見出し画像

生き残り争奪戦

 近年AIが急激に発達し、将来今存在する人々の仕事の50%以上はAIによって代用されるという時代がやってこようとしていますが、果たしてこれは人類にとって本当に良いことなのでしょうか。利便性を求め、人類は様々なテクノロジーの進化を遂げました。確かにインターネットが誕生したことによって、いつでもどこでも誰とでも連絡を取ることが可能になり、世界中から情報を得ることができるようになったことは、人々の生活を不可逆なほどに変えてしまいました。しかしながら本当にこれらが人々の幸せに繋がるかというと即答でYesは言えないと思います。これからは右も左も見えないような将来を手探りで歩いていく私たちに何が必要になるかということについて書いていきます。

AI時代とは

 世間ではAIの到来により、職を失うことや、今までの生活が脅かされるなどとネガティブな声を聞くことが多いですが、まず実際にAIとはどういうものなのかについて触れたいと思います。
AIとはArtificial Intelligenceの略であり、日本語では人工知能と呼ばれています。定義については専門家にも様々な意見があり、「人工的につくられた知能を持つ実態」や「人工的につくる新しい知能の世界である」などと言われていて、現段階では厳密な定義は定まっていないとされています。
AIにも2種類存在していて
・特化型人工知能
・汎用人工知能
に分類することが出来ます。
特化型人工知能は、特定の決まった作業を遂行するためのもので、すでに実用化されているものが多くあります。例として、自動運転技術や将棋・チェス、画像認識などが挙げられます。
汎用人工知能は、様々な作業に対して人間と同様、もしくは人間以上の汎用能力を持ち合わせているものとされています。特化型人工知能とは異なり、人間によってプログラミングされる以上に人工知能自らが考え、自分の能力を応用して対応するようになると言われています。ただし汎用人工知能においては実用化するにはまだ課題が多く、それほど世には出回っていないようです。

AIの現状

 次に、実際に今存在する職業をほんとに脅かすような存在なのかということについて触れていきます。総務省によるとAIの活用が進むことは、日本の経済成長において課題となっている労働者の減少や企業の生産性向上に寄与する可能性が示唆されています。

画像1

 上記のグラフは平成28年に総務省がAIの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査をしたものであり、職場へのAI導入の有無および計画状況についての結果を発表しました。
現時点でのAIの導入はやはり日本よりも米国の方が進んでいることがわかります。導入されている割合としてはそれほど高くないように見られますが、今後導入する予定であったり、利用する予定があったりという傾向を見ると数年後には世界的にAIの導入が進むということが予測されます。
アメリカの未来学者であるレイ・カーツワイル博士によると少なくとも2045年までには人間と人工知能の能力が逆転するシンギュラリティ(技術的特異点)に到達すると提唱されています。人間の能力を超えてしまうと、もちろん雇用の変化が起き現在のような働き方や生き方が出来なくなることは納得できるでしょう。

生き方

 AIの発達が進むことで、これから人間の生活スタイルは二つに分かれていくと言われています。一つは、コンピューターによる代用の効かない価値を創出し続け、時代を進む人。もう一つはプラットフォームに吸収されて、責任と生存戦略をコンピューターに任せる人が出てくると落合陽一(2017年)によって述べられています。前者においては、コンピューターにはできない研究や、新しいデザインの創出を生み出すことであり、後者においては、スケジュールの管理や計算など、人間でなくてもできることを表しています。今後は人々が属するコミュニティによってこの二つのスタイルを織り交ぜながら多方面に展開されていくと言われています。このことにより、ワークライフバランスというものの考え方も少しずつ変わってき、機械に任せつつ自分は趣味に生きるという生き方も可能になってくるのです。これからの時代では、今までのスタイルにこだわることなく、新しいスタイルを受け入れていく必要があるということなのです。新しいスタイルの一つとして、人間はAIにない趣味を持っているので、趣味をどのように仕事に繋げていくかということも鍵になってくるようです。
 自分たちが活躍するためには、AIにはない独自性を生み出し、自分の趣味や個性における専門性を如何に伸ばせるかのということが重要になってくるのではないでしょうか。

参考文献
落合 陽一(2017年)「超AI時代の生存戦略~シンギュラリティに備える34のリスト~」大和書房
総務省 平成28年版 情報通信白書 人工知能の職場への導入状況
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc143300.html (閲覧日2020年1月15日)