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Vol.007 最後のピースを忘れちゃいませんか?〜ISO感度と各モードの話〜

前回までの話から、絞りとSS(シャッタースピード)が写真の適正露出に重要な役割を担っていることは、なんとなくわかったかと思います。
次に理解しなければいけないのは、この2つの関係についてです。言ってしまえば、この2つは「対の関係」と言えます。基本的には2つを同時に決めなくてはいけません。

その前に、適正露出を決める要素には

絞り
SS(シャッタースピード)
ISO感度


の3つがありますと、以前お話しました。


今回お話するのは、このISO感度のお話です。
これは、縁の下の力持ちのような存在ですが
実は非常に大切な要素なので、じっくりとお話しようと思います。
(市販のカメラ、カメラ機能のあるスマホなどには
ほぼ全て搭載されている項目です。)

ほぼ全てのカメラに「ISO」のボタンや設定コマンドはあるはず!

ISO感度とは?



ISO感度とは、カメラ(の中にあるセンサー)がレンズを通って入ってきた光をどれくらい感じとるか、その光の感じやすさを数値化したものになります。(ISOは国際標準化機構という世界中のいろんな基準を決める団体の略称で、その中で決められた数値なのでISO感度と呼ばれます。)

例えばですが人間でも「感度のいい人」、「感度の鈍い人」、と言いますよね?

1を聞いたら2にも3にも先回りして行動する人
1を聞いても、半分も理解できない鈍い人(笑)

ISO感度も意味は同じです。この設定で、入ってきた光を何倍にも増幅して明るくすることも、逆に半分にしか感じ取らなくすることで暗くすることもできます。

  • ISO感度を2倍にすると、光は増幅され2倍の明るさになります。つまり、半分しかない光の量(そのままだと露出アンダー)でも、倍に増幅され適正露出になります。

  • 逆に、ISO感度を半分にすると光は減光され半分の明るさになります。そのままだと露出オーバーな写真も、半分の明るさになるので適正露出になります。


感度表示は、100 – 200 – 400 – 800 -1600-3200と変化していき、12800とか25600くらいに大きな数字にできる機種もあります。たくさん数字があるので、どこに設定すればいいのか最初は戸惑うと思います。最初は100.400.800.1600くらいを常用設定としてみましょう。目安としては

ISO100     とても明るい晴天の外
ISO400 曇り空や明るい室内など
ISO800 夕暮れや窓の少ない室内など
ISO1600 ナイトシーンなど

こんな感じで撮影シーンに合わせて、ISO感度を切り替えましょう。

100から200に感度の数字が倍になることを
1段(1EV)上がる・増える と表します。
200から100に感度の数字が半分になると
1段(1EV)下がる・減る と表します。

これは、絞りやSSの1段(1EV)と同じだけの光の量の増減を表します。

こんな数字が書いてあると思います。
ISOを動かすと、それに応じて下のインジケーターも動きます


低感度と高感度


感度は、数字の少ないほうが低感度(光の感じ取り方が鈍い)です。明るい環境下なら、そんなに感度は高くなくても
十分明るさは確保できますからね。もうひとつ、感度は低感度のほうが画像の解像力が良く、ノイズも出ません。
なので、きれいな写真を撮りたいなら、なるべく感度は低い状態をオススメします。

でも、暗い環境下の撮影の時、低感度のままだと光が足りなくなる状況にあるので、例えばシャッタースピードを遅くしたり、絞りを開けたりストロボを光らせたりと何かしら露出を多くしてあげる必要があります。SSを遅くすると、ブレの原因になりますし絞りを開けすぎるとボケが強くなるので、そうしたくない時にはあまり動かしたくない。

その場合には、感度を高くする(数字を上げる)ことで絞りやSSを動かさずに、足りない光を補なうことが可能です。
でも、少ない光を増幅させるため、感度が高くなるに従って徐々にノイズが目立ってきます

低いISO感度 → 光の増幅が小さい→多くの光を必要とするがノイズは少なくてきれい

高いISO感度 → 光の増幅が大きい→少ない光でも明るくなるけどノイズが乗りやすい

ただ、最近のカメラは「高感度にも強い」という特性を持つセンサーが多いので、多少感度を上げてもノイズが目立たなくてきれいです。機種にもよりますが、1600とか3200くらいまで上げても問題ないです。
なので、昔ほどISO感度の上げすぎのは注意!ということも
無くなりました。
(少し前のカメラだと、注意は必要です。)

感度の増減で絵がザラザラしてくるのを視覚化した図

このように

 絞り・SS(シャッタースピード)・ISO感度


この3つを組み合わせて、最終的な写真の明るさを求めていきます。
ここで、復習を兼ねてまとめてみましょう。

  • 絞りを開ける(F値字を小さくする)→ 光の量は多く明るくなる→ボケが多くなる

  • 絞りを絞る(F値を大きくする)→ 光の量は少ない暗くなる→あまりボケない

  • SSが長い → 光の量は多く明るくなる→ブレが多く軌跡のようになる

  • SSが短い → 光の量は少ない暗くなる→瞬間を切り取ることが可能

  • 低いISO感度 → 光の増幅が小さい→多くの光を必要とするがノイズは少なくてきれい

  • 高いISO感度 → 光の増幅が大きい→少ない光でも明るくなるけどノイズが乗りやすい 


カメラの各モードを理解しよう


では、一体どれを優先すればよいのでしょう?
全部考えるのは大変ですよね!!!

