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Cluster音楽イベントにおける撮影

今年はclusterの音楽イベントでカメラマン~アーカイブを担当する機会が51回(1年が52週だとするとほぼ毎週!)あったので自分なりに大事だと思ったポイントを整理してみます。


ミディアムショット(基本ショット)

まずは基本ショットで「主役を撮ろう」です。当たり前といえば当たり前ですが音楽イベントの主役は「演者」と「観客」なので、まず主役の歌い手やDJの正面カットが必要になります。できれば主役の頭からつまさきまでの全身を撮りたいところですが、DJの場合はDJブースがありますので腰より上の「アップショット」ないし「バストショット」になります。

カメラの高さは主体の目線にするとフラットな印象になるので無難です。上から見下ろす高さにすると演者が弱弱しく感じたり、一人寂しく演奏しているといった印象になったりします。イベントの開演時のまだ人が集まってない状態で見下ろし構図はなるべく避けた方がいいでしょう。

見下ろし角度とは反対にローアングルで演者を見上げるショットは演者が強いヒロイックな印象を与えます。力強く歌う歌い手がサビを歌うシーンとかで使うと効果的かもしれません。

ロングショット(引き)

演者のいるステージから離れた引きのショットになります。ステージだけでなく演奏を楽しんでる観客の後ろ姿をとらえた位置にカメラポイントを設置します。音楽イベントの主役が「演者」と「観客」なのでファーストショットをロングショットにするのは状況説明的にも適切だと思います。ただし、イベント開場と開演が同時で観客がいない状況でロングショットを多用すると寂しい絵になるのでお客さんの入り具合を見ながらカメラを切り替えましょう。

超ロングショット(メタバースならではの空撮ショット)

ライブ会場のさらに外側に構造物があるワールドがある場合に使うカメラポイントです。よくスポーツ番組のハーフタイムの時間に夜景に浮かぶスタジアムを空撮で映すといったワンショットを目にすることがあるのではないでしょうか。この空撮風の超ロングショットのメリットは「いつ」「どこで」ライブが行われているのか見ている人がつかみやすいという利点です。

メタバースのライブ会場には正統派ライブハウスは元より野外ワールド、都市に浮かぶ巨大空中ライブステージ、宇宙空間に作られたダンスホールなど大小様々なスケールの世界が存在します。ライブワールドによっては3D空間内の寸法で数km~数10kmに及ぶものがあるのでカメラポイントの設置をするのに3分以上かかることもあります。演奏が始まってからカメラを設置に行くのは時間のロスになってしまうので、あらかじめイベント前日あたりに下見ないしカメラ設置をしましょう。

ライティングやパーティクル、隕石落下や爆発などのド派手な演出が巨大なライブ空間を埋め尽くす様子を空撮ショットで捉えるのはなかなかに楽しいです。

「なめ」のショット&「どんでん」

演者の後ろ姿を映しつつ観客の正面を撮るショットを「なめ」といいます。
ライブの盛り上がりを映すのに最適なのでサビやドロップで観客がモッシュしたりエモートを連打してる様子が撮れたらしめたものです。「なめ」ショットの後に演者側の正面に切り替えることを「どんでん」ともいいます。「なめ」ショットで観客がエモートの「ワイワイ」や「応援」=通称「ぴゅーい」で湧いたところを撮影してから「どんでん」ショットでDJが「ぴゅーい」で返した瞬間とか撮影できた時はガッツポーズしましょう(笑)

You tubeにあがってるDJライブ動画のものによってはこの「なめ」メインで撮影されたものもあります。

「なめ」と合わせて、より一人一人の観客に照準を合わせたモブシーン(群衆シーン)のカットや車座になってダンスしてる人たちを撮ったりするグループショットも織り交ぜてみるといいですね。

フィックス(固定)とカメラ移動の割合

さて、上記にあげたカメラポイントを設置完了してからはカメラ視点をガチャガチャ動かしまくるか固定気味にするかの問題。音楽ライブの撮影なのでMVを撮るような感覚でカチャカチャ動かすのが正解のようにも思えます。ただし、カメラを移動させるときは最初はゆっくり動かすことが大事です。車の助手席に乗ってるのと同じで、ドライバーが急発進して急ブレーキをかけたら不快ですから。

フィックス(固定)の場合は休憩とかさぼる時に使います(おい!)。いやいや、冗談です。フィックスのメリットは記録用として見やすいという点があって、例えばダンス等のパフォーマンスの仕上がりの確認をしたい主催者がいた場合に有効です。VRモードでのセルフィーカメラより客観的な視点でダンスやパフォーマンスを見ることが出来るので次回への反省材料にもなります。

各イベントの特徴に合わせてフィックス気味にするか動かしまくるかを判断しましょう。

ライブ感の演出としてVRモードでの撮影もありだなーと思います。VRモードで移動しながら撮影すると「主観映像(point of view shot)」=「手撮り撮影」のようになり臨場感が出ます。撮影したアーカイブを編集してアフタームービーやMVを作成する時におすすめの方法となります。

メタ認知

これは撮っている自分を常に客観視することも大切だよということです。「わー推しダンサーのあの人が踊ってるー」と主役とは別のとこで長まわしをしてたり(オイ!)、いつの間にかオジサン目線のデリケートな撮影になっていたり(死)。ライブという盛り上がりを楽しみつつも夢中になりすぎないことが肝心。メタ認知することで映像をコントロールしていきましょう。

最後に

なんだかんだで、至日レイさんの呼びかけで「白かわ」や「ボカロで踊ろう」の撮影係として呼んで頂き、そのまま継続して各イベントのシリーズを担当したというのがきっかけでした。レイさんありがとね!
イベント主催者のこはだちゃん、Yocchanさん、焔さん、音鳴つむぎさんにもお礼を申し上げます。来年もごひいきに!
イベントに来てダンスをしたり、モッシュをしたり、盛り上げてくれた皆さんにも感謝です。ありがとうございました。

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