【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューSTL編
目ぼしい選手を5人(場合によっては4人)ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
1(19).ザック・トンプソン(Zack Thompson):LHP:左投左打:6-3/225:Kentucky:$3M($3.6M)
リリースポイントが見づらく、デセプションに優れたデリバリーが特徴。速球は常時90マイル前半だが、最速で96マイルをマークすることもある。これに大きく曲がるカーブ、スライダー、チェンジアップを組み合わせ三振を奪う。コントロールは平均レベル。昨シーズンは左肘の故障で思うような成績が残せなかったが、今シーズンは見事に復活。
プロデビューイヤーはリリーフを中心に登板していましたが、昨年はAAAで19試合に先発しました。ただ、結果は伴わず防御率は7点台と撃沈。内容も伴わずK/9=7.9に対しBB/9=5.5と散々でした。再度AAAで仕切り直しとなった今年はシーズン途中にメジャーデビューも果たしました。
メジャーでは1試合先発した以外では全てリリーフとしての登板となりましたが、リリーフとしての防御率は0点台と圧倒的な数字を残しました。その原動力となったのがカーブ。平均でも75マイルとスローカーブの部類に入りますがスピンレートはすさまじく、遅いのに鋭く曲がり落ちる魔球となっています。このカーブと4シームが投球割合の85%以上を占めています。
ここまでリリーフとして好成績を残してしまうと今更先発復帰に舵を切るのは難しいかもしれません。AAAでは先発として主に投げていたものの、成績自体は芳しくなく、メジャーでも唯一先発した試合で5回5失点と結果を残せていません。4シームとカーブのコンビネーションは素晴らしいですが、他の球種は前記2球種と比べると数段クオリティが落ちてしまうのも先発には不向きと捉えられるでしょう。
3(96).トニー・ローシー(Tony Locey):RHP:右投右打:6-3/239:Georgia:$604.8K($604.8K)
90マイル中盤の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は短いイニングでなら100マイルをマークすることもあり、球威は抜群。アウトピッチは昨オフに改善に取り組んだスライダーで、キレがよく空振りを奪える。カーブ、チェンジアップのクオリティは平凡。デリバリーが不安定でそれに伴いコントロールも悪くなり、ストライクゾーンにボールが入らなくなることも。そのため、プロではリリーフに専念。
21年のシーズン開幕前にノーラン・アレナドとのトレードでCOL傘下へと移籍しました。
ローシーといえば力強い速球が最大の武器でしたが、それも今や昔の話。現在は100マイルに到達することはなく、90マイル前半の速球をアバウトなコントロールで投げる平凡な投手になってしまいました。今年はA+ではまずまずの成績を残していますが、AAでは防御率が10点台を超える悲惨な状況。メジャー昇格も厳しいのではないでしょうか。
4(125).アンドレ・パランテ(Andre Pallante):RHP:右投右打:6/203:University of California-Irvine:$455.6K($455.6K)
90マイル前半の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。いずれの球種でもストライクを取ることができるプラスのコントロールが魅力。支配的な投球を見せることはないが、先発として毎回試合を作ることはできる。最速で97マイルをマークすることもある速球が安定すれば、より面白い存在になれるか。倒れこむようなデリバリーが特徴。
昨年AA-AAAで20試合以上に先発し防御率を3点台にまとめると、AFLでも好投し今年は開幕メジャーの切符を掴み1度もマイナーに落ちることなくシーズンを走り切りました。
マイナーでもメジャーでもK/BBの数字はさしてよくないのですが、それでも好投を続ける理由はGB%の高さ。今年メジャーで記録したGB%=63.9%は100イニング以上投げた投手の中ではHOUのフランバー・バルデスに次いでメジャー全体2位の高さ。コントロールは非常にアバウトなためHardHit%は平均よりも高いのですが、LanchAngleは驚異のマイナスを記録しており、ゴロに収まっているため長打は非常に少なくなっています。また、後ろを守るIF陣がメジャーでも有数の名手揃いのため多少打球速度が早くてもアウトにしてもらえる環境であったのも大きいでしょう。
内容も素晴らしいのですが、それ以上に馬車馬並みの労働量も好印象です。47試合に登板しそのうち10試合に先発、合計で108イニングを投げ切っており労働量だけでいうなら今年のルーキー投手の中でも一番ではないでしょうか。
6(185).ペドロ・ペイジェス(Pedro Pages):C:右投右打:6-1/234:Florida Atlantic:$250K($261.6K)
守備と辛抱強い打撃に定評を得るベネズエラン。体格はずんぐりむっくりだが動きは俊敏。ブロッキング、キャッチングをそつなくこなすことができる。アームは滅法強く、盗塁阻止でその真価を発揮する。打撃では慎重にボールを選び、四球を多くマークすることができる。パワーポテンシャルはあるが、アプローチが長打狙いではないため長打数は少ない。スペイン語を話すこともでき、投手とのコミュニケーションで他と差をつけたい。
ドラフト当時の予想通り、打撃で苦しんでいます。マイナーのレベルが上がるごとに打撃指標は軒並み悪化。AA-AAAでプレーした今年はついにシーズンOPSが7割を切ってしまいました。BB%の高さ以外は打撃で特に観るべきものもないペイジェスがAAAまで昇格できたのは、なんといっても守備力の高さ。ルール5ドラフト前にはプロテクト漏れすると、打撃成績は二の次にバックアップCとして指名候補に名前が挙がっていたほどです。
結果として指名はされずSTLに残ることになりました。STLはウィルソン・コトレラスと大型契約を結びましたがバックアップのアンドリュー・キズナーはそれほど守備に長けているタイプではないため、タイプの違うバックアップとしてペイジェスの出番も回ってくるかもしれません。
総括
1巡目のザック・トンプソンはスターター定着は難しそうですが、リリーフとしてなら十分戦力になるピッチングを見せています。セットアッパー/クローザーとしての起用もあり得るスーパーリリーフとしての道を歩んでいくのではないでしょうか。
同じく、アンドレ・パランテもリリーフとして投げていますが、スポットで先発した試合は内容も結果もそれほど悪くなくチームの台所事情が苦しいとなればパートタイムスターターとして投げれるレベルにはあるようです。
投手は2人がメジャーデビュー済と収穫がありましたが、野手はそもそも指名が少なかったのもありますが守備型のペドロ・ペイジェスがAAAに上がった以外は特筆すべきこともないでしょう。2巡目のトレイ・フレッチャーが大コケしてしまったのが痛いところですが、元々ギャンブル要素が強い選手なので、仕方ないでしょう。
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