重要なのは、何を優先させるのか?ということです。
ブレのない写真でしょうか?ボケの生かした写真でしょうか?取り逃がしたくはないシーンを急いで撮影でしょうか?

カメラには、状況に応じて内を優先させるのかで

M・Av・Tv・P

この4モードに切り替えられる機種が多いです。
これらを選択して撮影するようにしましょう。
(絵のアイコンのモードもありますが、無視します。)

ISO感度は、数値を自身で決定するかAUTO(カメラ側が自動制御)のどちらか選択になります。

M(マニュアルモード)


これは、絞りとSSの2つを自身で決定するモードです。
ボケの表現とブレをどうするか、2つとも重要な時やあらゆる状況を加味してじっくりと撮影したい場合などはMモードを選択しましょう。
Mモードの場合は、ISO感度もマニュアルで決定するのがほとんどです。つまり、3要素を全て自身で決定することになります。なので、どれかの設定を間違うと適正露出から外れて
明るすぎたり、暗すぎたりしてしまいます。
その場合は、以前書いた露出インジケーターを利用して確認しながら決定しましょう。

目指すはこのモード

Avモード(絞り優先モード)


Av(aperture value)とは、絞り優先を意味します。
「私は絞りの数値が重要!」(つまりはボケの表現)
「でもほかも考えるは大変!」
という時には、こちらのモードを使いましょう。
絞りの値を決めれば、もう一つのSSの値はカメラが自動的に決定してくれます。
ISO感度もAUTOにすれば、なお楽ですよね。
適正露出が、絞りの数値を自身で決めるだけで手に入れることが容易になります。
ボケをどうするかというのが、写真表現ではかなりをウエイトを占めるので、このAvモードはかなり常用するモードだと思います。

Avモードもよく使います

Tvモード(シャッター速度優先モード)


Tv(time value)はシャッター速度優先を意味します。
シャッターが開いている時間(time)のTです。
「瞬間を止めたい!」
「ブラシたい!」
「手ブレしそうだから、なるべく速いSSにしなきゃ。」
と、SSをまず考慮すなくてはいけないシーンの場合は
こちらのモードを選択します。
この場合、もう一つの絞り値はカメラが自動制御してくれます。
ただ、SSを生かした写真を撮ろうとするとMモードで撮影したほうがわかりやすいので、実際はそこまで使うモードではありません。
手持ち撮影でブレは厳禁という状況の時には使ってみるといいかもしれません。
(ISO感度はやはりAUTOで)

僕自身ほとんど使いません

 

Pモード(プログラムモード)


これは、絞りとSSのどちらもカメラにおまかせのモードです。ISO感度もAUTOに設定すれば、全てカメラが決定してくれます。
撮影に慣れていなかったり、失敗が許されないので、シャッターを押すことに集中したい時には、このモードを選択しましょう。

最近のPモードは明るさがピタッとあってくれます


明るさがどうしても上手くいかない、これならスマホで撮ったほうがまし!と悩む時にはこのモードを切り替えてみましょう。

本当によくわからなければ Pモード
ボケを考慮したい時は   Avモード

この2つのどちらかを使うだけで、明るい暗いの悩みは
随分と解消されるはずです。
ISO感度も、わからなければAUTO、設定できる余裕があるなら、上記に書いてあるようなその状況に応じた数値を設定してください。

露出のトライアングルとは?


カメラの基本はMモードで撮影することです。
絞りとSSの関係をある程度理解していないと、このモードは
使いこなせません。
どういうことでしょうか?
絞りもSSも(そしてISO感度も)、明るさを調整するためのものです。

例えば、こんな写真が撮影したいと仮定します

前も後ろもボケて、少ししかピントのきていない写真。
そして、動いているものを軌跡で流したいからSSは長く!

ピントを浅くするには、絞りはできるだけ開けます。
ブラした表現をするためには、SSはできるだけ長くします。

ということは、どちらもカメラの中に取り込まれる光の量は多いので、どんどんどんどん明るくなっていきますよね?

適正な明るさにするにはどうするのか?


1.明るくなりすぎた分絞りを小さく絞る
(そのぶんボケは少なくなる)

2.SSを短くする
(そのぶんブレの量は減少する)

という感じで、どちらかの表現を妥協して調整するか
最大限どちらも生かせる設定に追い込む必要があります。

「手前から奥までびっしりとピントが来て、さらに瞬間を捉えた写真を撮りたい。」

この時はどうしましょう?どちらも取り込まれる光の量は少ないので、どちらかを動かして取り込まれる光の量を増やす必要があります。

ちょうどよい明るさの設定はたった一つです。

どちらか光の量を増やす設定にしたら、もう一つは減らす設定に。
片方が減らす設定にすれば、反対側は増やす設定に。
絞りを動かしたら、もうひとつのSSも動かして
明るさの増減をコントロールするしてバランスを保つ必要があるのです。
そして、ISO感度はその均衡設定の土台を形成しています。
これを


露出のトライアングル




といいます。
カメラを勉強する上で、最も重要なポイントであり
一番理解に時間がかかるポイントです。
このトライアングルのバランスを考えることが
重要です。
絞りとSSの関係をよく

「蛇口から出る水とバケツ」
「シーソーの関係」

に例えて理解します。

次回、そのあたりをじっくりと解説していきますのでお待ち下さい。
今回は「ISO感度」について勉強しました。
持っているスマホにも必ず書いてあると思うので
チェックしてみてください!

英語で書いてありますがこれが「露出のトライアングル」です。




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