【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューTB編

目ぼしい選手を5人(場合によっては4人)ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績

1(22).グレッグ・ジョーンズ(Greg Jones):SS:右投両打:5-11/170:UNC Wilmington:$3.02M($3.03M)
今ドラフトきってのスピードスター。走塁では自慢のスピードで縦横無尽に走り回り、盗塁成功率も高い。守備ではスキルの粗さが指摘されており、SSよりもCFの方が評価は高いが、本人はSS残留を希望。打撃ではスピードを活かすため出塁を重視し四球を多く選ぶ。三振の多さが気がかりだったが、現時点で減らすことに成功している。パワーは平均以下。高校時代はメンタルの未熟さが指摘されていたが、本人曰く成熟したらしい。

成績

 昨年A+でOPS.900以上をマークし、ブレークを果たしたかと思われましたが昇格後のAAで打率が.200にも届かず急ブレーキ。今年もAAスタートなりましたが、やはり好成績は残せず終いでした。
 マイナーのレベルが上がって打率が下がったり、長打が減ったりということはよくあることなのですがプロレベルA+までBB%が2桁をマークしていたにもかかわらず、AAに昇格した途端8%未満にまで下がっている点は特に気がかりです。アプローチを早打ちに変えたということであれば仕方ないのですが、アマチュア時代からずっとBB%の高さだけは維持しており、ここにきて変えるとは考えづらく、コンタクト重視に変えたのであればK%が35%を越えることもないとは思うので、シンプルにピッチセレクションが追い付かなくなった可能性が高いのかもしれません。
 スピードは衰えず2シーズン連続で30盗塁以上をマーク。懸念されていたポジションもプロ入り後はSS以外に守りにつくことはなく、OF転向は必要なさそうです。打撃では天井が見えてしまったかもしれませんが、他のツールがなかなかに強力なのでベンチプレイヤーとしてメジャーデビューを果たせるでしょう。


CBA(36).J.J.ゴス(J.J.Goss):RHP:右投右打:6-3/185:Cypress Ranch HS:$2.05M($2.05M)
90マイル前半の速球と80マイル前半のスライダーのコンビネーション。速球は4シームと2シームを上手く使い分けておりどちらの評価も高い。大きく曲がるスライダーをストピッチとしておりクオリティは平均以上。チェンジアップも投げるが要改善。大きく足を上げるデリバリーが特徴。高校生にしてはコマンド能力が高い。デリバリーの動きの多さからリリーフに適正を見出す声もある。

成績

 プロ入り後に肩の故障でまともに投げられないシーズンが続きましたが、今年ようやくフルシーズンデビュー。Aで25試合に先発し100イニング以上を投げ切りました。成績も上々で故障明けの投手にありがちなコントロールを崩すといったこともなく、K/BB=4.8という素晴らしい数字を残しました。
 ドラフト当時と比べると多動気味だったデリバリーはより洗練されてシンプルになり安定感が増しました。元々優秀だったコントロールにさらに磨きがかかっているようです。スライダー一辺倒だった変化球もチェンジアップのクオリティが格段に上がっており、右打者にも積極的に使い空振りを奪っています。故障で出遅れてしまいましたが、このピッチングを続けることができれば今までの遅れを取り戻すのもそう遠くない話でしょう。


CBA(40).セス・ジョンソン(Seth Johnson):RHP:6/200:Campbell University:$1.72M($1.86M)
最速98マイルの速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は常時90マイル中盤をマークし、球威は抜群。ブレーキングボールのクオリティも高く、奪三振能力は高い。チェンジアップは滅多に投げない。コントロールはアバウト。IFから投手へと転向して間もないが、持ち前の身体能力の高さでめきめきと実力をつけている。

