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吐瀉

まるでほつれた穴を広げるように
感情というデリケートな部分を
遠慮なく掻き乱すあの子や
他人を自分のエピソードのスパイスにして
いつまでも煮え切らない鍋を掻き回すあの子
深夜に一人で口に運んだケーキの味は
全く求めていない味だった

共感を強いられた時
どうして他者の幸せに
自分の気持ちを重ねられるのか不思議に思う
そもそも共有していないのだから
共感の生まれようがない

浅はかさが愛おしい時もあれば
愚かさに救われる時もあるけれど
心が硬く縮んでも譲れない時がある

理解されたいだなんて思っていないから
嘘を吐かさせないでほしい
わかったふりをしているけれど
見当違いすぎて
喉を湿らすことで場を繋ぐ

声の温度が鬱陶しいし
声の色味が気持ち悪い

楽しかったなんて思っていないのだから
楽しかったねなんて聞きたくもない

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