【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューPHI編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(15).ミック・エイベル(Mick Abel):RHP:右投右打:6-5/183:Jesuit HS:$4.08M:$3.89M

90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で97マイルをマーク。速球はスピードもさることながら、大きくムービングし空振りを奪える球種。スライダーのクオリティは平凡だが、高校生ながらチェンジアップの評価が高い点は大きなアドバンテージ。コントロールは悪くないが、コマンドはアバウト。

成績

 21年にプロデビューすると、失点はかさみましたがイニング数を大きく上回る奪三振数をマークし大器の片鱗を見せます。
 22年からは2年連続でフルシーズン1度も欠けることなくローテーションを回しきっています。100イニング以上投げても、イニング以上の三振数を奪える能力があることも示しました7。
 プロ入り後球速が大きく伸びたわけではありませんが、最高出力をコンスタントに出せるようになりました。安定して95-97マイルをマークできるようになり、元々空振りを奪えていた速球がさらに捉えづらくなっています。
 また、高校時代からスライダーの改善も著しく、大きく低めに外れてもスイングを誘うことができるボールになりました。
 今年で22歳になったばかりにもかかわらず2度も1年を通してスターターとして投げ続けられているスタミナと耐久性も特筆に値します。
 他方で、課題としてはやはりコントロールが挙げられるでしょう。マイナーでの通算のBB/9は4.8と褒められた数字ではありません。コマンドにも欠けており、優秀なスタッフを完全には活かしきれていません。
 メジャーは目前に迫っていますが上記の通りコントロール/コマンドの問題があるため、メジャーデビューを急かさない方がいいのではないかと思います。来年中にデビューするとしても最終盤頃になるのではないでしょうか。


3(87).ケイシー・マーティン(Casey Martin):SS:右投右打:5-11/180:Arkansas:$1.3M:$689.3K

80評価を得るスピードが最大の武器。企図数は少ないが、走れば確実に次の塁をものにする。見た目よりもパワーはあるが、その分空振りが多い。速球に強いが、変化球にもろく安定してアベレージを遺せるかという点については疑問符がつく。守備はスキルに欠けており、OF転向が危ぶまれている。

成績

 過去2年は打撃に苦しみ、シーズン打率が.200を下回る結果となりました。元々コンタクトスキルに難有りで空振りが多いことに加えて、弱いフライを打ち上げてしまい打率が伸び悩んでしまいました。
 今年に入ってようやくA+で高打率をマークしついにブレークかとも思われましたが、昇格したAAでまたもや打率が.200を下回り結果的には過去2年から大きく成績が改善されることにはなりませんでした。
 コンタクトスキルが拙く、なまじローパワーがあるせいでフライを打ち上げてしまっては打率が低空飛行を続けるのも当然の結果。
 スピードが優秀な選手は転がして塁に出ろとは言いたくありませんが、マーティンの現状を見ると自分のアプローチを見直すほかに選択肢はないように見えます。


4(116).カーソン・ラグスデール(Carson Ragsdale):RHP:右投右打:6-8/225:South Florida:$225K:$497.5K

90マイル前半の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速でも95マイルだが、トミー・ジョン手術明けということもあって、今後速くなる可能性も。ベストピッチはカーブ。鋭く縦に曲がるタイプのボールで大量の空振りを奪う。チェンジアップはイマイチ。コントロールはイマイチで、サードピッチに欠けるためリリーフとしての起用が見込まれる。

成績

 PHI傘下でプロデビューする前にサム・クーンロッドとのトレードでSFへと移籍しました。トミー・ジョン手術の傷も完全に癒えた21年はAにてスターターとしてフルシーズンを投げ切ることができました。イニングを大きく上回る奪三振数をマークし、注目を集めました。
 22年はより上のクラスでさらなる飛躍が期待されましたが、肩の故障で手術を受けることとなりほぼ全休となります。
 今年のシーズン開幕後にようやく復帰となりましたが、A+で好投していたところ今度は前腕を痛めてしまい結局は7試合のみの登板に終わりました。
 アマチュア時代同様度重なる故障に苦しんでいますが、実力があることは少ない出場機会で証明しています。速球の最速も97マイルとアマチュア時代よりも速くなっており、高いアングルから投げ下ろされるスピードも落差もあるカーブは今でも打者の脅威となっています。
 ルール5に向けてプロテクトされることはありませんでしたが、奪三振能力の高さを買ってリリーフとして起用する目論見で指名する球団が現れるかもしれません。

 


総括

 1巡目のミック・エイベルはPHIにとっては10年ぶりとなる高校生投手のトップピックで、当時はサプライズ指名でした。コンペティティブバランスピクやコンペンセーションピックでの補填が無いにもかかわらず、高校生投手にトップピックを使うのは博打に近いですが今のところはその博打に勝っているようです。
 実力もそうですが、この2年大きな故障がなくローテーションを回せているタフネスさも高く評価されている一因でしょう。
 もう1人博打に打って出たケイシー・マーティンは今のところ惨敗。打撃でプロの壁にぶつかったまま立ち上がれないシーズンを繰り返しています。大学を経てプロで3年を過ごして未だに打率が.200を下回ることがざらにあるようではこの先に期待を持つ方が難しいでしょう。残された道はテレンス・ゴアのような代走要員としてのメジャー昇格くらいでしょうか。

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