成績

 昨年はAで16試合の先発を含む23試合に登板し、防御率2.88をマーク。イニングを大きく上回る三振数も奪い実力の高さをうかがわせます。今年はA+で好投していましたが、トミー・ジョン手術を受ける必要があると判明したため7試合の登板のみに終わりました。シーズン途中にトレイ・マンシーニが絡む三角トレードでBALへと移籍しました。
 復帰するには最短でも来年の8月であることに加え、未だにA+でしか投げたことがないとマイナスの要素が多いですがそれでもルール5ドラフト前にはプロテクトされました。健康であればノビのある4シームとスライダーのコンビネーションで大量の三振を奪うことができるのは既に証明済みで、課題だったコントロールもプロに入ってから破綻することなく投げています。アップサイドは非常に大きく1枠使う価値はあるでしょう。スターターとして限界が見えたとしても優秀なセットアッパー/クローザーになれるでしょう。


3(99).シェーン・ササキ(Shane Sasaki):OF:右投右打:6/165:Iolani HS:$472.5K($587.4K)
現時点では守備での活躍がめ目立つ日系ハワイアン。ベストツールであるスピードを活かし、広いレンジをカバー。打球判断もよく、スピード頼りの大味な守備というわけではない。アームもまずまずの強さでCFに留まることはできるだろう。打撃では見た目以上のパワーポテンシャルを見せるが、その分スイングが大きくなりがちで空振りの多さが指摘されている。

成績

 今年ようやく初となるフルシーズンを経験。Aで89試合に出場し打率.324&47盗塁&OPS.900以上をマークしました。
 プロ入り後3年が経ち、体重はそれほど増えていませんが前に突っ込みがちだったスイングが安定しておりより力強い打球をとばせるようになったようです。惜しくも2桁HRこそクリアできませんでしたが、100試合ほど出場すればクリアは間違いないでしょう。BB/Kの数字も優秀でアプローチにも問題ありません。とはいえまだAでの成績なので、来年は真価が問われることになりそうです。


6(188).コルビー・ホワイト(Colby White):RHP:右投右打:6/190:Mississippi State:$197.5K($255.3K)
90マイル中盤の速球とチェンジアップのコンビネーションが武器のリリーフプロスペクト。一度タメを作ってから素早くリリースする独特なデリバリーはタイミングが取りづらく、それに加えて最速100マイルの速球を投げ込んでくるため、簡単にはバットに当てることができない。チェンジアップのクオリティはまずまずで、改善の余地あり。ストライクゾーンに投げ込めるコントロールは有しているがコマンドはアバウト。

成績

 昨年怒涛の勢いでAAAまで昇格し、今年にもメジャーデビューが見込まれていましたがトミー・ジョン手術を受け全休となってしまいました。
 昨年はAでシーズンをスタートさせると11試合に投げて無失点と完璧なピッチングを見せ、その後もA+で2点台になった以外は全てのレベルで防御率2点台以下をマークし、全てリリーフ登板にもかかわらずシーズン100個以上の三振を奪う圧倒的なスタッツを残していました。
 高めの4シームでこれほど空振りを奪える投手はメジャーでも滅多にお目にかかれないほどで、剛速球という言葉がふさわしい魔球です。コマンドは若干アバウトになることもありますが、これほどのクオリティであれば大きく間違わずある程度構えているところに投げることができていれば特段問題にならないでしょう。小さく縦に曲がるスライダーでも空振りを奪っておりマイナーでは無敵の状態でした。
 気がかりなのは手術後も同じクオリティのボールが投げ続けられるか。4シームの球速とムービングが生命線なだけに万全の状態での復活が待ち望まれます。


総括
 1巡目のグレッグ・ジョーンズは打撃では早くも限界が見えてきたように思えます。打撃の命綱であるBB/Kの悪化が顕著でこれ以上は望めないかもしれません。ただ、それ以外のツールでプラスの貢献度を残せるところが強みでもあるので、今後は守備/走塁でアピールすることになりそうです。
 投手は上位指名のうち2人が故障に悩まされ、下位で跳ねたコルビー・ホワイトもトミー・ジョン手術と故障による長期離脱が多くなっています。とはいえ、JJゴスは復帰後よいピッチングを見せており、逆にセス・ジョンソンとコルビー・ホワイトは手術前に素晴らしいピッチングを披露しているため、今後の展望は明るいでしょう。
 野手ではブレークを果たしたシェーン・ササキに期待がかかります。

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