2018年上半期個人的ベストミュージック11

半年に一度のベスト企画。今年も良い音楽はとめどなく流れてきております。2018年もまだ前半戦ということで、特に順位はつけず、この半年よく聞いた最高の音楽たちをご紹介。ちなみにベスト11なのはW杯にかけたわけではなく単に10個にはまとめきれなかっただけです。
最後にSpotifyに入っている楽曲についてまとめたプレイリストも作ったので、こちらも是非。

・吉田凛音 『SEVENTEEN』


ローカルアイドルグループ出身の女性ポップシンガー。ウェルメイドなポップス路線でソロデビューしたものの、途中でヒップホップ路線に転向したりと、なんでも器用にこなすが故に、器用貧乏的な消費のされ方が勿体無かったこれまで。しかし遂に本作でこれまでの経験をしっかりまとめ上げつつの代表作が来ましたよ!高速ラップをいとも簡単に歌いこなす”BQN”もありつつ、正統派ガールズロックな”SHEEPS ROCK”など様々な振り幅の曲たちをがっつり自分のものにして歌いこなす盤石な1枚。

・Sunrise In My Attache Case『Tell Me Why』 


7月に入って、夏が来ているんで、今年の夏を彩って欲しい1曲を。関西のサーフロックバンド。サーフロックっていうくらいで、スカッと爽快感にステータスを全振りしたようなサマーチューン。ドライブの車内で流せばもうそこには海が見える。

・V.A. 『アダムとイヴの林檎』


椎名林檎トリビュートアルバム。V.A.とはヴァリアス・アーティスト、つまり様々なアーティストによる作品、ということです。カバーアルバムって当のアーティストのファンもカバーしている側のファンもどう楽しんでいいのか難しいなといつも思うのですが、本作はすんなり入ってきて、ヘビロテしています。以前椎名林檎が「私は自演するより、職業作曲家になりたかった」と言った趣旨の発言をしている記事を読んだことがありますが、まさにカバーというよりは、椎名林檎がそれぞれのアーティストに楽曲提供しているかのようなしっくり感。LiSAや私立恵比寿中学など、自分で作っていないアーティストが生き生きと歌いこなしているのもなおさらそう感じさせます。

・Official髭男dism 『エスカパレード』

 
今年の邦楽シーン再注目アーティストは「ヒゲダン」こと彼らだと思っています。TV番組関ジャムでも何度となく取り上げられている4ピースバンド。かすかにハスキーで甘い男性ボーカル、ピアノロック、ちょっと女々しい男目線の歌詞、エモーショナルなメロディ。こんなの売れるに決まってる。こういう「わかってる」戦略的なバンド、大好物です。

・SUEKKOLIONS 『ボーイとガールfeat. iida,ANAM』


最高なMVですが、著作権なんて糞食らえな作りなので消えちゃう前に早く観ておいてください。<フィクションみたいに最高なボーイとガール>という歌詞を、このフィクションの極致みたいな映像に重ねるセンス。フィクションとリアルを繋げて、しょうもないリアルをちょっとフィクショナルに着色してくれるのがグッドミュージックの素晴らしさ。

・インキーウップス 『バブルが弾けちゃう』


なぜかバブル期をテーマにしたツッコミどころだらけな歌詞に合わせて、意味はよくわかっていないであろうアイドルが歌う、これこそアイドルソングの珍味な魅力。<バブルが弾けちゃう>って何だよ、どういうことじゃないだろ、と思いつつ、頭から離れないメロディが癖になる。

・パソコン音楽クラブ 『DREAM WALK』


冗談みたいなアーティスト名が印象的なDTMユニット。その名の通り(?)90年代の音源をサンプリングしたハウスミュージックは、なんとも言えない懐かしさを感じさせながらもめちゃくちゃクール。硬質なサウンドながら、ちょっといなたい歌が乗るのが、逆に今っぽくてカッコいい。

・LUCKY TAPES 『22』


これでもか、とカッコつけたくなる夜がやってきたときこそ、LUCKY TAPESの出番。祝祭感溢れるホーンアレンジに、艶やかなカッティングギター。カッコつけてるな、っていうのがバレてる感じもそれはそれでチャーミングだったりもする。そして、そんなカッコつけを徹底する様は、それはそれで本当にカッコ良かったりもする。

・さとうもか 『Lukewarm』


力の抜けた、緩やかな声が特徴的なシンガーソングライター。<恋をすると人間になっちゃうって/ママの言ってた事は本当だね>(”Lukewarm”)というキラーフレーズにやられながらも、<もう戻れないよ 戻ろうとも思わない>というセリフにハッとする。夢とうつつを行き来するように、声も裏声になったり戻ったり。相反する存在の狭間に立つからこそ、双方が際立つのです。

・平賀さち枝とホームカミングス 『カントリーロード/ヴィレッジ・ファーマシー』

(動画無いので過去作のMV。サブスクには公開されているのでそちらで是非。)

平賀さち枝とHomecomingsの2組のコラボレーションEP。過剰装飾の真逆にあるシンプルなロックサウンドを聴くと、背筋がしゃんと伸びるような気持ちになる。シンプルなコード進行に、淡々と刻まれるビート。それなのに1曲の中で押し寄せるエモーション。良いロックミュージックが持つ不思議な力は、もちろんこの1枚にも備わっている。

・でんぱ組.inc 『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』


メンバー脱退からの新メンバー加入という新体制による初シングル。彼女たちの十八番であるハチャメチャなハイテンポ、ハイカロリーさとも違う、H ZETTRIOによる変態的ピアノプレイとともに疾走する7人のボーカルは「しん」とした空気感がある。心機一転というグループとしての今のテーマをしっかり表現されている、新しいでんぱ組のアンセム。ライブver.のMVがとても素晴らしいのですが、なぜか公式から消されているのが勿体無い。

・ロースケイ 『かなり恋っぽい feat.アベカワ』

現時点での暫定年間ベスト。「かなり恋っぽい」ってタイトルの時点で最高じゃないですか?「かなり〜っぽい」という係り結びは、今後も日常会話で積極的に使っていきたい。イントロからキャッチーが止まらないし、男女ツインヴォーカル掛け合いながらメロ、サビ、ブリッジとどんどん盛り上がるし、ラストサビでクライマックスを迎える一連の流れはベタだけど、全人類が逆らうことは不可能。

先日出た宇多田ヒカルのアルバム(まだ聴けていない)や、Perfume、Negiccoなどのリリースも控えていて、こりゃあ今年も忙しいぞ、という感じですが、次は年末のベスト企画でお会いしましょう。下半期も良いミュージックライフを。



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