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北区長選の争点

福祉以外の分野における各候補の考え方
――「駅前再開発」を焦点に

いよいよ三日後の日曜に迫った統一地方選挙後半、北区の区長選は連日、マスコミをにぎわせていますね。

元アイドルの大沢樹生さんが出馬して撤回、まさかの現職の花川候補支持に回り、自民党や既得権益団体を打倒するオルタナティブな新しい保守のはずの維新が自民党のやまだ候補と手を組むことになったり。

そんな中、私自身はどの政党からの公認・推薦・支援も全くうけていない、こまざき美紀候補推しですが、今日は「東京新聞 × 選挙ドットコム」のアンケートに候補者4人が実際に回答した客観情報のみに基づき、なるべく中立的に、北区長選候補者の政策比較をしてみました。

各分野に関する首長の考え方を多面的に知ることの重要性はいうまでもないでしょう。区長えらびの一助になれば幸いです。

※ 東京新聞×選挙ドットコム「投票マッチング」による公表された候補者の政策判断から作成
(20項目中8項目の回答が分かれた結果を抜粋して再編集)
  https://votematches.go2senkyo.com/kita_kucho_2023/

①子育て支援 すこし花川候補が他の候補より後ろ向きではありますが、4候補とも福祉や子育て支援に前向きです。したがって、じつは子育て支援や高齢者福祉は、個人的には争点にならないと思ってます。しかし以下にみるように福祉政策以外は、かなり違います。

②駅前再開発 まず、一番わかりやすいのがこの駅前再開発。特に、一番街がなくなるかもしれない赤羽駅前のタワーマンション開発の是非です。1本立つのはもう決まってしまい、2本目、3本目を水面下で動いているとか... ②駅前再開発では、4候補の賛否が綺麗にバラけています。よって、全ての候補が異なるスタンスを示しかつ区民にとってきわめて身近な「駅前再開発」が本当は一番の争点になるはずです。そこでこれを基準に、左から右に4候補を配置しました。

③防衛費増額 上の②駅前再開発とほぼ同様のバラけ方をするので、地方政治ではない安全保障イシューですが、②の次の3番目に配置しました。候補の基本的な政治的立ち位置がわかりますし。

④防災・都市計画道路 上の②駅前再開発と③防衛費増額への態度と似たバラけ方をするので、これらの次の4番目に配置しました。②③④を通じて、橋本候補が一貫して反対なのに対して、こまざき候補は反対からやや賛成へと態度が異なり、柔軟な側面を覗かせます。橋本候補とは反対にやまだ候補が一貫して賛成なのも印象的です。

⑤路上喫煙禁止 上記の土建系や重工系が儲かりそうな政策には反対の橋本候補ですが、路上喫煙には寛容で、最も禁止に積極的なこまざき候補とは対照的です。若い候補ほど禁止に積極的です。

⑥外国人地方行政参加 国政ではなく地方なので「国が○○人に乗っ取られる」という心配はないですが、自治体レベルではそのリスクもあるかもしれないイシュー。一方で、地域に長く住んでいる外国人が地域の決め事に参加できないのも問題になりえます。この難しい問題では他の二候補が中立の一方、橋本候補とやまだ候補が賛成・反対の両極に割れるのが印象的です。じつは8つの質問すべてで、やまだ候補と橋本候補は対照的になっています。言い方は語弊あるかもしれませんが、すくなくともこの表においては極右と極左という位置づけになりますね。

⑦選択的夫婦別姓 夫婦別姓を選択してもいいし、旧来のままの夫婦のいずれかの性を名乗ってもいいという、あくまで選択できる権利への態度。現在、この権利はもちろん認められていません。じつは子育て支援と似て全ての候補が反対ではないのですが、橋本候補とこまざき候補はこの権利認定に積極的です。

⑧シティプロモーション 区内外に北区の魅力を区長自らが伝えていくことへの賛否。情報発信がうまくできるかは別にして、橋本候補を除く三候補は積極的です。区長のやる気を問われかねない項目ですね。

以上、①~⑧への4候補の回答は、次の5点のようにまとめられるでしょうか。(最初に述べように子育て支援は、すこし花川候補はトーンダウンしますが、4人とも前向きでそれほど政策に違いはありません。)

  1. やまだ候補の右派性 やまだ候補のみが、タワーマンション建設を含む、赤羽一番街などの駅前再開発に、唯一積極的に賛成。また、やまだ候補は、駅前再開発だけでなく、防衛費増額や防災・都市計画道路も一貫して積極的に賛成。

