【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューKC編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(2).ボビー・ウィットJr(Bobby WittJr):SS:右投/右打:6-1/185::Colleyville Heritage HS:$7.79M($7.79M)
元メジャーリーガー、ボビー・ウィットの息子。5ツール揃ったタレントと言われている。打撃では線の細さが気になるが、体重を増やすなと筋力アップに事欠かない。優れたスピードを活かしたレンジの広い守備が持ち味。マウンドで97マイルを投げる肩を持っているため、どの位置からでもアウトをもぎ取ることができる。

成績

 5ツールプレイヤーとして期待され、昨年まではその期待通りの活躍を見せていましたがメジャーデビューを果たした今年はついにボロが出てしまいました。
 初のフルシーズンとなった21年はAA-AAAで33HR&OPS.936と好成績を見せます。高校時代よりもさらにパワフルな打撃を見せるようになっていましたが、K%は20%前半とそこまで大味でもなく、BB%も9%台と若いながらも上々のアプローチを見せていました。開幕からメジャーも大抜擢というよりかは、現実的な選択肢に映りました。
 かくして、メジャーで150試合に出場することになりました。150試合に出場できた時点で散々な結果ではなかったのですが、やはり上記の通りボロが出たと見えてしまいます。打撃では20HR&31二塁打をクリアと変わらずパワフルな打撃を見せましたが、一方でBB%は半減。ChaseRateが極端に低くボール球に手を出す割合が増えてしまったようです。ただ、K%は維持しているため、極端にアプローチが悪化したわけではない点が救いでしょう。マイナー時代と同じ程度BB%を稼げれば多少打率が低くても20HR打ってOPSが.700前半ということにはならないでしょう。
 打撃はまだ救いようがありますが、問題は守備。DRS、UZR、OAAとあらゆる指標でマイナスをたたき出しており、箸にも棒にも掛からぬとはこのこと。30盗塁をマークした野手とは思ないほどグラブをつけている時の動きは鈍く、打球が左右に抜けていきます。アームは相変わらず強いので3Bに移せばとも思いますが、3Bでもしっかりマイナスを出しており頭を抱える始末。残るはOFですが、最終手段でしょう。 


CBB(70).アレク・マーシュ(Alec Marsh):RHP:右投右打:6-2/220:Arizona State:$904.3K($906.8K)
90マイル前半の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は4シーム系、2シーム系、カッター系の3種を投げ分ける。最速で96マイルをマークすることもあるが、頻繁に出せるわけではない。アウトピッチはスライダーで、コマンドに長ける。カーブ、チェンジアップといったブレーキングボールは発展途上。速球一辺倒だったスタイルを見直して、ブレークした。

成績

 ソリッドなスターターとして、地道にマイナーのクラスを上げていくというキャリアを予想していましたがなかなか予想は当たらないものです。
 マーシュのキャリアの転機はなんといっても20年のシーズン中断でしょう。この間肩や肘を休ませることができ、ウェイトトレーニングに励んだピッチングプロスペクトが球速を大幅に上げる現象が見られましたがマーシュもその1人。最速で96マイルだった速球が100マイルに届かんばかりに速くなりました。
 球速が速くなること自体は喜ばしいことですが、それが扱えればの話。シーズンが再開した21年は故障もあってわずか6試合の登板に終わります。故障も癒えた今年はAAでシーズンをスタートさせましたが、打高の環境とプチ制球難が足を引っ張り25試合に先発として登板して防御率は7点台と振るいませんでした。


4(109).マイケル・マッシー(Michael Massey):2B:右投/左打:6/190:University of Illinoi:$472.5K($533K)
コンパクトなスイングで、ヒットを量産するピュアヒッター。ボールの見極めに優れており、なおかつ状況に合わせた打撃ができる器用さを併せ持つ。パワーレスというわけではないが、本人が長打を狙う場面が少ない。スピードが平凡で、レンジが限られているため2Bを守る。エラーが少なく、ソリッドさが光る。

