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地方から消えていく人々

皆さん将来住みたい場所などありますか?
私の周りにいる人は大体「大阪」、「東京」などの都市を口にすることが多いです。私もそのうちの一人であり、たくさんの会社や人、モノが揃っていて、交通機関の整っている便利な街に住みたいと考えています。当然ながらこのような人が増えることによって、地方の過疎化が進み、さらに日本の社会問題を増やすきっかけとなるのです。とは言え、今まで地方の問題について深刻に考えたことがなかったので、これを機に地方の現状把握と解決策を考えてみたいと思います。

地方の現状

昭和30年代以降の高度経済成長に伴い、日本の人口は農山漁村地域から都会地域へと大きく移動が起こりました。この結果、都市部には人口が集中し過密問題が起き、一方で農山漁村部では人口の大幅な減少により、基礎的生活にも支障が起きるような状態までも過疎問題が発生しています。

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(出典)国土交通省国土審議会制作部会長期展望委員会「国土の長期展望」中間とりまとめ

上記のグラフは過疎化が進む地域の人口推移を表したもので、今までの状態がさらに進行すると、将来的には人口の約61%が減少すると予測されています。

地方創生とその壁

地方創生とは第二次阿部改造内閣によって「まち・ひと・しごと創生本部」が」設置され、地方の活性化を目指す取り組みとして作られました。この政策は日本の社会問題である少子高齢化に対応し、人口が首都圏に流れることに歯止めをかけることで、各地方自治体のワークライフバランスが整い、日本の社会全体に活気を取り戻す必要がありました。しかしながら現在も首都圏に流れる人口は増えており、人口の減少も進んでいます。

地方創生がうまくいかない理由として3つの壁があるということがわかりました。まず1つ目に、事業の「優先順位の欠如」が考えられます。地方自治体の総合戦力には、多くの事業が掲げられていますが、優先度の高い事業に集中しなければ、取り組むべき事業を絞り切れない状態が出てきます。2つ目に、具体的な事業内容の作成と実践に必要な「人材の欠如」が考えられます。地方創生の事業は、行政だけで成り立つものではなく、地方を理解し、地域の中核となって事業を担っていく「担い手」が必要になります。そうすると、そのような担い手を育てるところからスタートしなければならないのです。最後に3つ目に、地方創生の事業を遂行する「組織の欠如」が考えられます。ターゲットとなるような事業を決めても最終的にその事業を運営していく組織を地域で構成できるかが大きな壁になっていると考えられる。

住みたいと思われるように

人々が住みたいと思う魅力のある「まち」づくりは非常に難しい課題の一つですが、人々はどのような「まち」に魅力を感じるのでしょうか。
社会の発展段階や各人の生活環境によって魅力とは様々ですが、近年ではコンパクトシティとして公共交通と徒歩で楽しめるまちづくりが時代に見合っていると考えられます。最近よくニュースになっているように、高齢ドライバーの事故が多発していますが、徒歩圏内や公共交通が整備されていると車を使用する機会も減り、事故も防ぐことができます。
肝心なことは高齢者だけでなく、若者がしっかりとした生活をして、家族を築き、子育てできるかという点も考慮する必要があります。少子化という面から考えると、共働きできも出産・育児がしやすい環境が重要になります。2019年に日経DUALと日本経済新聞社が行った共同調査で、子育てしながら働きやすい街のランキング上位の自治体では、待機児童をゼロにする政策を前進させていた。このような政策を他の地方でも実行していくことにより、若い世代が地方へ移動することも期待されるのではないかと考えられます。

まとめ

地方創生は地方を活気づけて、さらに日本全体を活性化させるためにできた政策であるが、人手不足に関する壁が大きく、今のところ首都圏に人口が流れることを食い止められてはいません。対策としては、地方の中でも代表して地方創生の事業を率先して遂行する人材を増やし、実行に移していく必要があります。また、地方は魅力的な「まち」へと人々に思ってもらえるように、車ではなく「ひと」中心で行動のできるまちづくりが必要となってくるのです。さらに、若者が地方に移動するためには、共働きしながら、子育てしやすい環境に自治体自体が動く必要があるということがわかりました。

参考文献

山崎史郎、小黒一正「どうする地方創生 2020年からの新スキーム」日経プレミアムシリーズ(2019年)

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc112130.html 総務省 平成24年版 情報通信白書 (閲覧日2019年12月19日)

https://dual.nikkei.com/atcl/feature/19/112700020/121000001/ 日経DUAL 共働き子育てしやすい街ランキング2019年 (閲覧日2019年12月19日)