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好きな色と自問自答

緑推し

深くて濃い緑色が好き。
夜明け前のしんとした暗がりの中でも月明りを受けてほのかにきらめいている、椿や橘の常緑の色。
あるいは黒蝶真珠のたくさんの色味を内に包んだ深くつややかな緑。

清美堂さんのHPから画像拝借

でも、制服化を考えていく中でのメインカラーには入れていなかった。
理由はいろいろある。

いわゆる【ベーシックカラー】ではないから。
白黒紺などのよく言われるベーシックカラーのワントーンならシックで芯がある人なんですねとなるのに、緑のワントーンだと「お、おぉう緑大好きなんですね……?」と圧のような何かを発していないだろうかと変に心配になってしまう。

そして選択肢がとても、とても狭まるから。
ここ何年か緑が流行色のようでいろんなところで目にするけれど、これ! この色味! 私の好きなのはこの深緑! となることはあまりない。
イメコン界隈でも自分の軸となる色を決めて〜などとよく聞くが、その「軸」は白黒紺など、色の差が出にくいパッキリした色から選んだほうがいいと書かれているものが多い気がする。
巷でベーシックカラーと言われる中でもグレーやベージュやブラウンはブランドによって色の幅や定義が曖昧な上に素材によってもかなり色味が違ってくるから、「軸」にするには幅が広すぎてちょっと難しいと。
その上でさらに、深緑というニッチな色を敢えて軸色にという挑戦をする勇気はなかった。
なのでメインカラーにはひとまず紺を選んでおけば、どんな色ともケンカしなくて合わせやすくて良いかな〜と思っていた。

でも、こうやってモソモソ脳内で考えていたあれこれは、大好きの前では圧倒的無力だった。

あ、すき♡となったワンピース。紺と深緑の2色あった。
例えばこれが白黒紺の3色展開だったら、きっと紺を選んでいたはず。
でも、大好きにジャストフィットする緑色があった時点で、紺には欠片も目がいかなかった。
あわせやすさと選択肢の多さと色味の安定感、そして堅実とか信頼といった色の発するメッセージ? などなど、軍配は断然紺に上がるのに、まったく迷わなかった。
緑即決だった。
紺色自体はけっこう好きな方なのに。悪くない、と大好きは全然違った。

ここまで来てようやく、私にとっては紺もある意味妥協の色なんだなと気づけた気がする。
そしてベターだけどベストじゃないと気づいてしまった以上は、安易に紺を増やしてしまわないように気をつけたい。
(そういえば「one of the best」の訳を見るとどうしても「最も」はひとつでしょう? と思ってしまう)(余談)
どれだけニッチな色味であろうと、理想の緑色に出会えたその時に、これだぁぁあ! と、ときめき一本買い(一本釣りのイメージ)できるように、試着を重ねてデザインやディティールを精査しながら気長に探そうと思う。
最終手段お誂えもあることだし!

しろも推し色

以前のnoteで白は特別な時にスペシャルに装いたいおとっときの色と書いた。
そのあとで、ああそうだ、そういえばこれも「しろ」だったなと感じたのがこちら。

あえて漢字で書けば「素」。素材そのままの色、なにも手を加えない生成りのことだ。例えばまだ何も知識や経験のない、まっさらな人のことを「素人」と言うし、木を切って皮をはいだだけの無垢の木のことを「素木」と言う。
(中略)
上から色を塗ったり飾りをつけたら汚れてしまうもの。いつも清潔に磨き上げたとしても、時がたてばすぐに傷んでしまうから、また初めから作り直さなければならないもの。
(中略)
なぜこの長持ちしない、むき出しの状態を、私たちは最も大切にしてきたのだろう。ある意味とても素朴で、あまりに質素すぎるようにも見えるこの色を。

堀畑裕之『言葉の服』より

普段に着たい「素(しろ)」はこのイメージ。
漂白されたような無機質な蒼白さではなく、無着色の麻のちょっとグレーを帯びた色でもなく、やわらかくあたたかなほんのり黄みを感じる、しろ。
世間一般的には、オフホワイト〜生成り〜クリーム系の淡い間(あわい)の黄みがちのベージュと言ったほうがきっと通りが早い色。
着ない服を決める時に引っかかったキーワードの『飾らない』『自然体の』色。
付け加えるなら、【時が経って傷んだものを新しく作り直す】のではなく、無着色の素木が飴色に変化するように、使えば使うほど経年美化する色味や素材だとさらに素敵。

