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元彼が大人の玩具買ってきたの爆笑したら破局した話

今からクソどうでもいい話しま~~す!!!
※お察しかと思いますが、まあまあ下ネタなので苦手な方にはオススメできない記事です。R-15ぐらいかな…
ギャグテイストで書いていますがモラハラ彼氏の話なので、フラッシュバックのおそれがある方、辛くなってしまいそうな方にもオススメできません

もう10年ぐらい前なので、時効ということで。
当時、私は専門学校の同級生のSくんとお付き合いをしていた。年上でっ♡背が高くてっ♡紳士的な人っ♡が好みのはずだったが、Sくんは私より10㎝背が低かったしオラついていた。お互いちょっとひねくれているので気が合ってたんだろう。頭の回転がよくてずる賢くて、学生街の喫煙所で煙管を吸うようなやつだった。

かなりラブラブだったと思う。同級生たちからも「ふたりのこと見てると、本当にお互い好きなんだな~って思う」とか、私は面識のないSくんの友達から「あいつ彼女といるときあんな顔するんだってびっくりした」とか言われたりしてご満悦だった。

私にとっては初めての彼氏だったこともあり、Sくん(20そこそこですでにかなり遊んでいた)は気を遣ってくれていた。私が性的な接触をしてもいいかなと思えるまで、半年ぐらい待ってくれていた。まあそういうの最初だけだったんですけど。

いやあね、良いやつだなあと思いつつ引っかかるところもあったんだよね。外野からするとオイオイオイ……みたいなことも、惚れてると気づかないってよくあることじゃないですか。

具体的に言うと、他の男子と喋ってるだけでイライラする、SNSに「今日ナンパされた~笑」って書き込んだら秒で電話来て「知らない男と口をきくな」と怒られる、機嫌が悪いと人目もはばからず道路標識とかに蹴りを入れる、ほんまに最悪なところだと避妊してくれないことが何度かあった。それでアフターピルを服用したが、薬代を負担してもらった記憶がない。低用量ピルを続けたかったんだけど、足が爆裂にむくんで歩くのも難しくなるぐらいだったので断念した。

もやもやしつつ、アホだったのでSくんのことが大しゅきだった私は誰にも相談できずにいた。
同級生たちには♡すっごいラブラブ♡だと思われていたし、このぐらいの年頃って「彼氏が生で入れたがるんだけど~笑」みたいな調子でそういう話をしてしまいがち(※言っておくけどそういう男はマジでダメなのでさっさと別れたほうがいいし失敗したらただちにアフターピルを飲んでね)なので、なんというか程度を低く見積もっていた。

そんな状態だったが、とにかく当時はモラハラ彼氏のことが好きだったのだ。しかし、専門学校卒業前の冬休みを利用して、Sくんは免許取得合宿に出た。
2週間か3週間ののち、地方から戻ってきたSくんを迎えにターミナル駅へ出向いた。それからサイゼに行き、お金がないので学校の敷地でたむろしているとき、Sくんは「久々に会うと実感するな、俺やっぱお前のこと好きだわ」としみじみ言った。そのとき、私は自分の感情に衝撃を受ける。

えっ……??? なんかべつに嬉しくないどころかすごいどうでもいいんですけど……!!???

荒涼たる「無」が私の胸中に横たわっているのを、俯瞰で見て動揺しているかんじだった。大好きな彼氏にそんなこと言われたら嬉しいはずだし、考えてみろよ、推しカプで同じシチュを……キュンてするやろ……こうはならんやろ……

驚きながらも「倦怠期」の3文字がごんぶとのゴシック体で私の中に浮かび上がる。これが噂に聞いている、あの……!?
それでも私は自分の感情を静観することにした。いま一時的にそういう気分なだけなんだ、そのうちもとに戻ると期待して。

交際を続け、専門学校を卒業した。
私はウェブライターに採用され、都内の会社で勤めはじめた。いっぽうSくんは大学に編入し、実家を出て大学近くの部屋でひとり暮らしを開始。
やっぱり倦怠期は倦怠期で、デートをしても新鮮味がない。でもSくんは私のことが好きで楽しそうなので、それに応えている。これがけっこうしんどくて、この頃には友人にも愚痴っていた。

きわめつけに、Sくんの住居は私の住居から約1時間半のところにあった。乗り換えのタイミングによっては2時間近くかかる。新幹線なら名古屋に着くぞ。そのうえSくんはまったくデートに連れ出してくれなくなり、私が彼の部屋に通っていた。いやもうマジでよくやってたな。

