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続 「ばんえい競馬は虐待だ!」「廃止しろ!」こういう主張に対するQ&A

この記事を読む前に、前回の記事を読んで頂く事を
お勧めします。

では

前回の記事、多くの方に購読して頂いた上に
様々な感想や意見、提案を頂き
誠に感謝。

また前回の時期以降に色々な理由をつけて
SNSでばんえい競馬廃止を唱える人も出ている。

今回は、その中でも
・全く当てはまらない主張
・当てはまっている主張
・その他

この3つに分けて続きを書いていきたいと思う。
但し前回も書いたが、帯広市主催の「ばんえい競馬」のみであり
道内や東北で行われている「草ばんば」は含まない。
それは「プロ野球」と「草野球」と同じ様に考えるのと同じ。


まずは
全く当てはまらない主張から

Q 「ドーピングをしてレースに出ていると聞いている」


A 「ありえません」
 「上位入線した馬は全て『ドーピングチェック』しています」

帯広市主催のばんえい競馬は『公営競技』であり、
公平・公正を保つため他の地方競馬と同じく
上位入線した馬を対象にレース終了直後に採尿し、
ドーピングチェックをしている。

もし禁止薬物が検出された場合は
厩舎関係者に罰則が適用される他
厩舎に所属している他の馬にも影響が出る。
(ドーピングチェックし、陰性が確認されるまで出走停止)

なので、この主張している人は競馬自体を知らない人

Q「引っ張るソリの重さを軽くしたら良いのでは?」


A「本当に重いとゲート開いても動きません」
 「逆に軽すぎると危険な事もあります」

前は「ソリが重い」という主張だったが、
今度は「軽くしてみては?」という似ている主張。

まず、馬にとって本当に重い斤量だと
ゲート開いても1歩も進まない。
殆どの馬がスタートして高さ1mの障害を越えた上で
100m以上進んでいる斤量である事を理解すべき。

第二障害で転倒や登れない理由は
単純に馬の能力不足もあるが
それだけではない。
登るタイミングを逸した場合や
斜めに登坂したり、バランスを崩す等
色々な原因がある。

なので決して引っ張れない様な重い斤量では無いという事。

またばんえい競馬は
天候によってレース内容が大きく異なる競馬』
でもある

雨や雪が降った場合
走路が湿り、滑りやすくなる為に
力を必要ともせずに橇が動く。
もし大雨や大雪が降り走路が非常に
滑りやすい状況になった場合
馬がキャンターで最後まで疾走。
ゴール入線後も止める事が出来ず、
その先にある建物に激突する危険がある。

サラブレッドのレースだとゴール後は
惰性で速度を落として止めるが、
それでも数百メートルは必要とする。
ばんえい競馬の場合、
普段は常歩でゴールするので
短い距離で止める事が出来る。
その為に、ゴールした先に建物が設置してある。

それ以外にも軽い斤量でレースすると
実は馬の心肺に負担が掛かる。

ばんえい競馬にも年に3度
古馬を対象に500kg定量の「軽量戦」があるが、
スピード自慢で且つ心肺が強い馬でないと
参加してこない。

普段のばんえい競馬は
「第二障害手前まで意図的に馬を止めても良い」
事になっており、騎手は馬を時折休ませながら
先に有る第二障害を早く超える事を考えている。

それが軽量戦だと出来ない。

1分前後、全力疾走しても大丈夫な様に
普段から稽古しているから可能な事だが
それが全ての馬に出来るかと言えばそうではない。

馬にも個体差がある為に
雨や雪が降って馬場が軽くなる事を喜ぶ馬。
晴れて馬場が重くなると実力を発揮する馬。
色々ある。
その為に一概に負担重量を軽くしてレースさせると
普段の実力を発揮できない馬が発生する。

なので、この主張は当てはまらない。


次に当てはまっている主張を

Q「厩舎で死ぬ馬もいる」


A「事実だが、厩舎に限った事ではない」
 「馬だけではなく他の家畜や愛玩動物、人間でも普通に起こりえる『当たり前』の事象」

この主張は事実で、年に数頭は厩舎内で亡くなっている。
厩舎内の場合は病気が多い。
厩舎スタッフがどれだけ大切に馬を扱っていても
病気を発症し、直ぐに施設内の診療所で診てもらっても
助からないケースもある。