成績

 プロ入り後パワーツールでも存在感を発揮し、今年メジャー昇格を果たしました。21年はA+で99試合の出場ながらも21HRをマーク。打率・出塁率も安定しており、チームプロスペクトランキングトップ30入りも果たします。さらに今年はAA-AAAでも絶好調でOPS.903の成績を残してメジャーに呼ばれることとなりました。
 ドラフト時から最も成長した点はやはりパワーツールでしょう。大学時代は2桁HRなしと長打数は少なかったのですが、パワーツール自体はそれほど悪くないと言われており、プロ入り後それを証明したという形になるでしょう。大学時代と比べるとスイング時の下半身の動きに無駄がなくなり、より安定してスイングできるようになったように見えます。
 メジャー昇格後も大活躍とは行きませんでしたが、52試合で4HRをマークしメジャーでもパワーツールが通用することを証明できたでしょう。
 守備は可もなく不可もなくといったところです。



5(139).ジョン・レイブ(John Rave):OF:左投左打:6/185:Illinoi State:$297.5K($398K)
元々コンタクトスキルに長けたスピードタイプの選手だったが、今シーズンは長打が増えて評価を上げた。一方で、三振数も増えており、その点は懸念材料。スピードツールは平均以上だが、走塁でも守備でもそれを上手く活かせておらず、粗削りな部分がある。

成績

 大学最終年のモデルチェンジはプロでも続行しているようです。打率こそ毎シーズン.250台ですが、BB%が10%を下回ったことはなく出塁率は高い水準で推移しています。ただ、パワーツールの方はそれほど伸びておらず今年AA-AAAで残した16HRが最多となっています。
 パワー&スピードタイプのOFとして活躍する道はあるのですが、1年先輩のカイル・イズベルとタイプが丸被りのため、目下のライバルはイズベルとなるでしょう。


8(229).ドリュー・パリッシュ(Drew Parrish):LHP:左投左打:5-11/210:Florida State:$167.5K($184.7K)
90マイル前半の速球とチェンジアップ、カーブのコンビネーション。速球は常時80マイル後半から90マイル前半程度だが、最速で94マイルをマークしたこともあり馬力はある。コマンドに優れており、内外自由に投げ分けることができる。カーブ、チェンジアップのブレーキングボールの扱いも上手い。ハイフロアーなタレント。

成績

 大学での成績は華々しかったものの低身長と球速が敬遠されて8巡目までスリップしていました。ただ、既にAAAまで昇格しており、当時の評価が間違いであったことを証明しつつあります。
 球速は大学時代よりは若干速くなったものの、依然として90マイル前半程度しか出ていませんがコマンドは健在。21年はA+-AAで18試合に先発し防御率2.83と好成績を残します。AAからスタートした今年はAAでは好成績を残しましたが、AAAで自慢のコントロールが乱れメジャー昇格とまではなりませんでした。
 今年は逃したものの、メジャー昇格は時間の問題でしょう。より高い評価を受けていたクリス・ブービックやダニエル・リンチ、ジャクソン・カワーらの現状を見ると不安がよぎりますが、絶滅危惧種のスローカーブ使いとしてメジャーで活躍することを祈っています。


総括
 全体2位のボビー・ウィットJrは打撃こそフルシーズン1年目にしては悪くない成績でしたが、あまりにも守備でいいところがなさすぎてSS、ひいてはIFとして使い続けるには厳しい数字です。まだ、若くて改善の余地ありなのかもしれませんが、無理にIFとして使い続けてマイナスの数字を出させ続けるくらいなら思い切ってOFに回すのも手でしょう。最終手段ですが。
 もう1人のメジャー昇格野手のマイケル・マッシーも期待が持てる内容でシーズンを終わらせています。通年のレギュラークラスとして出場し続けるかは微妙なところですが、シーズン80試合くらいに出場する準レギュラーレベルの選手にはなれるのではないでしょうか。
 惜しむらくはビニー・パスカンティーノのレビューを当時していなかったこと。彼が一番跳ねているので、物足りない3年後の記事となってしまいました。


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