S.O.S結成の思い出
今からさかのぼること約12年前。
TakutoとNoofがまだ高校生だった時の話。
当時の二人は同じ高校で知り合い、軽音楽部で同じバンドを組み
「バンプ、アジカン、ラッド、エルレ」
などをコピーして遊んでいました。
ちょうどアニメ「けいおん!」が流行る前のことで、その頃の僕等はばりばりのメロコアキッズ。
「dustbox、Ken Yokoyama、10-FEET」
みたいなキャッチーでちょっと哀愁を感じるようなメロディが大好きで、お互いの知らないバンドを見つけては教えあい、彼らに対してヒーローのような眼差しを向けていました。
ある日のこと、Takutoは興奮した様子でNoofにアイポッドを渡します。
「やばいやつらがいる」
プレイリストに目を通します。
「Bullet For My Valentine」
「Bring Me The Horizon」
「Pay money To my Pain」
「ゆよゆっぺ」
彼らの音楽を聴いてNoofの目玉はぶっとびます。
ダウンチューニングを伴った、重厚感あふれるギターサウンド。
気持ちが現れるような美しいクリーンサウンド。
心を鷲掴みにする巧みでドラマティックな展開。
そしてなんと言っても最高だったのが、魂から発しているのかと思えるような過激なスクリーム。
今までの自分の中での常識を覆すような音楽でした。
周囲の誰にも理解を得られない、けれど僕等にだけは刺さる最高の楽曲たち。
一瞬で僕等は彼らの音楽の虜になりました。
当時の僕等といったら楽器を持って一年たらずの素人で、笑ってしまうくらいの下手っぴでした。
彼らのような高度な演奏をする技術はありません。
曲を作るノウハウもありません。
そのような中で
「いつか俺たちも理解者を集めて、こんな音楽を作って演奏しよう」
と誓い合ったのでした。
二人は高校卒業後、別々の大学に入学します。
Takutoは大学においてもバンド系のサークルに入り、メタル系のバンドのコピバンのボーカルとして順調にキャリアを積んでいきます。
Noofはというと、メタルをやっているかと思いきやアニソン系のバンドを組み、当初の目標とは離れた方向へと進んでいきました。
高校時代からそうでしたが、大学に入っても想像以上にメタルというジャンルは隙間産業でした。
その当時はアニメ「けいおん」を見て楽器を始めた人が多く、誰もが知っているアニソンを演奏したいという人が大多数をしめていたのです。
最初は楽しかったNoofのアニソンバンドでしたが、段々と自分の心を騙せなくなっていきます。
時を同じくするように、Takutoが組んでいたオリジナルのメタルバンドが実質的に解散することとなります。
「俺がやりたかったのはこういうのだっけ」
「何が噛み合っていないんだろう」
Noofは音楽サークルを抜け、「ボーカロイド」を使って自分のやりたいことを追求していくことにしました。
Takutoは引き続きコピバンのボーカルとして活動していくことになります。
高校卒業後も定期的に遊んでいた二人でしたが、それぞれの音楽はまったく交わらないかのように思われていました。
そんな時。いつものようにNoofがTakuto宅にお邪魔した時のことでした。
Takutoが興奮したような様子でアイポッドをNoofに渡します。
「やばいやつらがいる」
それは高校生の時、僕等にとってのヒーローを見つけた時と同じ顔をしていました。
そこでNoofが聴いたのは
「Draw the Emotional」
「Foreground Eclipse」
でした。
「なんだこの頭のおかしいやつらは(褒め言葉」
調べて原曲と聞き比べ…
「なんであれがああなるんだ!!(歓喜」
「何を食ったらこんなものを作れるんだ!(悦楽」
「というか原曲がすでに最高傑作すぎる!(混乱」
その日一日、アイポッドからスピーカーに変えて二人で優勝の祝杯をあげました。
「俺たちが作りたいのはこういうのだ」
「こういうのがいいんだ」
夢から覚めたかのように、Noofは東方に詳しい友人の知識とゲームを借りて
「Desire[hardcore]drive」
と
「輝く夜の君に捧ぐ」
を書き上げます。
それぞれ、友人が出した東方アレンジCDと、今は亡き幻のサークルEmotional & Reasonのコンピアルバムに収録されることになります。
これからはこの人たちの背中を見ながら自分たちのやりたいことをやっていこう。
そう意気込んでいた矢先。
「Draw the Emotional実質活動休止」
「Foreground Eclipse解散」
という東方ラウドの転換点に立ち会います。
「もう新しい曲を聴けることはない」
「欲しかったものは二度と手に入らない」
そうした現実に絶望していました。
そこへ冥界からマリー・ア○トワネットの囁きを聞きます。
「曲がないなら作ればいいじゃない」
囁きが聞こえたというのは嘘ですが。
そうか。
彼等ほどかっこいい曲は作れないかもしれない。
けれど、自分が欲しいものは分かる。
なら、自分が聞きたい曲は作れるかもしれない。
誰にも供給してもらえないなら、自分で供給するしかない。
ある日のこと。
しかし興奮した様子で話すのはNoofの方でした。
「サークルやろうぜ」
「遠くない内に、バンドも」
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以下閑話。
こうして思い返してみると懐かしいですね。
すでにサークル結成から三年以上が経過しています。
今回の3rdアルバムもご好評いただきとても嬉しいです。
S.O.Sの楽曲にはすべてほぼ元ネタ、リスペクトしたバンドがいるのですがお気づきでしょうか?
今まであまり指摘していただける機会が少なかったので、今回は気づいてもらえるように頑張って遊びました。
東方を知っていて、バンドを知らない人。
バンドを知っていて、東方を知らない人。
どちらにも楽しんでもらって、どちらにも布教したいという思いからやっていることです。
効果が出ているかは正直微妙なところですが(笑
年も明けて、まっさらな気持ちで活動が出来るというものです。
「東方は聞かないけどオリジナルには興味あるって層は一定数いるから作ってみてほしい」
というお話を受けまして。
今年の目標はオリジナルのEPを作るのと、一度でもライブをする、ということになりそうです。
もちろん今後も東方アレンジも細々と続けていきたいなと思っております。
よろしくお願いいたします。
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