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ANNALISE - Too Much Music & Too Many Bands

ピギーズライブ情報探しのために行っているまいにちEAT MAGAZINEに掲載されていたディスクレビューで思い出した曲がある。

イギリスのANNALISEの2001年リリースの3rdアルバム"VERSUS EVERYTHING"

本作がリリースされたころが私は20代前半のまだまだ多感な時期。
2000年代極初期にSnuffy Smileからリリースされた音源は、今でも私の中で非常に思い入れのあるものが多い。パッと思いつくだけでも

THREE MINUTE MOVIEの2ndアルバム
SNATCHERのアルバム
NAVELの1994-1998編集盤
NAVELとT.V.DINNERSのスプリット
URCHINの2ndアルバム
'toneのアルバム

名盤しかないやないかい。
今でもよく聴くこれらの名盤たち。それはこれらがそれ相応の名盤であるからなのか、それとも私が20代前半という時期にずっと聴いていたからなのか。答えはわからない。

一つ言えることは、20代前半にたくさん聴いた音源は、20年経ってもすごく思い入れが残っている。自分でも驚くくらいに。
なので今現在20代前半の若者たちはたくさんの音楽を聴いて、20年後にこの感動を思う存分味わってほしいと願っている。


話は逸れたが、このANNALISEのアルバムVERSUS EVERYTHINGにとんでもない曲が収録されている。
アルバムリリース前にシングルカットもされた
TOO MANY MUSIC & TOO MANY BANDS
という曲である。
知らない方は、まずは聴いていただきたい。

曲がいいのはもちろん、何よりも歌詞がヤバイ。

俺がレコードを取るから、君は残りを。
それが君に言い残した最後のこと。
君はビデオとダブルベッド、
僕はニック・ドレイクとレモンヘッズ。
これって平等じゃないか?

"War ehouse Songs"と"Can I Say"
これらのレコードは意味があるんだ。
俺がレコードを取る、君は残りを。

君なしでは生きていけても、"Marquee Moon"なしでは生きていけない。
マイナースレット、クラック、グレイスにフー。
俺が"Leave Home"を取り、そして君の元を去る。
家は君のもの、でもシングルレコードは駄目だ。
それは酷ってもの。

"Going Underground"は俺のもの。
君には写真、俺にはサウンド。
俺がレコードを取る、君は残りを。

テレビは君のもの、俺には何の意味もない。
取っていいよ、君のものだから。
ただLPは俺に残してくれ。

"It's Time For Action"、"BNow It's Gone"
これらの曲以外は君のもの。
俺がレコードを取る、君は残りを。

君は残りを全て・・・

ANNALISE - Versus Everything Snuffy Smileからの日本盤に掲載の和訳より

いい時もあれば悪い時もある。出会いがあれば別れもある。
そんな悲しい別れに対して、悲しさを悟られないように、これでもかと強がる。
俺にはレコードだけがあればいい。他には何も要らない。
しかしやはり隠し切れない悲しさが顔を出す。

ピギーズを拗らせているのと同様に、7年間くらい一人の女性に思いを馳せ最後には儚く散った当時の私にとって、この曲はとんでもなく刺さったのだった。「レコードが好きでモテないオタク的若者男子」にしかわからないものが、そこにはある。これは昨今のジェンダー(社会的性別)の話ではなくセックス(生物学的性別)の話である。

それはそうと、最近「レコードが好きでモテないオタク的若者男子」というのをあまり耳にしない気がする。私が24歳くらいまでは周りは私含めそんな男子ばかりだった気がするのだが。
世の中が変わったのか(そもそもモテるモテないという概念が存在しない、など)、それとも私がモテない男子を見つけられていないだけなのか。

サッドメロディックパンク終焉の日が来るとしたら、モテない男子がこの世から滅亡した日だと私は思っている。それがこの世にとって良いことなのか、良くないことなのかは、私には判断が付かない。
多分、良い。

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