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SDGsネタは”さじ加減”が重要

一昨日行って来た群馬への取材に関するプレスリリースをシェアします。
サッポロビールの群馬工場に行って来たのですが、元ネタは以下のプレスリリースです。(PDF添付できないのでテキスト貼りますね。サッポロビールのHPにもあります)。新しいビール用大麦を発見したとかで、研究所で行われたメディア向け見学会に参加してきました。


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(タイトル)
温暖化による降雨量増加への耐性と ビールのおいしさを両立できる大麦の発見


(サブタイトル)
気候変動への適応に原料新品種での対応を目指す


2022.04.05


(リード)
サッポロビール(株)は、気候変動にともなう降雨量増加への耐性と麦芽成分のバランスを向上させる性質を併せ持つ大麦を、世界で初めて(注1)発見し、日本育種学会第141回講演会(注2)で発表しました。この大麦は麦芽の製造期間短縮によりCO2排出量を削減できる可能性もあり、今後、気候変動に適応する大麦新品種として開発と検証を進め、実用化を目指します。


(本文)
地球温暖化により降雨量の変化が懸念されていますが、大麦は収穫時期の降雨により穂発芽(注3)することがあり、穂発芽した種子は麦芽の原料として使用できない場合があります。また、一般的に穂発芽耐性が強い大麦は、発芽の過程で溶けと言われる種子貯蔵物質(澱粉や蛋白質など)の分解が進みにくく、麦芽品質が低下する課題がありました。


当社は原料開発研究所(群馬県太田市)が保有する大麦遺伝資源を探索し、世界で初めて、穂発芽しにくい性質と溶けが進みやすい性質を併せ持つ大麦を発見しました。この性質を利用することで、麦芽成分のバランスを向上させ、ビールのおいしさにつなげたいと考えています。今後は、その効果を検証するとともに、育種パートナーとの連携により2030年までに新品種の登録出願を目指します。


当社は2019年12月に「サッポログループ環境ビジョン2050」(注4)を策定しており、ビール事業で140年以上にわたり培ってきた原料づくりの取り組みで気候変動への緩和と適応の両面から課題解決(注5)に挑み、レジリエントな企業体を目指しています。この取り組みを通じて持続可能な社会の実現を目指すSDGs達成にも貢献していきます。


(注1)当社調べ。
(注2)2022年3月20,21日、摂南大学。「サステナブルな醸造原料の研究開発. 種子貯蔵物質の低分子化が進みやすい大麦の特性」 木原 誠, 廣田 直彦, 金谷 良市, 保木 健宏, 須田 成志
(注3)降雨により、収穫前の種子が、穂に実った状態のまま畑で発芽してしまう現象。
(注4)https://www.sapporoholdings.jp/csr/earth/environment/target/
(注5)https://www.sapporoholdings.jp/news/dit/?id=8770

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一見地味なんですが、ペラ(A4)1枚に、必要な情報が見事にまとめられています。


さっき原稿を書き終わったのですが結果的にこのリリースの文言をけっこう引用してしまいました。なんかそういうの負けた気分になるんですが(笑)、あえて外すのも変だし。それくらい、記者の立場を考えた構成、文章表現(専門的な用語に注釈が入っているのは助かる!)だと思いました。
ちなみに掲載メディアは某SDGs系WEBメディアです。


これは編集部から降りて来たネタなのですが、こういうのが通るんですねえ(固いでしょ?)


注目してほしいのは、「持続可能」「SDGs」というワードが、最後の行にお約束程度にしか入っていないということ。サステナブルという横文字も、当然ながらタイトルやリードには一言も使われていません。


これ、何を言いたいかというと、SDGsは”持続可能な開発目標”であって”目的”ではないということ。だけど、SDGsを自社のPRの目的にしてしまっている企業、多くないですか?


錦の御旗は、ほどほどに、ということですね。


ご参考になれば幸いです。

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