醜悪

「こいつはもう勝手にしてくれればいいわ」
こんなことを口にしながら今尚その女の理解者面をしている男が居る
「あなたは私の出会った中で理想の男性!」
そう言いながら自分勝手な理由で連絡を切った女がいる
「貴方と人生を共にする」
不安定さを押し付けながら安定さを得られないと傍から消えた人がいる

認識の変化が悪いとは思わない
環境や出会った人々で考えが変わることは珍しいことじゃない
血のつながった子を持っていつの間にか親になった友人が居る
大人になっても結局親を親と受け入れられない私がいる

だが 吐いた言葉は無くならない
本人が 行動で他人に示さなければ 結局口だけでしかない
その言葉や行動に苦しみながら
抱えた上で再び歩みを進めるのが変化ではないのか
ただ「考え方が変わった」と その一言だけで無かったことにはならない

例え崩れた体型でも 顔が整っていなくとも
それぞれにあるかっこいい部分に憧れる 可愛い部分に惚れる
ただ裏を返せば
どれだけ見目麗しくとも 均整のとれた体つきをしていても
その姿は余りに醜悪だ 
その姿から繰り出される表情すべてが醜い

自分の痛みに鈍い そう評された事がある
そうなのかもしれない
痛みに気付く頃には自分は限界でしかない
自分の許容の狭さが 悲しい
きちんと言葉として 私が死を選ぶことが悲しいと
そう言ってもらえることがどれだけ嬉しかったか
いつもいつもありがとう 
だからこそ なんでもしてあげたくなるのだろうと思う

こういうことがあって辛い悲しいと
痛みを伝えることはお互いに傷になることだと思う
でも大切な人だからこそ 痛みを共有するのだと
共に抱えて 相手のその傷が癒えたとき 同じように傷が癒えるのだ
だからこそ その傷を癒して 渡した傷も癒すことが
痛みを伝えた人間の責任だろ

私に傷を負わせておいて まるでその傷をなかったかのように
ただただ 傷が増えていく私はなんだ
痛みに鈍いからこそ
この数多の他人に付けられた傷が 
傷だらけの自分が あまりに醜悪だ

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