しろの色合いや素材の好きにピンポイントストライクで気になっているのがこの時計。

こういうイメージでバッグを探せばいいんだろうか?
こんな色合いの皮革のバッグ? え、どうしよう色味をキレイに保つためのお手入れ大変そう……としか思えない。
それこそ【長持ちしない、むき出しの状態】で、手垢ですぐに汚れてしまいそうで怖くて普段使いなんてムリムリ滅相もない! という感じ。
もちろん革もエイジングを楽しめる素材ではあるものの、育てる楽しみのあるバッグといえば濃いめの色合いで、お手入れでは剥げて薄れた色を塗り重ねていくイメージだ。
それとも、私が知らないだけでしろいバッグをしろいまま美しく普段に使いこなせる秘訣があるんだろうか。
あるいは、お手入れの手間ヒマなんて凌駕する、ロマンチストになってしまうほどに大好きピンポイントストライクな出会いが待っているのだろうか。
うーん、これも要検討。焦らずじっくり探そう。

推しが多いと人生楽しい

多趣味というほどのバリエーションはないが、読書とか着物とかスケート観戦とか手芸とか、好きなことはいっぱいある。
どの世界でも知れば知るほど底知れない深さの沼が待ち構えていて、結果あれこれちょこっとずつ美味しいとこ取りしている。
好きを極めて一芸に特化した人に憧れる気持ちもあるものの、いや〜私は全然、ほんの少し上辺をさらったくらいですよ〜というスタンスがちょうど良い塩梅に感じる。

あきやさんのご本にあった、着回しを考えずできるだけトキメキ服を着ることを試してみた結果、好きな色についても割と同じスタンスだということがわかった。
ワントーンコーデにきれいな点し色をぽっと一色という格好が好きで、重ね着必須な羽織ものやストール類でワンポイントにいろんな色(や柄)を合わせて点し色にすると気分が上がるという気づきがあった。
その点した色や柄で季節感やその時々のワクワクを足せたらなお素敵。

TLで見かけた色に対して抱くイメージ図。

日本カラーデザイン研究所から画像拝借

「飾り気のない」がちょうど私の好きな「しろ」のイメージだ。
そして点し色として着たいのは「かわいい」「快適な」「さわやかな」などの、たっぷりと白を含んだ淡い色。
お日様の光が似合いそうな「楽しい」「若々しい」も良い。
あとはピンポイントで、ちょうど「モダンな」と「りりしい」の間になりそうなピーコックグリーン、そして「力強い」の深緑。

色が発するイメージを表した言葉も、なりたいや好きから連想されるものから大きく外れていない。

ということで、やっぱりちょっとずつつまみ食いするようにいろんな色を着たいワタクシ。
メインを緑色にして青や黄色をあわせるのは近似色のグラデーションの延長でうふふ好きー♡と着られる。
でもこれが緑×ピンクとか緑×オレンジになると、えっと大丈夫かなこの色合わせ? とちょっとソワソワしてしまう気がしていた。
それが、大好きな深緑色を軸色に考えていなかったもうひとつの理由だ。

……とかなんとかモニャモニャ記事をこねくり回していたら、TLに緑に合う色の話が流れてきた。
なんてタイムリー。え、ガールズのみなさんって実はエスパーですか?
そして早速、意気揚々と緑×ピンクでご機嫌さんに出かけてみたミーハーなお調子者でした。
ちなみに私は緑×紺や緑×白や緑×ベージュあたりが好きでよく合わせています。
別な日に茶系のチェックを合わせてみたら、かごバッグ+スニーカーだったのも相まって、カントリーテイストが増し増しにハマりすぎてこれはなんかちょっと違った。
(カントリーから連想される純朴さにちょっとひっかかる? 靴やバッグをもう少しシュッとしたものにズラせばいける? これも要検討)

いろんな色を楽しんでいる人、としてパッと思い浮かんだのはエリザベス女王。
どんな靴やバッグを合わせてる? と改めて検索してみたら、見事に黒黒黒だった。
御髪がキレイなシルバーヘアーだから、重くなりすぎずにまとまっているのだろうか。
ちょうど、地毛よりほんの少しだけ明るくした髪色を元に戻すのもありかもと考えていたタイミング。黒髪黒靴黒鞄の三点セットは重苦しい? それとも全身に散らばる繰り返しのリズムになる?
濃紺や深緑になら、濃色だけど黒ではない、というその色味を際立たせるために黒は良い対比になるように思う。
でも、淡いしろのグラデーションに淡い点し色を合わせている時には、黒の靴やバッグはちょっと重すぎる気がする。
これもまた、全身鏡で試着チャレンジしながらじっくり考えたい色だ。

好きな色と着たい色、そして似合う色。
いろいろ考えたけれど、やっぱりときめき一目惚れに勝るものはない。と思う。ときめきの精度を上げるために、あとは、実践あるのみ? かな?
試着100回チャレンジするぞー