【MLBドラフト】2022ドラフトレビューCHC編

上位10人の簡易レポと総括になります。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ

1(7) ケイド・ホートン(Cade Horton):RHP:右投右打:6-1/211:Oklahoma:$4.45M($5.71M)
90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で98マイルをマーク。4シームとカッターの二種類の速球を投げ、いずれも容易に空振りを奪えるハイクオリティなボール。アウトピッチは縦に割れるスライダー。昨年のトミー・ジョン手術からの復帰の影響か、レギュラーシーズンでは凡庸な成績だったが、ポストシーズンで覚醒。サードピッチの欠如とサンプル数の少なさが気になるところ。


2(47) ジャクソン・フェリス(Jackson Ferris):LHP:LHP:左投左打:6-4/195:$3.01M($1.66M)
90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で97マイルをマーク。コンスタントに最速に近い球速をたたき出せる馬力は高校生離れしている。速球はノビがよくコマンドもできるボールのため、速球一辺倒でも大量に三振を奪うことができる。一方で、変化球は発展途上。それでもスライダーはアウトピッチとして使えるクオリティにある。


3(86) クリストファー・パシオラ(Christopher Paciolla):SS:右投右打:6-2/185:Temecula Valley HS:$900K($735.5K)
柔軟なスイングでどのゾーンのボールにも対応する起用な打撃を披露する。不安定に見えるスイングだが、滅多に空振りせず確実にコンタクトする天賦の才を有する。パワーポテンシャルも悪くないが、ハイレベルな投手との対戦の少なさが気になるところ。守備ではハンドリングや送球の正確性は問題ないが、スピードがなくレンジが限られているためSSに残るには厳しいか。


4(113) ナイジャー・ミュール(Nazier Mule):RHP:右投右打:6-3/210:Passaic County Technical Institute:$1M($538.6K)
リストの強さとバットスピードの速さでハードヒットを飛ばしまくるパワーヒッター。長打を狙いすぎて空振りが多くなる点は要改善。守備では軽快なフットワークとキャノンアームを武器に広いレンジをカバーする。投手としては90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で100マイルをマーク。低いアングルからノビのある4シームを多投し空振りを奪う。アウトピッチのスライダーも優秀。チェンジアップは滅多に投げない。緩いコマンドが玉に瑕。


5(143) ブランドン・バードセル(Brandon Birdsell):RHP:右投右打:6-2/240:Texas Tech$385K($402.4K)
90マイル中盤の速球とスライダーのコンビネーション。体を絞って迎えた今年はよりスピードが増し最速で100マイルをマーク。小さいテークバックはデセプションに優れる。縦に鋭く曲がるスライダーがアウトピッチ。多少ゾーンから外れても空振りを奪うことができる。サードピッチに欠けており、リリーフ適正の方が高いか。


6(173) ウィル・フリッシュ(Will Frisch):RHP:右投右打:6/222:Oregon State:$228K($303.9K)
90マイル前半の速球とスライダーのコンビネーション。速球は最速で98マイルをマーク。小さなテークバックからノビのある4シームを投じる。アウトピッチのスライダーの評価も高い。今年はシーズン前にトミー・ジョン手術を受け全休。


7(203) ニック・フル(Nick Hull):RHP:右投右打:6/205:Grand Canyon University:$25K($237.5K)
90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速でも93マイル前後。スライダー、チェンジアップといった変化球をきっちり低めにコマンドして、相手の空振り/凡打を誘う。大学5年目にして今年からようやく本格的にスターターへと転向したが、打高環境ながらも好成績を残した。


8(232) メイソン・マグワイア(Mason McGwire):RHP:右投右打:6-4/190:Capistrano Valley HS:$200K($189.1K)
90マイル前半の速球とスプリッター、スライダーのコンビネーション。速球は最速で95マイルをマーク。今のサイズを考えると今後さらに速くなりそう。キレイな回転軸の4シームで、高めに投じて空振りを誘える球種。これと対をなすスプリッターはクオリティ、コントロールともに上々で大量の三振を狙える。父親はHR王のタイトルも獲得したマーク・マグワイア。


9(262) コナー・ノーランド(Connor Noland):RHP:右投右打:6-2/215:Arkansas:$200K($189.1K)
90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速でも92-3マイル程度。2シーム系のムービングでコマンドは平均以上。ベストピッチはスライダー。大きく鋭く曲がり、打者に自分のスイングをさせない。良くも悪くもスライダーに依存したピッチングスタイルであるため、いっそリリーフに回った方が戦力になるかもしれない。


10(292) ブロディ・マカラウフ(Brody McCullough):RHP:右投右打:6-2/205:Wingate:$125K($154.3K)
90マイル前半の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で94マイルをマーク。リリースポイントが低いスリクォーターのデリバリーでノビのある4シームを投じる。アウトピッチはスライダー。右打者への外角低めへのコマンドは優秀。2シーム系の習得に励んだりと球種のレパートリーはスターター向きだが、ダイナミックなデリバリーはリリーフ向き。


総括
 1巡目はケイド・ホートンを指名。投げているボールのクオリティだけ見ると1巡目でも全体7位でも悪くはないように見えますが、サンプル数の少なさや耐久性には疑問が残ります。アンダースロットを狙うにしても、他にもソリッドなタレントがいただけに、今でもオーバーピックな感は否めません。
 2~4巡目で恒例のハイシーリングタイプの高校生乱獲を敢行。いずれの選手もこの面子の中ではポテンシャルの高さは群を抜いています。特に、ジャクソン・フェリスは1巡目中盤で消えてもおかしくはなかった選手なだけに、1巡目をホートンにした利点を最大限生かすことができたと言えるでしょう。ナイジャー・ミュールも投手にしろ野手にしろ伸びしろたっぷりで、今後の成長が楽しみです。珍しく下位で指名され高校生投手のメイソン・マグワイアはアメリカではあまり見ない、4シーム/スプリッターメインのピッチングスタイルでスターターとしての育成に失敗しても、リリーフとしては優秀な戦力になるかもしれません。
 ホートン以外の大学生のビッグネームはブランドン・バードセルのみ。このバードセルもホートンも含め投げているボールはすごいけど、リリーフリスクは高い投手が多いように見えます。

 

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