白井惣七

ブルーアーカイブとブルーアーカイブ以外のことについて書きます。

白井惣七

ブルーアーカイブとブルーアーカイブ以外のことについて書きます。

マガジン

  • 存在しないものの詩学

    知らない街、夢、嘘に向かうときになんとなく感じる詩的な感情についての試論です。

記事一覧

死者のためになされるべき慰めについて

 機会に恵まれて、とある専門学校で授業をすることになった。専門学校は大学とはシステムも違えば環境も異なる。その学校では、授業の終わりに「起立、礼」という号令がか…

白井惣七
4か月前
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「-ive aLIVE!」はなぜ傑作なのかーー目的と手段のキアスム

ブルーアーカイブのゲーム内にて 4 月 24 日からイベント「-ive aLIVE」が開催されておりますが、みなさんストーリーは読みましたか? ストーリー、めちゃくちゃよかった…

白井惣七
4か月前
19

"Constant Moderato" に寄せて そのタイトルについて

いい曲ですよね、Constant Moderato. このティザー PV で使われている "Constant Moderato" というタイトルの曲は、同じくブルーアーカイブ内で用いられている Aoharu と…

白井惣七
7か月前
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少女たちのすてきな夜のための夢の言語学序説

 (これまで「知らない街を旅すること」と「嘘」とについて語った。今回の「夢」についての話でひとまず「存在しないものの詩学」については完結する予定である。今回もま…

白井惣七
1年前
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嘘をつくこと、それも詩的なしかたで

 (以前、「存在しない街を旅すること」ということについて少し書いた。今回の話はこのことを前提とはしない(と思う)けれど、「存在しないものに想いを寄せる」、あるい…

白井惣七
1年前
4

知らない街を旅すること、それから青と薔薇色の詩学について

 どこか遠くへ行く電車の中から、田んぼの真ん中にぽつんと建つ小さな神社や、人気のない寂しい海岸線、あるいは急な勾配の坂が続く不思議な集落や、おかしな具合に折れ曲…

白井惣七
2年前
4

死者のためになされるべき慰めについて

 機会に恵まれて、とある専門学校で授業をすることになった。専門学校は大学とはシステムも違えば環境も異なる。その学校では、授業の終わりに「起立、礼」という号令がかかる。はじめこそ、小学生や中学生のころを思い返して懐かしい気持ちになったものの、回を重ねるごとに変に恐縮してしまい、礼をされるときも落ち着かず、こちらも号令にあわせて立ち上がり、礼を返す。いつか慣れるのかもしれないが、慣れてしまうのも偉そう

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「-ive aLIVE!」はなぜ傑作なのかーー目的と手段のキアスム

「-ive aLIVE!」はなぜ傑作なのかーー目的と手段のキアスム

ブルーアーカイブのゲーム内にて 4 月 24 日からイベント「-ive aLIVE」が開催されておりますが、みなさんストーリーは読みましたか?

ストーリー、めちゃくちゃよかったですよね。

三周年に開催された「陽ひらく彼女たちの小夜曲」のストーリーも、個人的には今回のストーリーと並ぶくらいとても好きでした。しかしこの二つのストーリーは、いずれが優れているということはなくとも、それぞれ別の方向に良

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 "Constant Moderato" に寄せて そのタイトルについて

"Constant Moderato" に寄せて そのタイトルについて

いい曲ですよね、Constant Moderato.

このティザー PV で使われている "Constant Moderato" というタイトルの曲は、同じくブルーアーカイブ内で用いられている Aoharu と並んで、このゲームの顔とも言える楽曲だと思います。特に Constant Moderato は、ブルーアーカイブの素敵な楽曲たちのなかでも、「初めてブルーアーカイブを起動したとき」に流れて

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少女たちのすてきな夜のための夢の言語学序説

 (これまで「知らない街を旅すること」と「嘘」とについて語った。今回の「夢」についての話でひとまず「存在しないものの詩学」については完結する予定である。今回もまた、前回までの内容を前提とはしないと思う。しかしやはり同様の問題を取り扱い、関連するものであるから良かったら前回までのものも読んでいただきたい。)

 とてもすてきな街並みの中を歩いたり、何ものにも代えがたいくらい美しい光景を目の当たりにし

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嘘をつくこと、それも詩的なしかたで

 (以前、「存在しない街を旅すること」ということについて少し書いた。今回の話はこのことを前提とはしない(と思う)けれど、「存在しないものに想いを寄せる」、あるいは「存在しないものと詩的に関わる」という同じ問題圏に属するものであるという意味で内容的に少し関わりがある。関心のある方はぜひ目を通していただきたい。)

 ある種の嘘をつくことには、それ自身なにかことばにはし難い楽しさのようなものがないだろ

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知らない街を旅すること、それから青と薔薇色の詩学について

 どこか遠くへ行く電車の中から、田んぼの真ん中にぽつんと建つ小さな神社や、人気のない寂しい海岸線、あるいは急な勾配の坂が続く不思議な集落や、おかしな具合に折れ曲がっている階段を見ると、何となく、そこへ行ってみたい、そこを歩いてみたいという気持ちが生じるのは、おそらくそれほど特異なことではないと思う。電車がそこで停まらないならなおのこと行きたくなる気がする。

 旅をすることの最大の楽しみは、自分と

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