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好きから逃げた先で見つけた好きの話

わたしには大好きなアイドルがいる。
ジャニーズ事務所所属の6人組、SixTONES。

大丈夫、これはJO1の沼落ちブログで合っているので閉じるのはまだ待ってほしい。むしろここがとても重要なのだ。



先述の通り、わたしはSixTONESが大好きだ。文字通り全員が。個人名をあげて○○担と名乗るよりは、箱推しと表現した方がしっくりくる。

メンバーの誰が、いつ、どんな番組に出演するかは見逃さないし、毎週土曜夜23:30から1時間半に渡って放送されているオールナイトニッポンサタデースペシャルだって、好きになってから一度もオンタイム視聴を逃したことはない。マメなメンバー2人が毎日更新してくれる個人ブログを寝る前にベッドの上で読み返しては、幸せな気持ちで眠りについていた。

だから、ツアーが決まった時は嬉しかった。

Jr.期からデビューを跨ぐ大切なツアーを、未曾有のウイルスによって断念せざるを得なくなった彼らが、待望の1stアルバムを引っ提げてのツアー。行きたくない訳がない、絶対に行く、絶対に当てる。強い意志のもと、申込をした。


結果は落選。


仕方ない。ジャニーズ事務所に所属するタレントとして初めてYouTubeに進出した彼らは、自粛期間中に驚くほどのファンを獲得していた。テレビにも精力的に出演していたし、バラエティに強いメンバーや演技に強いメンバーがいることもあり、それぞれ違う入口からファンを増やしていた。


とても誇らしかった。
だけど、それ以上に悔しかった。

どんなに好きでも、行きたい意思があっても、チケットが当たらないことにはその場にはいられない。また、落ち着かない社会情勢が入場制限を設けさせたことで、もともとの狭き門を更に狭くしていたこともあり、きっと倍率は過去に類を見ないものだっただろう。


頭では理解していた。すべては運でしかないことも、悔しい思いをしているのは自分だけではないことも。

理解していても、耐えられないものだった。
それほどまでに、わたしはSixTONESが大好きだったのだと気付かされた。


それを自覚した途端、逃げ出したくなった。
ほんのひと時でも、この好きな気持ちを投げ出してしまいたくなった。
投げ出したって戻る先はSixTONESにしかないのに、忘れてしまいたくなった。最低だ。


自己嫌悪に苛まれながらなんとか社会人生活を送っていたある日、わたしはお昼休憩をひとりで迎えていた。相変わらずSixTONESが好きで、でも好きなことが辛くて、もう何も考えたくなかった。とにかく何も考えずにいられる何かが欲しくて、あてどなく開いたのはYouTubeだった。

すでにご存知かと思うが、YouTubeは検索履歴や視聴履歴によってページを開いた時に表示される関連動画が変わる。もちろんわたしのページにはしっかりとSixTONESの動画が表示されていて、画面を下にスクロールしながらこんなところでもSixTONESが好きなことを実感するのだなと、皮肉にも似た気持ちだった。


検索欄を遡っていたとき、ふと指が止まった。
そこには、「中本大賀 lemon」という検索履歴があった。
プデュ無印に出演していた、友人の推しだった。

そう言えばこの子歌がうまかったな、と軽く履歴をタップして再生した。やはり記憶の通り、感情が込められた素敵な歌声だった。残念ながらデビューは掴めなかった彼だが、確か春クールの月9ドラマに出演していたと記憶している。どうか彼の夢が叶うといいと思った。


歌が終わり、画面下からスルリと関連動画があがってきた。そこにあったのが、JO1の動画だった。

今となってはもうそれがなんの動画だったのかは思い出せないが、「そういえばこの子たちの弟グループのメンバーが決まったんだったな」とぼんやり思ったことは覚えている。それぐらい、その瞬間までのわたしにとってプデュもJO1も遠い遠い存在だった。


何が琴線に触れたのかは分からない。
ただ何となく、検索窓に「JO1」と入力してみた。
途端に弾き出された無数の動画の中のひとつを、ただ何となくタップしてみた。

木全翔也・佐藤景瑚が気まぐれで始めた、ゲリラインスタライブの映像だった。


一言でいうと、とても面白かった。
生粋の関西人ということもあって、それなりに笑いにはシビアなつもりでいたが、予想を遥かに凌駕する面白さだった。

JO1のメンバーの中でかろうじて顔と名前を一致させることができていた鶴房汐恩くんが、バリバリの関西人であることを知った。想像よりガハガハ笑う子だった。


動画が終わる。気づけば頬が痛くなるぐらい笑っていた。
中でも、歯磨きをしながら絶妙な体勢でソファの後ろを通って行った蓮くんを「モンスターズ・インクのランドール」と絶妙な例えツッコミで表現した子が気になった。

