【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューCHW編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(3).アンドリュー・ボーン(Andrew Vaughn):1B:右投右打:5-11/208:Univ. of California Berkeley:$7.22M($7.22M)
打撃だけなら2019ドラフト最高といっても過言ではない。小柄ながらも筋肉質な体から生み出されるパワーは一級品で、長打をいとも簡単に量産する。大学最終年にはゴールデンスパイク賞を受賞。打撃は雑ではなくしっかりとボールを見極めて四球を選び、そのうえで三振を少なく抑えている。ポジションは1B以外に守るところはないが、肩は強い。

成績

 既にメジャーで2年フルシーズンを経験している出世の早さはさすがといったところですが、内容はどれほど伴っていません。
 マイナーでプレーしたのがドラフトイヤーの19年のみで、シーズン中断となった20年をはさんで21年には開幕からアクティブロースター入りを果たしました。メジャー昇格後は2年連続で2桁HRをクリアしていますが、20HRはいまだにクリアならず。OPS.800超えも0回と打撃が強みの選手なだけに物足りない数字となっています。ハードヒットはコンスタントに出ており、三振数も飛びぬけて多いというわけではありませんが、ボール球に手を出しがちな点が打率もHR数も伸び悩む原因となっているようです。また、ゴロヒットが多く、打球が上がらない点も長打数の少なさにつながっています。ポジティブな面も多いのですが、コンテンドするチームの即戦力として考えられていたであろうと思われますのでやはり物足りないという感想が漏れてしまいます。
 また、そもそも1B守備さえ上手くないという前触れであったにもかかわらずチーム事情でOFを守ることもあり、守備の数字も大きなマイナスを計測しています。


2(45).マシュー・トンプソン(Matthew Thompson):RHP:右投右打:6-1/180:Cypress Ranch HS:$2.1M($1.65M)
小柄な体を目いっぱい使ったデリバリーが特徴。最速96マイルをマークする速球と、キレのいいカーブのコンビネーション。チェンジアップも投げられるがたまにしか使わない。コントロールが悪く、小柄なことからもリリーフ向きなのかもしれない。

成績

 ドラフト当時から体格が6-1/180→6-3/195となりもはやサイズ不足ではなりました。今年はキャリア初となる100イニング以上を達成しましたが、いまだに満足のいく成績は残せていません。
 ドラフト当時から大きくスペックが変わっておらず、球速もバリエーションもドラフト当時のまま。一方で、コントロールは改善されつつあり、BB/9は去年より1.3ポイント低くなりました。ただ、まだデリバリーが安定せずコマンドが乱れる場面が多く打ち込まれているようです。
 身体能力の高さは誰もが認めるところなので、ボディコントロールに成熟が見られれば突如成績が好転する可能性も秘めています。


3(81).アンドリュー・ダルクイスト(Andrew Dalquist):RHP:右投右打:6-2/170:Redondo Union HS:$2M($755.3K)
90マイル前半の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は4シーム系と2シーム系を投げ分ける。4シーム系は最速95マイルをマークし、高めに投げる時に使うがコントロールに難あり。好んで投げるのは2シームで、右打者の内角に果敢に投げ込みゴロを打たせる。70マイル台のカーブは、空振りを奪うこともできる。チェンジアップも最低限のクオリティにある。

成績

 ボーナスプールとの差額でいえば2巡目のトンプソン以上の契約金で入団しましたが、トンプソン以上に成績が伸び悩んでいます。
 元々はそれほどコントロールに苦しむタイプではありませんでしたが、フルシーズンでなげるようになった21年から2年連続でBB/9は5以上ととても先発で使える数字ではありません。その原因となっているのが4シームの多投。上記にある通り4シームをコントロールすることができていない中で、ベストピッチのカーブを活かすためにハイスピンレートの4シームを投げさせることで四球増加につながっているようです。契約金額が示す通り元のポテンシャルは高い選手のため、ある程試して見通しが立たないのであれば4シームを投げる割合をさらに減らしてもいいのかもしれません。


4(110).ジェイムズ・ベアード(James Beard):OF:右投右打:5-10/170:Loyd Star HS:$350K($527.8K)
スピードだけなら2019ドラフトでもトップレベル。すさまじいスピードの持ち主で、走塁では常に次の塁を脅かし、守備では広範囲をカバーする。このタイプにしては珍しく、守備で冒険することが少なく堅実に守っている。アームの弱さがネック。ハイレベルな投手との対戦の少なさが気になることろだが、まずまずのパワーポテンシャルを持つ。

成績

 2019ドラフト屈指のスピードスターもプロでは打撃で苦労しています。打率は21年から2年連続で1割台に落ち込んでおり、10%を大きく上回るBB%でも出塁率の底上げも頭打ちとなっています。長打wもそれほど多くなく、今年28盗塁をマークしたスピード1ツールの選手となりつつあります。


総括
 1巡目のアンドリュー・ボーンは全体1・2位の2人よりも早期のメジャー昇格を果たしましたが、成績は2人に遅れを取っています。一番の長所である出塁率と長打数が伸び悩んでいる点が痛いところで、20HRさえクリアできず2シーズンが過ぎるとは思っていませんでした。ポジティブな要素も多いだけに来年からの巻き返しに期待したいところです。
 ボーン以下のまともな契約金で入団した高校生3人も現状は厳しいです。マシュー・トンプソンはわずかながらも光明が見えていますが、アンドリュー・ダルクイストとジェームズ・ベアードはこの3年間で残した成績が悪すぎてポテンシャルがどうのこうのというレベルに達していません。上位陣に大きくボーナスプールを費やしただけにこの上位陣が総崩れとなると全滅してしまいます。


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