【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューMIL編
目ぼしい選手を5人(場合によっては4人)ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
1(28).イーサン・スモール(Ethan Small):LHP:左投左打:6-3/214:Mississippi State:$1.8M($2.49M)
90マイル前半の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速でも92~3マイル程度と球威に欠け、変化球のクオリティも平均レベルだが、優れたデセプションと老獪な投球術で打者を惑わす。イニングイーターの素質があり、将来は4~5番手レベルの先発投手になるだろう。故障のためレッドシャツとなっている。
21年は一気にAAAまで昇格する早出世を果たし、防御率も2点台前半とここだけみると非常に順調に見えますが内容はイマイチ。イニングを大きく上回る三振数を奪ったものの、BB/9は4.9と大学時代を考えると信じられない数字をマークしました。オフのウィンターリーグでは四球数を抑えており一過性のものかと思われましたが、AAAでプレーした昨年はBB/9が5.1と悪化。メジャーデビューも果たしましたが、イニング以上の四球数を残し散々な結果となりました。
元々大きくテークバックをとる再現性に欠けるデリバリーだったため、コントロールが不安定になる要素はありました。プロではその側面が強くでてしまったのかもしれません。明るい要素に目を向けるとチェンジアップの評価は非常に高く、現在ではベストピッチとなっています。マイナーでは後半はリリーフとして投げており、その際は四球数も抑えられていたため、長イニングを意識してコントロールを崩すくらいならリリーフとして使ってみるべきかもしれません。
2(65).アントワン・ケリー(Antoine Kelly):LHP:左投左打:6-6/205:Wabash Valley CC:$1.03M($1.03M)
90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。昨年、SDにドラフトされたが契約には至らず。オフシーズンに体重をつけ、球速が上昇したことで注目を集めた。まだ若く現時点で最速98マイルをマークするが、今後も球速が上がる可能性は高い。一方で、ブレーキングボールのクオリティは軒並み低く、スライダー、チェンジアップともに平均以下。コントロールも悪く、将来はリリーフに落ち着くか。
プロデビューイヤーはRkながらも四球数が非常に少なく、改造に成功したかと思われましたが、胸郭部出口症候群から回復した21年はわずか9試合の登板数ながらも四球を出しまくり元の木阿弥。初のフルシーズンとなった昨年は100イニングをクリアし、シーズン途中にはマット・ブッシュとのトレードでTEXへ移籍。ただ、コントロールの悪さは直らず、相変わらずの四球の多さでした。
故障もあってか球速はアマチュア時代と変わらず。ただ、デリバリーはかなり変わっており、元々低かったアームアングルがさらに下がり、いまではサイドハンドと形容されるようなデリバリーとなっています。いずれにしろ再現性は低く、コントロールの悪さの一因となっています。奪三振能力は高く、プロ入り以降K/9が10を下回ったことはありません。
上述のイーサン・スモール同様無理にスターターとして使うよりかはリリーフに回した方がいいでしょう。リリーフとしてなら化ける可能性を秘めています。
5(163).トーマス・ディラード(Thomas Dillard):1B:右投両打:6/235:Mississippi:397.5K($315.4K)
強烈なスイングから生み出されるパワーが魅力。左右両打席でフルスイングを見せ、ハードコンタクトを量産する。コンタクトスキルは年々改善されてきており、三振数も減少傾向。アプローチ自体も雑ではない。スピードはないが、相手の隙を見て次の塁を狙うのが上手い。守備では動きが鈍く、大学ではOFを守っていたが、1Bでさえ守れるか怪しい。
21年に初となるフルシーズンを過ごすと、A+-AAで105試合に出場し18HR&OPS.809をマーク。今年はAAで出場試合数を増やし、2年連続となる2桁HRをマークしましたが、成績は全体的にトーンダウンとなりました。
ドラフト時から甘い球を辛抱強く待って強烈なスイングで一撃で仕留めるスタイルは変わっておらず、飛ばす力はMIL傘下でも有数でしょう。ただ、そのパワーをコンスタントにアウトプットするだけのヒッティングスキルを持ち合わせておらず、プロでは打率が.250を上回ったシーズンが0回となっています。それでも、毎年15%近いBB%をマークしており、出塁率は.360台をキープしています。
これでポジションがOFならまだ使いどころがあるのですが、主戦場が1B/DHではよほど打たない限りはメジャーに定着は難しいでしょう。
8(253).デビッド・ハミルトン(David Hamilton):SS:右投左打:5-10/175:Texas:$400K($162K)
健康であれば、プラスのスピードと出塁能力の高さが魅力。SSを守れるだけの身体能力の高さもある。打撃では当てるだけでなくしっかりと振り抜き、ギャップを抜ける打球が多くなり二塁打/三塁打が多い。スクーターの事故で今年は完全休養の年となり、バリューの低下のため大学残留も噂されたが、ボーナススロットの倍以上の契約金にサインした。
21年にプロデビューを果たすと、A+-AAで101試合に出場し、OPS.761&50盗塁をマークします。オフにハンター・レンフローとのトレードでBOS傘下へと移籍すると、昨年はAAで119試合に出場し、OPS.741&12HR&70盗塁をマークしました。
概ねドラフト時通りの活躍を見せています。2シーズン連続で50盗塁以上をマークしているスピードはアマチュア時代の故障後も少しも衰えていません。純粋なスピードに加えて走塁のスキルや判断も優れており、2年連続で失敗数は1桁に抑えています。
打撃では昨年はキャリア初となる2桁HRもマークし、スピードだけではないパワフルな一面も見せました。ただ、長打を意識してかFB%が高くなっており、自慢のスピードを活かす機会が限定されているのは少しもったいないような気もします。
総括
1巡目のイーサン・スモールは大学時代のソリッドさが影を潜め、不安定なリリーバータイプへと変貌してまいました。現在メジャーチームはスターターに事欠いているわけではないので、ローテーション入りは難しく、リリーフ兼スポットの先発としてマイナーと行き来することになりそうです。
放出したアントワン・ケリーはアーロン・アシュビーのようにゾーン内に投げ込めるように矯正したかったのだろうと推測できますが、二匹目のどじょうとは叶わず。TEXに移籍後も四球を出しまくっており、リリーフとしても使いにくいのが現状です。
野手ではトーマス・ディラードとデビッド・ハミルトンがAAでまずまずの成績を残していますが、レギュラークラスと位置付けるのは難しく、いずれもベンチプレイヤーとなるでしょう。
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