専門学校を出て2.3か月の私が、古い社風の残る会社でライティングと流し込みを繰り返して毎日疲れている。昼休みも取れなくて、水のペットボトルだけで朝から22時ぐらいまでパソコンの前に張りつくこともあった。
その状態で、大学の徒歩圏に住んでろくすっぽデートの計画も練ってくれない倦怠期の彼氏のところに通っていたのである。貴重な土日に。やっぱりアフターピルが必要になるようなセックスが発生していた。

とはいえ、私の愛想もそう長くは続かなかった。
いつものように義務感に駆られてSくんの部屋に出ていき、致す雰囲気になった。セックスへの感情がだいぶ荒んでいたので、脱がされながらあ~今日はピル代かかんないといいなあ~とか、意識が明後日の方向に飛んでいた気がする。

すると突然、満を持したというかんじで、Sくんがどこからか何かを取り出した。これがMステだったらミュージシャンたちが階段から降りてくるときのBGMが流れているし、ドラえもんだったらひみつ道具を取り出すときのBGMが流れていたことだろう。

私の目の前に燦然と登場したのは、ピンクローターといちご味のローションだった。Sくんはとても誇らしげである。
パンツ一丁の私は、明石家さんまよろしく笑いだした。

絵に描いたようなローターだ。「りんご」と言われてみんながほとんど同じイメージ画像を思い浮かべるように、見事なまでにテンプレのローターだ。カラーはもちろんミルキーな色合いのピンクである。もうエロコンテンツ界のタケコプターといっても過言ではない。エロコンテンツ界のタケコプターって何?
「ワイもおるで」というかんじのローションもピンク色の小瓶に入っていて、すごくケミカルな味わいがしそうである。もう鬼に金棒だ。タケコプターとどこでもドアだ。ビッグマックとポテトLだ。

「彼氏が得意げにアダルトグッズを取り出してきた」「めちゃくちゃエロコンテンツで見たことあるアイテムが私に使用されようとしている」という事象に笑ってしまったのもあるが、シンプルに羞恥心と照れを誤魔化したい気持ちもあったので、ちょっと過剰なぐらい爆笑していたと思う。

すると、Sくんの表情がスン……となる。
「やる気失せた。もういい」
彼は立ち上がるとすたすたとパソコンの前へ移動し、ニコニコ動画を見はじめた。
えっ………??? どないすればええん………???

私はそのままベッドに大の字に横たわり、パンツ一丁で天井と対話しはじめた。ついさっきまでアダルトグッズでゲラゲラ言っていたのに、とつぜんシリアスできまずい空気になっている。
ニコ動を見ているSくんの後ろから抱きついて謝って甘い声でも出せばええんか……? とかいう思考が一瞬だけ通り過ぎたが、もうそんなことをする気持ちは残っていない。

まだこの頃に宇宙猫のミームは無かったが、完全に宇宙猫になった。天井を透かして宇宙の星々を見あげ、今まで蓄積していた不満や違和感がぐるぐると脳内をめぐる。そうしている間にも「に~っこにこど~が♪」と気の抜けた時報が響き渡る。

悠久の時(約40分)を経て、私は音もなく起き上がった。
「帰る」
「わかった」
ローターとローションでここまで地獄の空気を精製できるものなのか、ともはや感心する。とっ散らかった服を集めて着なおし、そそくさと部屋を出ようとすると彼は「送る」という。私はしょうじき「だり~~」と思っていた。

4月だか5月だかの薄曇りの空の下、沿線の道路を歩きながら「私も悪かったと思うけど、さっきのはないんじゃないかな……」とぼそっと切り出せば、曖昧な相槌が返ってきた。なんか気だるい純文学みたいな雰囲気だったが、発端はローターとローションである。

今言わずにいつ言うんや、というかんじだったので、駅前でずっと倦怠期だと思ってたいたことを告げた。するとそのままカフェで話し合い(?)になり、とりあえず距離を置くことに。

お察しだと思うが、間もなくして別れた。距離置き期間なのに電話をかけてきて、なんかうじうじ言ってくるSくんに嫌気がさしてしまい、そのまま別れを告げた。
Sくんが電話口でべそべそ泣きながら「俺たちこんなことで別れるのかよ!?」と喚いたので「そのとおり!!! (ちりつもの結果だけどトリガーとしては)君が四次元ポケットから取り出したアダルトグッズのせいいじゃよ!!!」と言いたかったが、雀の涙ほどの良心でどうにか耐えた。

その後、未開封のグッズがどうなったのかはわからない。
ローターが動いてるとこ見てみたかったな。それはそれでもっと笑ってシンバル叩くサルのおもちゃみたいになったと思うけど。


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