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【コラム】MyspaceとThe Adorkables

時は2000年代中盤。スマートフォン普及前のインターネット黎明期。
インターネット界に"Myspace"というSNSが現れた。

創業者のTom。Myspaceを始めるとまずTomがフレンドになっているのでこの写真を見ると懐かしさで胸が爆発する方も多いはず。

Myspaceは音楽に特化しており、ページ内で楽曲がストリーミングで聴けるというもの。
これによる世界中のありとあらゆるバンドが「自身の曲を簡単に世界中に公開」出来るようになった。
逆に言えば、私たちが今まで知らなかったバンド、音源も出ていないバンドなどを容易に知ることが出来るようになり、またバンドと容易に連絡が取れるようになった

例えば、SP RECORDSの第一弾リリースのSpringhillのディスコグラフィー盤は、Myspaceでメンバーに連絡したことがキッカケだった。

またSMALLTOWNに連絡してKalleが運営していたDull RecordsからリリースのあるBobbitがBlinkerの後継バンドであるという仮説は誤っておりBobbitはBlinkerとは関係なくBlinkerは紛れもないex.SMALLTOWNでありその間にTHE PORTABLESというPOP PUNKバンドもやっていたという世界中を震撼させた情報を得たりしていた(ここまで息継ぎなし)

またそのフレンド機能により、そのバンドが関係性のあるバンド、好きなバンドなどが「トップフレンズ」として表示されているため、そこからどんどん掘り進められるようになった。
これにより私たちは従来は知ることの出来なかったバンド間の関係性やそのバンドのルーツを知ることが出来るようになった。

例えば、BABY SHAKESのトップフレンドにはELECTRIC SHADOWSやSTALKERSなどが表示されており、当時のNYパワーポップシーンの繋がりを知ることが出来た。

アンテナ感度の高い音楽愛好家達は、時間を忘れてMyspaceで音楽を聴き、新しいバンドを掘り進めた。まさにそれは、音楽の世界が目に見えて広がった歴史的瞬間の一つであっただろう。

そんな中、私が出逢ったバンドでThe Adorkablesというバンドがいる。

Apple Music
Bandcamp

私的にLILLINGTONSインフルエンスの第一人者であり、見事なまでにホラーPOP PUNKを踏襲しており、なぜか一度聴くと耳に残るメロディーに当時の私は一目惚れして7インチをディストロ入荷したりしていた。

曲の冒頭に映画のシーンがサンプリングされており、それは「死霊のはらわた」からのサンプリングということで、そこまで徹底してホラー要素を入れていることも本当に素晴らしい。

ちなみに「音源における映画のシーンのサンプリング」に関しては、私の人生を狂わせた師匠の一人がHORACE GOES SKIINGの7インチを紹介する際に以下のような文章を残している。
この文章は20年以上前のものだが、今も私の心に鮮明に残っているのである。

その後、The Adorkablesは2009年にInsubordination からアルバムをリリースしていたりもしたが、いつの間にか消息不明となっていた。

ある日、ふと思い出してThe Adorkablesを調べていると、なんと2020年に新作を配信していた。

活動期から10年以上経っているのに、相も変わらず純粋なPOP PUNKサウンドを掻き鳴らす彼らに感動した。LILLINGTONSのホラー要素は影を潜め、TEENAGE BOTTLEROCKET路線になっているが、何よりも彼らがまだ音楽の熱を持っていたことが何より私の心を突き動かした。

世界にはまだまだ知らないバンドは星の数ほどいる。
そんな中で、私が知っているのは氷山の一角。
私だけでなく、一人の人間が知ることの出来たバンドというのは何か運命的なものがあるのだろうと思っている。「ご」から始まる3文字で表すと「ご縁」である。
そんな私の思い入れのあるバンドを何かしらの形で紹介することにより、他の誰か一人でもそのバンドを新たに知ってもらうことによって、そんな運命、ご縁が繋がっていけばいいなという考えから、何か思い立ったらこんな風にコラム式でバンドの紹介をしようと思います。

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