春一番

毎年、貴方を祝う頃が春であることを
私はぼんやりとこれも運命と呼ぶのだろうな と思う

昼下がりのぽかぽかした陽気と、いつも通り羽織ったダウンの温かさがちぐはぐに感じた時。
いきつけのお店に並ぶ新作に桜味を見掛けるようになって、何となく世界にピンク色が増えたと気づく時。

春の訪れを見つけて心の奥がほんわりと滲む感覚は
私が坂田さんを思い出した気持ちによく似ている。

桜マーク、ピンク色。
暖かいお日様の匂い、柔らかい風、
まだ少し寒さが顔を出す、空気の澄んだ夜。

坂田さんは春の初めがよく似合う。

坂田さん
活動１５周年、おめでとうございます！

飽き性で怠け者の私は
15年も同じことを続けられた経験なんてなくて、

それがどれだけ凄いことだとか、今までにどれだけの辛いことがあったのかを理解することは難しいけれど、

「この活動を辞めたいと思ったことは一度もない」

その坂田さんの言葉がどれだけおかしなことなのかは、何となく、分かる。

15年間。

今思い返してみれば、
私は人様の人生に半ば強引に足を踏み入れて数年が経とうとしています。

なんの前触れもなく、突拍子もなく、
私は坂田さんの人生に足を踏み入れてしまった。
ろくに靴も揃えず、
小さな子供みたいにそこらへんに脱ぎ散らかして。

そこには「お邪魔します」も
「どうぞ」なんて返事もなかったけれど、
坂田さんはまるで初めからそこに居たかのように
たくさんの夢を語ってくれるから
気づいたらもう何年も、
こうして貴方と一緒に節目をお祝いして

貴方の夢がまるで私の夢になっていました。

出会ったばかりの頃は
過去のあなたを拾い集めて、捏ねて固めて、
新しい坂田さん知ることに必死で。

人づてに、昔話に、映像に、言葉に歌声に、
私が出会う前の坂田さんを探す毎日は本当に楽しくて、今まで過ごしていた毎日が突然キラキラと輝く 
それが兎に角とても楽しかったことを
今でも鮮明に覚えています。

私は坂田さんと出会うずっと前から、
連載とか、未完が苦手でした。

まだこの世に生まれてもいない続きが気になって眠れない結末を何通りも考えては答えのないまま頭を悩ませたり
だから流行りの漫画も、アニメも小説も
物語が完結した後に流行りよりも2歩も3歩も遅れて一気に読み込んだりして。

そんな私がまさか１５年もの長期連載をこうして追い続けているなんて自分でも驚きで

「人生は小説よりも奇なり」

坂田さんの活動人生は本当にこの言葉の通りだと

纏めて なんて勿体ないとすら思う。

貴方の一言も一音も漏らすことなく聴いていたいと思えるのは貴方が初めてでした。

そんな日々を共に過ごす時間が経つにつれ、
今は坂田さんに「知ってほしい」ことが増えました。

何事にも一生懸命で真面目な坂田さんは、
きっと気づいていないと思うから。

坂田さんの話をするとき、みんなの目元がふんわりと緩むこと。メンバーも、観客も、お友達も、坂田さんが心の内をお話をする時は相槌を打つ声が少しだけのんびりとすること。

うらたさんは、ペア曲の時よく坂田さんの方を見つめるけれど、歌うことに夢中な坂田さんがそっぽを向いてはしゃいでいる姿をとびきり眩しそうに目を細めてそのあと柔らかく笑います。

志麻さんはそのまま坂田さんが一人離れていることに一番に気がつくし、そのあと自分から引き寄せて肩を組んでくれます。

坂田さんの話に今すぐツッコミたいセンラさんがそれでも一旦話を聞いてあげる時のウズウズと上がる口角の上がった困り顔が、私は本当に大好きなので、それはいつか直接見て欲しいなぁ

坂田さんの歌い終わりはいつも、
バンドメンバーが顔を見合せて微笑みあって
みんなが坂田さんの大きな背中を見つめているし、

ライブ当日、
坂田さんのメンバーカラーの赤色は、他の3色より少しだけ身に付けている人が多いんです。
坂田さんの推し色を差し込んだお洋服に身を包んで坂田さんのお歌を聴く表情は不思議と貴方の面影を感じるようで、そしてとっても可愛らしいこと。

ねぇ、坂田さん。

この世界は思ったより坂田さんに甘いのです。

坂田さんのその大きくて、うるうるで、ただ前だけを見つめるそのふたつの瞳で捉えられない幸せは
私達が拾うから。

いつも幸せのお裾分けをありがとう

「春一番」
春の始まりに初めて吹く暖かい南よりの強い風

もうひとつ、
こんなに素敵な坂田さんをもっとたくさんの人に知ってほしいと思うのです。

私は正直に言うと、
坂田さんに会えるなら大きくても小さくても会場に拘りはなくて（だっていつだってどこだって絶対楽しくなるって分かるから）

だけどずっと、
坂田さんが貴方を好きな人にだけ向ける甘い言葉が好きでした。

「ずっと一緒にいよう」
「可愛いくして来てくれてありがとう」
「愛してるよ」

みんなの前では照れ屋で格好付けな貴方が、私達の前だけで告げる閉鎖的な言葉は一等甘くて重くて。
それでも次に会う時は何もなかったような顔をする、そんな坂田さんと坂田家の不思議な距離感が好きでした。

だけど2024年3月3日。
今までで一番長く、
武道館のステージをひとりじめする坂田さんを観ていたらつい視界が滲んでしまいました。

それは今までの後悔ではありません。
坂田さんが武道館でワンマンをしたいと思うなら
絶対に叶えてあげたいと本気でそう思っていたし、いつだって貴方の夢を手放しで応援したいと思う。

だけど初めて、私が
武道館に立つ坂田さんを見たくなった。

武道館が満員になるくらい沢山の人と
坂田さんのお話が出来たら楽しいだろうなとか

その時坂田さんはどんなことを考えて、
何を伝えてくれるのだろうとか

それにもっとたくさんの赤色で、
貴方の人生を支えさせて欲しいと思う。

「今日」を迎えるまでに失ったものは
決してゼロじゃなかったと思うけれど、

もしもまたあの日に似た春一番の強い風が吹いても今よりもっといっぱいの手で、坂田さんのこと、
倒れないように支えてあげられると思うから。

祈り方も救い方も知らない私たちに、
これからは少しだけ寄りかかってくれたら嬉しいです。

綺麗なものばかり見てきたワケじゃない。
涙を飲むような選択だって
きっと、たくさんしてきただろうけれど、

それでも諦めず、腐らず
ここまで来てくれてありがとう。

あの日、私を、僕を、
素敵な夢の中に迎え入れてくれてありがとう

素敵な景色を沢山見せてくれてありがとう。

一緒に夢を叶えさせてくれてありがとう。

だけどもしも今後、
私達じゃどうしようもできないくらい一人で立ち止まるようなことや後ろを振り返るようなことがあったとしても、
坂田さん自身が「大切に積み重ねてきた過去」が
あなたの背中を押してくれると思います。

そして、前を向いたその先には
「夢の続き」が必ず続いてるから。

この先に待っている坂田さんの未来が
笑顔と幸せの溢れる
素晴らしいものでありますように。

これから先も何度でもその言葉を現実に変えて、
終わりのない夢の中でずっとずっと遊ぼうね。

2024.03.04