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「無意識が人生に与える影響」(済)


こんにちは。

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

今回は『プライミング効果』

についてお話します。


「自分で無意識にやってることに、
もっと意識する必要があります。」
鈴木一郎さん

あなたは、最近「果物」を食べましたか?

ヒトは、何か刺激を受けたとき、
前の刺激の影響を受けることがあります。

このような効果を

「プライミング効果」

と言います。


プライミング効果とは

「先行刺激(プライム)」

「後続刺激(ターゲット)」

の処理プロセスに影響を与える現象です。

ざっくり言うと、

事前に与えられてる刺激が
その後の心理や行動に影響を及ぼす

ということです。

プライミングは、

「prime」

という英単語から来ており、

形容詞だと「最も重要な」「第一の」

動詞だと「事前に教える」

となります。

私たちは毎日、
いろいろな種類の刺激や
経験をたくさん受けて生活してますが

前に得た情報に無意識のうちに
影響を受けてます。

大事なことなのでもう一度いいますが

事前に得た情報が、
無意識のうちに後のことに影響を
与えてます。

より分かりやすくするため
1つたとえを挙げてみます。


まず、連想ゲームを行うとします。

あなたは、

という言葉から何を思い浮かべますか?

おそらく、

「りんご」

「いちご」

といった回答になるはずです。

連想ゲームをする前に、
あらかじめ果物の話をしておくと、
赤という言葉から

「りんご」や「いちご」

が連想されやすくなるということ
があります。

これは事前に提示された
果物の情報によって、
果物に関する記憶にアクセスがしやすくなるため、

意識せずに果物に関する連想が
導かれるからと考えられてます。

このような心理作用や脳の働きが
プライミング効果です。

また、あらかじめ

リンゴ

という文字(先行刺激)を見ていた人が、

「ナシ」
「リンゴ」
「ミカン」
「バナナ」

と書かれたカード(後続刺激)を見たときに、

「リンゴ」に対してだけ
すこし強く『ビクン』と反応してしまう…

これもプライミング効果です。

厳密には、

「先にリンゴという文字を見ていた場合」

「見ていなかった場合」

の反応までのギャップのことを

「プライミング効果」と言います。


ちょっと、わかりづらいですか?

さいごまで、読み進めれば分かってくると思いますので

あまり気にせず見ていってください…


このように、

ヒトは言葉が持つイメージを
無意識のうちに連想させている
ことがわかります。

実は、この連想は行動にもつながってます。


ジョン・バルフ氏らの実験では、
大学生を2つのグループに分けて行いました

一方には、無作為に選んだ単語のセットを、
もう一方には「高齢者」を連想させる

語のセットを与え、
それらの単語を使って
短文を作るよう指示しました。

この課題のあと、
学生たちには別の部屋に
移動してもらいました。

そして、
このときに廊下を歩く速度を
こっそりと測定すると

高齢者を連想させる単語に触れたグループは、
ほかのグループよりも明らかに歩く速度が
遅かったのです。

つまり、

「高齢者」を連想させる単語から影響を受け、
学生たちは無意識のうちに
高齢者らしく振る舞ったというわけです。

ある行動を考えるだけで、
その行動を取りやすくなる
ことは

イデオモーター効果(観念運動)