だけどこれは厩舎内で限った事ではなく、
馬を扱う生産・育成牧場でも
発生している話である。

また馬だけではなく、牛でも同じ事が言えるし
愛玩動物である犬や猫でも生後数年で病気を発症し
亡くなるケースも有る。
人間も10代〜20代で病気で他界する人もいる。
全ての犬や猫、人間が天寿を全うしている訳ではない。

なので自分からしてみれば
当たり前の事を誇張して主張している

こういう事だと考えている。


次に「その他」の主張を

Q「馬を人為的に繁殖させるな」


A「逆に人為的に繁殖させる必要がある」

これは前回の投稿後、SNSで返信された内容なのだが
最初これを見た時の感想は

「??」

だった。

この人は何を訴えているのだろう?
「不必要な繁殖をさせるな」
なのか
「断種」
を訴えているのか・・・・。

「不必要な繁殖」を訴えているのなら
それは馬産農家に喧嘩を売っているのと同じ。
前回も書いたが、馬は愛玩動物ではなく家畜。
生産・育成に多額な費用と施設が必要であり
決して不計画・不必要に繁殖させていない。

「文化的にも終わった馬。使い道が無い馬だから『断種』しろ」
これを訴えているのなら、自分は反対する。

ばん馬(日本輓系種)を始めとした馬の生産には
人の手は欠かせない。
特に繁殖する際
「どの馬でも良いから種付けしよう」
という訳には行かない。

繁殖牝馬と種雄馬との『血統』を吟味する必要が有る。
何故かと言うと『虚弱体質』の仔が出来るから。

人間と同じで、馬も近親交配(インブリード)が進むと
虚弱体質の仔が産まれ発育も良くなく
下手したら数ヶ月で他界する可能性も。

その為に、どれだけ現役時代に強く大きかった
種雄馬を同じく現役時代に強かった繁殖牝馬に
種付けしようと目論んでも、互いの血統を見て
残念せざる負えない事もある。

なので人為的に繁殖させているのは
普通だと思っているし
決して不必要な繁殖は無いと
考えている。


Q「馬を娯楽に使うな」


A「馬にとっては子孫を残す為の競走でもある」
 「その子孫に活躍の場を与える為の競走でもある」

まず、これを主張しているのは人間目線で話をしているかと。

ばんえい競馬のみで話をすると、「馬産振興」とか色々な目的で
開催しているが、そういう難しい話はネット検索で各自確認を。

ただ、競馬というのは

「『強い雄馬』『強い雌馬』を見つけ選抜し、
  強い子孫を残す。」

こういう側面もある。

ばんえい競馬も同じで
競走馬になる試験「能力検査」から
選抜が始まり
色々な関門を通過しないと残れない。
なので現役で古馬になった時点で
優秀な馬の部類に入る。

その後引退し、種雄馬・繁殖牝馬になり
子孫が出来たとしても
活躍の馬が無いと、行き着く先は限られる。

その活躍の場として帯広競馬場が有る。

ただ何らかの人の手が必要だが
ボランティアで行う事は不可。

その運営や馬を預かる施設や人の為にも
ばんえい競馬が必要となる。

あくまで、その活躍の場を無くし
残された馬達は牧場でのんびり余生を・・・
そう考えている方々は、前の記事を参照に。

以上、続Q&A 終了

最後に

以前から自分が疑問に思っている事がある。
この質問を動物愛護を唱え、ばんえい競馬廃止を
訴えている方々に伺いたい。

とある法案が審議されようとしている。
法案の内容は以下の通り

1『天然記念物』を除く
  日本国内にいる
  犬は生後10ヶ月
  猫は生後6ヶ月以上の
  全種全頭が対象。

2対象犬及び猫は全て
  「避妊」
  「去勢」
  「マイクロチップ内蔵」
  の各手術を強制。

3掛かる費用は全て国が負担

4 海外からの犬・猫の輸入は全面禁止。
 但し海外から国内移住の際、
 既に飼育していた犬・猫を持ち込む場合は
 「2」に記載した各手術を自己負担で
 行った上で持ち込みは可とする。
 その場合は1世帯に計3頭までとする。

5 この法案は『一括審理』
 (分割は不可)

こういう審議が始まった場合
「1〜4」に賛成ですか? 反対ですか?

もしコメント残すのであれば、
「賛成」「反対」
とその理由を記載して下さい。

尚、一括審理なので
「3だけ賛成」
等は不可です。


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