2019年個人的ベストミュージック20(ソング編)

今年もこの時期ですね。もう5年連続で書いているのだから我ながら大したものです。社会人としても5年目を迎えた最近改めて思うのは、エンタメはなくても生きていけますが、だからこそ半ば強制的にでもその中に自分を飛び込ませないとなということ。それでは早速スタートです。あ、毎年言っていますが、細かい順位なんて本当に参考値ですので。明日には変わってます。

20、どんぐりず “powerful passion”

お笑いコンビのようなアーティスト名(アー写も)からして、電気グルーブを彷彿とさせる人を食ったような存在感。この曲は比較的正統派な今時ポップスなんですが、多分これはそういう今時ポップスを小馬鹿にしながら作っているはず。でも結果普通にカッコよく作れるセンスも含めて天才の匂いがする。2020年、局地的にその名を轟かすのではと期待してます。

19、はちみつロケット “忠犬ハチ公”

SMAPの”SHAKE”そのまますぎて笑ってしまうイントロ。というかそもそも作曲がその”SHAKE”の作曲者コモリタミノルなので、ある意味本物。最初からアッパー感で突っ走る、アイドルソングの大正解。

18、結城萌子”さよならわたしの青春”

今年声優デビューした結城萌子のデビューシングルのリード曲。以前は綿めぐみ名義で小袋成彬プロデュースの歌手活動をしていた彼女だが、今回は川谷絵音プロデュースとなんと恵まれたキャリアだろうか。華奢さを感じながらも、どこか芯も感じるアンビバレンスな声質が癖になる。

17、FEVER “PASSWORD”

タイのアイドルグループ、ということくらいしか知らないのですが、どうですかこのガチっぷり。Vaporwave感もありつつ、ちゃんと大衆性も持っているサウンドは韓国とも台湾とも違う個性。これはタイに行く日も近いかもしれない。

16、MELLOW MELLOW “WANING MOON”

特定のアイドルソングオタク界隈に狙いすましたウェルメイドポップスの一撃。ギターのカッティングが効いているイントロからベタな構成で、同じような曲が最近のその界隈(どんな界隈だ)で量産されていますが、その中で断然飛び抜けた流石のクオリティ。一撃食らいました。

15、星野源 “さらしもの feat.PUNPEE”

完全に天下取って好き勝手し放題という源様。キャリア的には息抜き的な本作もSuperorganismやトム・ミッシュとのコラボで独走状態。個人的にはPUNPEEとのこの曲が好きでした。星野源のオタク的側面が前に出ている曲だからでしょうか。

14、mogsan “さよならサマー”

なぜか元AKBの野呂佳代がゲストヴォーカルということで、本人出演のTVやラジオ番組でいじられていましたが曲はめっちゃ最高。野呂佳代のヴォーカルも曲のムードにはまっていて、いじってばかりいないでちゃんと曲も聴いてあげて。

13、ロースケイ “いっそKISSして”

去年のベストソング2位にしている通り、この人の作る曲が大好物なんです。ゴージャスなサウンドアレンジ、キュートなヴォーカル、ハッピーなリリックと文句なし。宅録感が出ているのですが、こういう音楽は予算が似合うので、早く業界関係者はフックアップしてあげて。再生回数少なすぎ。

12、ぜったくん “sleep sleep feat.さとうもか”

京・町田出身のラッパー、トラックメイカー。2度寝(というか8度寝)の歌という力の抜けた感じは、休日の家が似合うまったりポップス。他の曲も温泉街の歌などとにかくリラックス。


11、加納エミリ”ごめんね”

年末のイベントで観てぶっ飛ばされて、そのまま物販でCDを買いました。チープなエレクトロサウンドはニューオーダー歌謡とも称される。クールビューティなビジュアルと、奇妙な振り付けと、それぞれの要素が渋滞しているのですが、それがなんとも気持ちいい。


10、Enjoy Music Club “東京で考え中”

彼らの楽曲には固有名詞が頻出する。今回もオードリーのオールナイトニッポンの一部がサンプリングされていたり、<SUUMOとにらめっこ>、<セブン(イレブン)のコーヒー>など、固有名詞が東京で暮らす人々の日々を浮かび上がらせる。ウンウン唸りながら生きる私たちの日常讃歌。

9、ヒプノシスマイク “おはようイケブクロ”

声優×キャラクター×ラップというこれぞジャパニーズカルチャー。Creepy Nuts、ALI-KICKなど楽曲提供陣が本気なのでどの曲も良いに決まっているのですが、個人的にはこの曲がお気に入り。「架空のラジオ番組」の形式で、番組中のトーク、コーナー、ジングル、果ては広告まで全てが一つの曲になっている、というもはや説明すら難しいカオスっぷり。いかんせん企画自体がハイコンテクストで外からだと難解に見えますが、とりあえず楽曲をシンプルに楽しめばいいのだと思います。

8、空音 “Hug feat.kojikoji”

今年のクラブシーンのアンセム的な楽曲となっているらしい(あまりクラブに行かないのでわからないですが)。tofubeats”水星”とリンクするような歌詞、キリンジ”エイリアンズ”のサンプリングなど、アンセムになるべくしてなった、という感じ。

7、サスケ “平成終わるってよ”

