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リハビリテーションと恐怖

 リハビリを行なっていると、特に私にとって歩行訓練は転倒の恐怖との戦いでもある。平行棒や手摺を使っている時は安心なのだが、つえを使う時は安定性が小さい為転けない様にという方に注意を向けながらの歩行となる。
 最初に味わった恐怖は、立位になることだ。今まで臥位で生活してきたので目線は低いところにあった。その状態から座位、立位と目線が上がるにつれ恐怖が出てきた。安定しない脚で立っていると以前はこんな目線で生活してたのかと思ったものだ。しかしこの恐怖も歩行訓練など重ね、また、車椅子に自分で移乗する様になると以前の感じで恐怖はなくなった。
 しかし、今でもだが一番怖いのは、階段だ。最初に階段を登る訓練をした時あの小さい段差を片足で安定をとりながら上がっていくのは正直恐怖でしかなかった。それからリハビリを繰り返し、リハビリ室にある練習用の階段はなんとかこなせる様になったが、普通の建物の階段は今でも難しい。
 今では立派な高所恐怖症、というより階段恐怖症である。階段を上から覗き込むと足がすくんでしまう。
 友人がスパイスカレーのお店を営んでいるのだがそこは二階にあり階段を登らなければならない。友人のスパイスカレーは美味しいから食べに行きたいけど階段を登らなければ、と思うと足が遠のいてしまう。悲しい。

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