と呼ばれます。

観念運動とは、
念によって行動が変わっていくことです。

ちなみに、この実験後の調査で、
単語の共通性に気づいた学生が
1人もいませんでした。

そのため、
学生たちは高齢という観念が意識に
上らなかったことになります。

つまり、
意識できない程度の観念
活性化においても、

行動を変えるほどの影響力を
持ってる
ということです。

このように、
プライミング効果は、
意識的に行った動作だけでなく、

無意識に得た情報でも効果を
発揮する
ということが分かりました。

また、
このイデオモーター効果
(念によって行動が変わっていくこと)
は、逆向きにも働くことが知られています。

ドイツの大学で行われた研究では、
学生たちに通常の歩行速度の3分の1で
部屋の中を5分間歩いてもらいました。

そして、その後で問題を出されると、
なぜか高齢に関連する単語をより
素早く認識するようになりました。

これは自分の行動が
プライム(先行刺激)の役割を果たし、
その行動に関連する知識や概念が活性化され、
あとの情報処理に影響を与えてる
考えられてます。

このように、
「プライミング効果」は、
プライミング効果を受けた本人に

自覚がないことが多いです。

具体例をいいますと、
ユトレヒト大学の
ハンク・アーツ氏が行った実験では、

被験者に適当なアンケートを答えてもらい、

その後、洗剤の匂いをする部屋と
無臭の2つにわけ、
クッキーを食べてもらいました。

「洗剤」の匂いをする部屋で
クッキーを食べたグループは、

無臭の部屋で食べたグループよりも、
クッキーくずを「掃除」した人数が

3倍いました。

このように、
「プライミング効果」は、

ヒトの潜在意識に働きかけるため、
無意識に影響されてることが特徴的です。

もう1つ具体例をいいますと、

実験前:

パズルを解くまえに、半分のグループには
「勝利」「努力」「習得」「達成」など
の単語を使って文章を作らせる
作業をさせました。

そして、作業を行った被験者とそうでない
被験者が2分が過ぎてもパズルを解き続ける
割合を調べました。

その結果:

その結果、作業を行った被験者の57%は、
制限時間である2分が過ぎてからも、
パズルを解き続けました。

(そうでないグループは、22%解き続けました。)

