと身体が冷えちゃうから。
彩:ふふ、頑張って♡
ベンチに座ったまま、ジュース片手に見守っていると
○○:…小川は?
彩:えっ?
○○:いいの?いつまでもここに居て。
彩:…。
彩:もうちょっとだけ居たい…いい?
○○:…うん。笑
彩:へへ、やった♪
○○:…。笑
笑顔の彩に、どこか嬉しそうに微笑む○○でした。