平成さよならソングにトドメを打ったのがこれ。15歳のトラックメイカーということで次から次へと天才が出てきますね。何が変わるわけではないのに、平成の終わりにセンチメンタルを感じている大人たちを尻目に、「終わるってよ」とさらっと令和へ乗り込んでいく感じ、これぞネクストジェネレーション。

6、岡村靖幸さらにライムスター “マクガフィン”

岡村靖幸による一瞬の隙間もない濃密な打ち込みサウンドに、情報量満載の宇多丸バース、そしてリズムを細かく切り刻むMummy-Dのバース。最初から最後まで息をするまもない、まさにサスペンス映画のような作品。

5、吉本坂46 “今夜はええやん“

乃木坂、欅坂、日向坂と続く坂道シリーズに実は連なっている、吉本芸人によるグループ。会社としては文字通り闇なニュースだらけだし、吉本坂の存在もいまひとつ滑り気味なのだが、曲には罪はない。吉本坂を語る上で重要なのは、意外と他にいない男女混合グループだということ。同じユニゾンでも男女混声であることで、ヴォーカルの厚み、表現の幅が段違いとなっている。ストレートなディスコチューンの本曲においても、男女、さらには必ずしもメンバーそれぞれが上手すぎないことで、ハモりとも違う心地よい歌声になっている。カップリングの”やる気のない愛をThank you!”含め、今年の坂道楽曲の中では最高の仕上がりだし、彼らにしか出せない味。


4、ukka “それは月曜日の9時のように

ももクロや私立恵比寿中学の妹分であるukka(桜エビ〜ずより改名)。お姉さんグループと比べると、清楚感強めの彼女たちも当然楽曲のクオリティはどれも最高。この曲はタイトル通り、「月9」のトレンディでベタな世界観をある種「令和ナイズ」したような出来栄え。現代のアイドルがバブリーな世界観を歌うことで、リアルとフィクションの間のような絶妙な出来栄えに。

3、Vaundy “不可幸力”

今年の後半に突如現れた新星。まだ10代らしいですが、グルーヴィーなサウンドに低体温なラップ的な歌唱。HIP HOP畑のミュージシャンかと思いつつ、後半エモーショナルに歌い上げる様は、邦ロック的な要素も感じさせる。他の曲を聴くと、これまた違うミュージシャンかと思うような多様な曲が並び、ああ、これはまた天才が現れたのだな、気づくのです。2020年の音楽シーン、最重要人物になること間違いなし。

2、崎山蒼志 “むげん・ (with 諭吉佳作/men)”

バラエティ番組の高校生フォークソンググランプリ企画に突如現れて話題になった崎山蒼志と、でんぱ組への楽曲提供も行う諭吉佳作/men(ゆきちかさくめん)による高校生同士のコラボ曲。歌い出しの2人の声を聴いた瞬間、モノが違うと感じさせる圧倒的な才気のほとばしりっぷり。少ない音数に乗せ、つぶやくように、フォーキーに歌う崎山と色気と冷たさを同居するような諭吉佳作/menの歌声。<心無い三角形が邪魔をしている生活が成立している>と始まる歌詞は、不穏さを感じさせながらも、行くべき先を見据えているような落ち着きも同居している。憂鬱な世界を諦観しながら前に進む様は、現代的であり、彼らがこれからの音楽シーンを担っていく才能なのだと納得させられる、時代を表す1曲。

1、Negicco “I LOVE YOUR LOVE”

歌詞を眺めていて気づいたのだが、この曲の歌詞には「!」が多い(11回)。元気一杯あってこそのアイドルソングなので、ある意味当然といえばそうではある。ただ今や活動17年目に入ったベテランであるNegiccoは、パフォーマンス、楽曲共に地に足ついた安心感が魅力ということもあり、意外に感じたのだ。ミディアムテンポのディスコポップでありながら、<君の代わりはどこにもいない><胸がつぶれるほどの恋を>と強いフレーズが歌詞にも並ぶ。大声を張り上げたり、力強くダンスをすることが「!」の唯一の表現ではないし、強い感情は強いからこそ表には出さず、内に秘めるものだ。過剰にドラマティックでもなく、でも枯れているわけでもない。そんなリアルな生活におけるエモーションを表現するこの曲は、大人を生きる私たちの心を打つ。


1、Negicco “I LOVE YOUR LOVE”
2、崎山蒼志 “むげん・ (with 諭吉佳作/men)”
3、Vaundy “不可幸力”
4、ukka “それは月曜日の9時のように
5、”吉本坂46 “今夜はええやん“
6、岡村靖幸さらにライムスター “マクガフィン”
7、サスケ “平成終わるってよ”
8、空音 “Hug feat.kojikoji”
9、ヒプノシスマイク “おはようイケブクロ”
10、Enjoy Music Club “東京で考え中”
11、加納エミリ”ごめんね”
12、ぜったくん “sleep sleep feat.さとうもか”
13、ロースケイ “いっそKISSして”
14、mogsan “さよならサマー”
15、星野源 “さらしもの feat.PUNPEE”
16、MELLOW MELLOW “WANING MOON”
17、FEVER “PASSWORD”
18、結城萌子”さよならわたしの青春”
19、はちみつロケット “忠犬ハチ公”
20、どんぐりず “powerful passion”


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