このように、
人は無意識のうちに先に得た情報に
影響されてます。

お店のBGMなども注意して聞いてみると、
プライミング効果を狙った
選曲がかかってることが多いです。

たとえば、
テンポの速い音楽をかければ、
客の回転率を上げることができますし、

逆にゆったりとした音楽をかければ、
客の滞在時間を伸ばせます。

こうした効果が生じるのは、
単語や概念が互いにネットワークを形成
しているためだと言われています。

プライミング効果を理解するには、
情報処理の基盤となる

記憶の構造をモデル化した
ネットワークモデルで考えると
わかりやすいです。

私たちの脳内にはたくさんの情報が
蓄えられています。

そして、
それらは関連のあるもの同士が
ひとつひとつ結びつき、

単語や概念が互いにネットワークを形成している
と考えられてます。

ある情報が呼び出されたとき、
その情報とリンクが形成されている情報は
記憶の中で取り出されやすい状態になります。

このとき、
情報が取り出されたり、取り出されやすい状態は、
知識の活性化と呼ばれてます。


つまり、

特定の知識が活性化すると、
その知識と結びつきのある知識が次々と
活性化
していきます。

各情報がどのように結びつき、
その結びつきの強さがどの程度なのかは、

人によって
記憶の中にある情報のネットワークが違うため、
個人差があります。

そのため、外部からの刺激が同一であっても、
活性化しやすい知識は人によって異なるのです。

一般に、
活性化しやすい知識や概念は、
その人にとって重要なものや
最近使用されたものが多い
です。

また、特定の知識を活性化させるだけではなく、
その知識と同じカテゴリーに属する知識も
活性化される
と考えられてます。


「プライミング効果」には、

「直接プライミング」

「間接プライミング」

の2種類があります。


直接プライミング:プライマー(先行刺激)と
         ターゲット(後続刺激)が同じ。

間接プライミング:プライマー(先行刺激)と
         ターゲット(後続刺激)が異なり、
         関連してる。

直接的プライミングは、
同一の刺激をプライムとターゲットに用いて、

比較的長い時間をおいて見せたときに、
ターゲットの処理が促進されるというものです。

提示した単語と同じ単語の一部の文字を
空白に置き換えたケースなど、

たとえば、

今までの文章を読んだあなたなら、
「プ○○○○グ効果」「○」の文字を
すぐに埋めることができますよね。

プライム(先行刺激)と
ターゲット(後続刺激)が同じ
場合に
見出される効果は

「直接プライミング」

または反復プライミングと呼ばれます。


間接的プライミングとは、
先行刺激そのものではないけれども

関連性の高い刺激を、
短い時間のうちに続けてターゲットとして
見せる場合を指します。

たとえば、
「リ○○」という文字に対して、

果物

赤い

というプライムを与えられると
「リンゴ」
を思い浮かべやすくなることを言います。


プライム(先行刺激)と
ターゲット(後続刺激)が異なる
場合に示される効果を

「間接プライミング」

と呼び、その中でもプライムとターゲット間の
意味的関係に基づくものは、
意味的プライミングとも呼ばれます。

「間接プライミング効果」は、
「直接プライミング効果」よりも

無意識に関連してる商品を連想させるため

さりげなく購入意欲を刺激できることから
マーケティングにおいて多くの場面で活用されています。

また、
「直接プライミング」はさらに

「知覚的プライミング」

「概念的プライミング」

に分かれます。

知覚的プライミングは、

「リンゴ」という文字を見て

「リンゴ」という文字に反応するパターンです。

知覚的処理の話なので、
その文字の形や色が影響を与えてきます。

概念的プライミングは、

「リンゴ」

という文字を見たあと、

「赤い」という言葉から「リンゴ」
を連想するようなパターンです。

知覚的プライミングに比べて、
リンゴの意味が重要になってきます。


プライミング効果の活用法

ビジネスや日常生活に生かせる活用法を
紹介します。

広告

最も分かりやすいプライミング効果が、
CMで芸能人を起用することです。

1.広告で「好感度の高い芸能人」を使います。

2.広告の内容は、好感度が高い芸能人が、
商品を使ってるものです。

なぜこうするかは、
前の情報を良いものにすることで、
商品に対しても良い印象を与えるからです。

プライミング効果というのは、
言ってしまえば

第一印象

のようなものです。

実際に、
プライミング効果としてよく使われてるのが

商品などの広告
プロモーション(販売促進)です。

繰り返し、
印象に残る広告を目にすることで

私たちは無意識のうちに買いたい、
という気持ちになってしまいます。

このような気持ちにさせるために、
広告の中では写真や映像、音、キャラクター、
におい…など、
さまざまな工夫を凝らして、
印象づけようとしてます。

マーケティング

(ニーズに応えて利益を上げること・売れるしくみづくり)

