【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューPHI編

目ぼしい選手を5人(場合によっては4人)ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(14).ブライソン・ストット(Bryson Stott):SS/右投左打:6-3/195:UNLV:$3.9M($4.04M)
攻守でソリッドさを見せるハイフロアーなタレント。コンタクトスキルに長けており、空振りすることが少ない。その一方で、打つべきボールの見極めも上手く、四球を多く選ぶことができる。長打は多くはないが、パワーポテンシャルは高く本人の心がけ次第か?守備は飛びぬけて上手いわけではないが、SSから移動しなければならない理由はない。スピードも平均以上で盗塁も上手い。

成績

 デビューイヤーからOPSは8割台後半をマーク。大学時代と遜色ないBB/Kの数字を残し、プロでもヒッティングツールが通用することを示しました。初のフルシーズンとなった昨年もA+-AAAで112試合に出場し、16HR&OPS.876をマーク。出塁率も2シーズン連続となる.390以上と優秀な数字をマーク。また、ほぼ全ての試合でSSとして出場と期待通りの活躍でした。今年は満を持してメジャーデビューを果たすと前半戦は.188/.255/.307と苦戦しましたが、後半戦は.276/.331/.404と対応し始めチームのワールドシリーズ出場にも貢献しました。
 昨年は16HR、今年はメジャーで10HRとパワーレスなわけではないのですが、いかんせんHerdHit%は低く、ExitVelocityも平均を大きく下回っています。元々コンタクトスキルに長けたタイプであるため、メジャーレベルのピッチングに対応しようとするとどうしてもコンタクトするだけという結果になっているのかもしれません。なまじコンタクトスキルが高いため、ゾーンの外のボールも前に飛ばしてしまい打席を無駄にしてしまっている可能性もあります。マイナーの時ほどボールを選べるようになれば、好転するでしょう。
 SSの守備はそつなく守ることができており、よほどの名手が入団してこない限り留まれるでしょう。


4(120).エリック・ミラー(Erik Miller):LHP:左投左打:6-5/240:Stanford:$428.3K($478.3K)
90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で97マイルをマークすることもあるが、コンスタントに投げられるわけではない。アウトピッチのスライダーは変化量が多く、打者の空振りを誘う。チェンジアップのクオリティも高い。リリースポイントが不安定なため、コントロールに難を抱えている。スタミナ不足が懸念されている。

成績

 プロデビューイヤーはAにも到達し、11試合に登板して防御率1点台と前途洋々でしたが、中断を挟んだ21年はシーズンの大半をILで過ごすこととなりました。
 復帰した今年は主にリリーフとして登板しAA-AAAで防御率3点台とまずまずの成績を残しています。
 投げているボールのクオリティ自体は悪くないようで、チームのランキングにも名前が上がるのですが、やはり課題はコントロール。先発としては使えるレベルではないほどの四球を出しており、故障が完全に癒えたとしても全パつに再転向とはならないでしょう。依然として奪三振能力は高いため、リリーフとしてなら使いどころがあるかもしれません。


6(180).アンドリュー・シュルツ(Andrew Shultz):RHP:右投右打:6-4/195:Tennessee:$225K($272.5K)
90マイル中盤の速球と80マイル後半のスライダーのコンビネーション。速球は最速で101マイルをマーク。スピードだけでなくスピンもきいているため高めに投げて空振りを奪いやすい。スライダーもキレが抜群で空振りを誘うのにはうってつけ。テークバックを小さくしたことでコントロールは多少改善されたが、それでもかなりの頻度で四球を出す。被打率の低さの割には防御率が高くなっている。リリーフ専門だが、このコントロールの悪さを直さない限り、メジャーまで到達できないだろう。

成績

 20年のシーズン中断中にトミー・ジョン手術を受け、今年ようやく復帰となりました。A+-AAで45試合に登板と年間を通して投げ切るスタミナを見せましたが、コントロールの悪さは相変わらず。特にAAでは14.2イニングをなげ14K/14BBと三振数と同じ数ほどの四球を出す始末。手術明けでコントロールが乱れがちな時期とはいえあまりにも多い四球数なので、メジャーに昇格できずにフェードアウトする可能性もあるでしょう。


11(330).マーカス・リーサン(Marcus Lee Sang):OF:左投左打:6/200:Northern HS:$440K
身体能力の高さが魅力であるハイシーリングなタレント。打撃では大きく足を上げるスイングでハードヒットを飛ばす。タイミングが外されやすい点は懸念材料。スピードはCFを守るには十分。投手としてマウンドに上がることもあるため、アームの強さも申し分ない。

成績

 今年キャリア初となるフルシーズンを経験。A-A+で100試合以上に出場しOPS.736&11HRとまずまずの成績を残しました。身体能力先行のタイプの選手は出世は遅くなりがちで、リーサンも例外ではないですがAよりもA+での方が好成績を残しており成長の跡が見られます。GB%の高さは気になりますが、この指名順位の選手にしてはどちらかといえば順調にキャリアを歩んでいるように見えます。

総括
 1巡目のブライソン・ストットは既にメジャーに定着し、戦力としても活躍しているため成功を収めたと言えるでしょう。派手さはありませんが、年間を通して一定の成績を残すソリッドな選手として長く活躍できそうです。
 ストット以降の指名は散々たる結果。投手はまだリリーフとして使えそうな選手がちらほらといますが、野手については全滅状態。マーカス・リーサンのブレークに期待がかかりますが、メジャーに到達できれば御の字でししょう。


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