  2. 橋本候補の左派性 橋本候補は、やまだ候補に対して、子育て支援を除く全項目でほぼ対極にあり、再開発や防災・都市計画道路に一貫して積極的に反対。

  3.  中道二候補の違い こまざき候補と花川候補は、多くの項目において、左の橋本候補と右のやまだ候補という左右両極の間にいるが、こまざき候補のほうが再開発に慎重。

  4. 自民系二候補の違い 花川候補は、防災・都市計画道路とシティプロモーションのみに積極的であり、他は消極的賛成か中立という中間的な立場。特に、やまだ候補が、外国人地方行政参加に唯一反対なのに対し、花川候補は中立の立場。これは一番傾向が似ているやまだ候補と花川候補の違いでもある。

  5. 非自民系二候補の違い こまざき候補と橋本候補は、路上喫煙禁止と防災・都市計画道路において明確に賛否が異なる。なお、こまざき候補のみが、路上喫煙禁止に、唯一積極的に賛成。また、橋本候補のみが、区長が先頭に立つシティプロモーションに、唯一積極的に反対。

付録:公式サイトでの項目説明

下記に公式サイトでの説明を添付しておきます。

①子育て支援:高校授業料無償化は、保護者の所得制限を撤廃するべきですか?
国と東京都の公立・私立高校の授業料を実質無料化する子育て家庭支援は、保護者の年収が約910万円以下(モデル世帯)でないと利用できません。所得制限を超えると私立なら年額46万9000円(上限)の助成が受けられなくなります。

②駅前開発:駅前などの再開発を進めるべきですか?
再開発とは、小規模な建物が密集したり、狭い道路が整理されずに残っていたりする区域を一体的に整備し、土地を効率的に活用できるようにすることが一つの目的です。区内では2024年秋にJR十条駅西口に39階建てタワーが完成予定で、JR赤羽駅東口でも赤羽一番街商店街などの再開発の計画が進んでいます。

③防衛費増額:防衛費の大幅増額に賛成ですか?
政府は2023年度以降の5年間で、従来の1.6倍近い43兆円を防衛費に投入する方針です。岸田首相は積極的な外交を展開するために「裏付けとなる防衛力が必要」と説明しています。

④計画道路:区内で防災対策の一環として進む新たな都市計画道路の建設に賛成ですか?
東京都は、火災の延焼防止や交通円滑化などを目的にした道路「特定整備路線」として、JR十条駅の西を南北に約0.9キロ貫く「補助73号線」と、JR赤羽駅南から西約1.2キロの赤羽自然観察公園沿いの都道を結ぶ「補助86号線」を推進しています。

⑤路上喫煙禁止:路上喫煙の禁止を厳しく取り締まるべきですか?
北区は条例で、区内全域の道路などの屋外の公共の場所では歩きたばこは禁止され、王子や赤羽などの一部の駅周辺では立ち止まっての喫煙も禁止されています。条例には罰則も定められている一方、適用の前提となる「重点地区」の指定はされていません。ルール違反の喫煙者に対し、強い取り締まりを求める声があります。

⑥外国人地方行政参加:外国人も地方行政に参加できる機会を拡大するべきですか?
日本国籍を持たない外国人住民に首長や議員の選挙で投票などができる「参政権」は認められていませんが、特定の案件で直接住民の賛否を問う「住民投票」などの地方行政への参加は自治体が条例で定めることができます。

⑦選択的夫婦別姓:選択的夫婦別姓制度を導入すべきですか?
夫婦が望む場合に、結婚後もそれぞれ結婚前の姓を称することを認める制度です。現在はどちらか一方の姓を称するよう法で定められていますが、現実には男性より女性が姓を変える例が圧倒的多数です。改姓による生活上の不利益やアイデンティティの喪失など様々な問題が指摘されています。

⑧シティプロモーション:区長が先頭に立ったシティプロモーションが重要だと思いますか?
北区は、ファミリー層・若年層を中心とした幅広い層に区の魅力を伝え、地域の活性化や人口水準の維持につなげるイメージ戦略を進めています。2024年度にかけて策定予定の新たな計画は、トップをこれまでの副区長から区長に格上げして検討を進めると区議会で説明しています。

東京新聞×選挙ドットコム「投票マッチング」
  https://votematches.go2senkyo.com/kita_kucho_2023/

#北区長選挙 #東京北区 #統一地方選挙  


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