プライミング効果は

マーケティングに応用できると言いましたが
メディア広告などの
直接的なPRだけではないです。

間接プライミングを応用すると、
顧客に気づかれず、

さりげないやり方で商品を
アピールできます。

顧客の課題解決を提示する

事前に、
日常で起こりうる刺激と
あなたが売り込もうとする商品・サービスを
結びつけておきます。

そして、
日常の課題に気づいた際に
そういえば、あの商品・サービスなら解決できる
とすぐに思い出してもらいます。

これを実現するには
単に商品の特長を伝えるのではなく
相手の課題やニーズを提示し、
解決策を提供する流れが必要です。

口コミ

口コミの評判というのも、
プライミング効果によるものです。

事前に

「おいしい」

という口コミを聞いていたら、

特別おいしいわけではなく
普通のものだったとしても、

「おいしい」と感じてしまうものです。

もちろん、
反対に悪い口コミを聞いていて、
悪いイメージがついてると

手にとりたくないと感じたり、
ほかのものと比較して劣ってるように
感じたりしてしまいます。

あなた自身が
その商品やサービスを体験して、
どうだったのか?判断すれば正しい評価を下すことが
できます。

ですが、
事前に口コミから情報を得てしまうと
自分で決断してように見えても、

実はプライミング効果で
事前情報に影響されて
そのお店やサービスを評価してる

ということになるのです。


学習

プライミング効果によって、
事前にあるものを見たり、聞いたりしておくと、

別のことが思い出しやすくなったり、
覚えやすくなったりしてます。

つまり、事前に情報を得ておくと、
その後の判断が迅速になったり記憶しやすく
なったりします。

それを学習にも活用できます。

授業に臨む前に、
教科書の該当ページにざっと目を通すだけ
でも授業の理解度は格段にアップします。

学習前に、
サラッとテキストを読んでおくだけ
でも効果があります。

単語や見出しをなんとなく見ておく
ことが、プライミング効果を促進して、
実際に学習するときに役に立ちます。

繰り返し問題を解く

教科書にのってる問題や
テストの問題を解くときに、
初めて見る問題はかんたんに解けないことがあります。

しかし、何度も繰り返し解くことで
だんだんと慣れていき、最後には、
問題を見ただけで答えが頭の中で連想する
ようになった経験はありませんか?

このように、
繰り返し頭を使って問題を解く
という意識的な行動の積み重ねによって、
プライミング効果が無意識のうちに上手く
働いてくれてます。


夢や目標を叶える

プライミング効果を、
夢や目標を叶えるのに活用できます。

口ぐせを変えれば夢・目標の実現に
一歩近づけます。

「きっと○○できる」

「○○になりたい」

といったポジティブな言葉は
私たちの記憶に影響を与え、
前向きな思考・行動を形づくると
言われています。

口ぐせにしたい言葉を、
よく目にする場所に貼ります。

特に、トイレの壁が良いと言われています。

リラックスできる場所では、
潜在意識の働きが活発化しやすいため、
言葉の刷り込み効果が
高まります。

ほかにも

「感謝」

という張り紙を貼っておくと、

無意識のうちにいろんなものや人に
感謝するようになります。

感謝すればドーパミン、エンドルフィンなどの
脳内物質が分泌され
脳が活性化し、

記憶力・想像力・集中力がよくなります。


プライミング効果を広い意味で捉えると、

私たちは朝起きてから夜寝るまで、
あるいは寝てる最中にも、
さまざまなものや現象から
影響を受けてる
ことが分かります。

目に映るもの、聞こえる音、
手で触れるもの、におい、味…など、
あらゆる感覚を使って膨大な数の
プライミング効果を受けてるともいえます。

しかもこれらは無意識に起こり、
活性化された知識や概念が
新たなプライム(先行刺激)ともなり得ます。

これは見方を変えると、
わずかな変化でも人は大きく変わる
可能性を持ってる
と考えることが
できます。

自分の行動が変われば、
それを見た周りの人の行動も
変化
します。

また、周りの人の変化を見ることによって、
再び自分の行動も変化します。

人は周りの人から影響を受けると同時に、
周りの人へも影響を与える
といった
循環を繰り返しています。

プライミング効果の影響力は
あなどれないです。

自分に悪い影響を与えるものがあれば、
それはできるだけ
自分から遠ざけた方が良さそうです…

しかし、逆に言うとこれは、
自分にとって良い環境に身を置くことが
自分にとってプラスに働くことの証明でもあります。

プライミング効果は良い悪いに関わらず、
私たちに影響を与えるからです。

できるだけ良い環境に身を置き、
良質な情報に触れる
ほうがよいのでしょう。

また、ポジティブな人と一緒にいると、
プライミング効果により自分も
ポジティブになります。

自分の理想とする人とは、
なるべく一緒にいるほうがいいでしょう。

誰とつき合うかによって
自分の性格は大きく変わってきます。

事前に触れる事柄が、
あなたにとってプラスであれば、
その後もプラスな影響があります。


ここまで読んでくださって、ありがとうございます。


いろいろと書いてきて
いちばん言いたかったのは、

「いろいろなモノが無意識に影響を与えてくるぞ」

ってことです。


気になった方は、とりあえず

「洗剤」のにおいをかぎながら

「きっと、できる!」と言って、

「はやく動く!」

を意識するといいです…

プライミング ⑧

ちなみに、自分の行動を「メタ認知」することで、
何がプライム(引き金)になって
無意識に行動してるかが分かるようになります。


「メタ認知」につきましては、↓にございます。
https://note.com/srotra53/n/na5a8bced0301?magazine_key=md4620d35018c

読んでくださり、ありがとうございました。