ブラウザ起動、検索窓に「JO1 メンバー」と打ち込む。詳細なプロフィールやメンバーカラー、オーディション時の評価に至るまで分かりやすくまとめられたページが見つかった。大変ありがたい。

なるほど、彼は佐藤景瑚くん。メンバーカラーがキャメル?珍しい……なるほど身長が高くて脚が長い、確かにスタイルが良さそうな顔だった(適当)気になる。気になる、すごく気になる。


またYouTubeに戻った。今度は検索窓に「佐藤景瑚」と入力してみた。ずらりと並んだ動画の中の、「けごたくまとめ」なるもののサムネイル画像が気になった。

なんかめちゃめちゃ顔が綺麗な男の子同士が距離感バカになっている。当方、正直こういう類の絡みは大好物である。迷わず動画を再生した。


目の前で何かが弾けた気がした。時間にしてわずか4分程度のまとめ動画だったが、佐藤景瑚くんの横で満点の笑顔を見せるピンク色の髪をした男の子から目が離せなくなった。


川西拓実。

わたしは彼を知っていた。JO1がデビューすると決まったとき、確か友人が好きだと言っていた子だ。何度か画像を見せてもらったな、整った顔をしたかわいい子だな、と思っていたし、そう伝えたと思う。


一度画面を閉じた。予感がしたから。


きっとこのまま動画を見続ければ、次は彼の情報を調べ始めるし、それが落ち着いたらきっと他のメンバーの情報も集め始める。きっと、JO1を好きになってしまう。もう何年も自分を続けてきたのだ、それぐらい分かる。

きっとまだ、引き返せるところにいた。

わたしは画面を開いた。
YouTubeを観るために。
川西拓実くんを、JO1を、知るために。


それから時が流れるのは早かった。

公式YouTubeチャンネルをチャンネル登録し、公式ツイッター・Instagramをフォローした。「JO1 HOUSE」なる番組があることを知り、GYAO!をインストールした。

初めは見分けが付かなかった木全・しょせ・純喜を含む11人の顔と名前が、ほんの2時間で一致した。ていうか見分け付かないとか言ってごめんね、全然違うって今なら分かるよ。

迷いに迷ったけれど、JO1のことをつぶやくためのツイッターアカウントも新設した。


毎日動画を観た。朝の電車の中、昼休憩、帰りの電車の中、帰宅後は録画したドラマそっちのけでJO1 HOUSEを頭から観た。

パフォーマンスを観るたび、歌を聴くたび、メンバーに甘える姿を見るたび、好きになった。最初は「川西拓実くん」とフルネームで呼んでいた名前も、いつの間にか「たくみ」「たく」と愛情を込めて呼び始めた。


徐々にメンバーのことも理解できてきた。
呼び方が変わった。

ヨナ、れんれん、瑠姫、純喜、景瑚、たく、木全、しょせ、碧海、汐恩、おまめ

みんなが大好きになった。
たくの笑った顔が大好きなわたしにとって、いちばん近くでたくの笑顔を作ってくれる、守ってくれる10人は、かけがえのない存在になった。


SixTONESが大好きなことが辛くて逃げ出したわたしは、逃げ出した先で、新しく大好きな宝物を見つけた。



本当はとても怖かった。

JO1について発信する専用のアカウントを新設することで、わたしの中からSixTONESが好きな気持ちが消えてしまうかもしれないと、怖かった。


逆だった。
心の風通しがよくなった。不思議と楽になった。

JO1が好きだという気持ちを受け止めて、大切に守ろうと決めた瞬間、SixTONESが好きだという気持ちも、ゆっくりと戻ってきた。逃げ出したいと思うほど大きく膨れあがってわたしを突き破っていた大好きが、柔らかく形を変えて戻ってきてくれた。

好きなものって、きっといくつあってもいい。
むしろ、あればあるほどいいのかもしれない。

「好きだな」と感じるものの数だけ、生きていこうと思える強さを持てる気がするから。


今まで通りの生活にはまだ戻れそうにないし、生きているだけでお金がかかるし、大半の労働はクソだし(口が悪い)人間ってものすごくコスパが悪いけど、人生をトータルで見たとき、今この瞬間大好きなものたちに囲まれて生きているわたしは、最高に幸せだ。


最後に。


川西拓実くんへ

たくに出会えてよかった。
たくの笑顔に何度救われて、何度幸せをもらえたか分からない。

たくにはこの先もずっとずっと笑っていてほしいし、一緒にまだ見たことないトップの景色を見たいと思う。まだまだ歴の浅いファンだけど、たくのことを大切に思う気持ちをこれからゆっくりじっくり育てていくね。

生まれてきてくれてありがとう。
この道を選んでくれてありがとう。
わたしの宝物になってくれてありがとう。


永遠を約束できない代わりに、
今この瞬間の精一杯の愛を。


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