【MLBドラフト】2024ドラフトレビューTB編
上位10人の簡易レポと総括になります。
凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
1(18) セオ・ギーエン(Theo Gillen):SS:右投左打:6-2/195:Westlake HS:$4.37M($4.37M)
高評価を得ていたヒッティングツールに、オフシーズンのトレーニングで手に入れたパワーを加え評価をさらに上げた。アプローチも成熟しており、ハードヒットを打つことだけに執着しない一面も見せる。スピードとスキルはIFに留まるには問題はないが、肩の手術の影響でアームは弱く2Bが適正か。
2(58) エミリエン・ピトレ(Emilien Pitre):SS:右投左打:5-11/185:Kentucky:$1.52M($1.53M)
ラインドライブの打球を広角に散らすヒッティングがベストツール。深いカウントになっても三振に終わらず粘ることができるコンタクトスキルも有する。ローパワーの低さと角度が付きにくいスイングの軌道のため、長打数は期待できない。スキルは問題なしも、アームが弱くSSを守るにはスペックが足りない。
CBPB(66) タイラー・ベル(Tyler Bell):SS:右投左打:6-1/180:Lincoln Way East HS:-($1.26M)
守備で高い評価を得ているディフェンシブなタレント。スピードは平均的だが、アジリティが高く広いレンジをカバーできる。アームも強くどの体勢からでも速い送球ができる。打撃ではローパワーの高さを見せるが、慎重すぎるアプローチがあだとなってハードヒットを飛ばすことができていない。
3(94) ネイサン・フレウェリング(Nathan Flewelling):C:右投左打:6-2/200:St. Joseph HS:$774K($776.5K)
ハードヒットをコンスタントに飛ばすパワーポテンシャルの高さが最大の魅力。ドラフトコンバインでは110マイルを超える打球を連発し注目を集めた。守備では大柄な体格からはそうぞうできないアジリティの高さ見せブロッキングや盗塁阻止で素晴らしい動きを披露する。ヒッティングと守備面でのさらなる成長を見せればレギュラークラスに足る素材。
4(124) ネイト・ノウレス(Nate Knowles):RHP:右投右打:6/205:William & Mary:$397.5K($577.7K)
90マイル前半の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で95マイルをマーク。最速が出なくともノビのある4シームは空振りを奪える球種。小さく鋭く曲がるカッター系の速球がベストピッチで容易に空振りを奪える。タイミングを外す変化量の大きいカーブもアウトピッチに足る球種。ボールゾーンで勝負しようとするため、四球が多くなってしまっている。
5(157) ジェイコブ・マッツ(Jacob Kmatz):RHP:右投右打:6-3/210:Oklahoma State:$397.5K($418.6K)
90マイル前半の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で94マイルをマーク。ムービングもスピードも欠けているが、コマンドは優秀。縦に割れる落差のあるカーブをカウント球に使い、スライダーで仕留めるピッチングスタイル。チェンジアップのクオリティも高い。ストライクスロワーだが、ゾーン内にボールを集めすぎると手痛い一発を食らいやすい。
6(186) ジャンゼン・カイセル(Janzen Keisel):RHP:右投右打:6-4/208:Oklahoma State:$272.5K($326K)
90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で99マイルをマーク。低いアングルのリリースから投じられるノビのある4シームはゾーン内のどこでも空振りを奪える。真横に曲がるスライダーも空振りを奪える球種。全ての球種についてコントロールできておらず、非常に四球が多い。
7(216) ライアン・アンドレイド(Ryan Andrade):RHP:右投右打:6-2/175:Pittsburgh:$253K($255.5K)
90マイル前半の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で96マイルをマーク。ノビのある4シームを投じる。鋭く大きく曲がるスライダーをアウトピッチとして使う。ほぼ速球とスライダーの2球種のみで勝負する。コントロールが非常に悪く、プロではリリーフとしての起用が見込まれる。
8(246) ジェイデン・ボルカー(Jayden Voelker):RHP:右投左打:6-4/215:Northern Essex CC:$147.5K($209.8K)
90マイル中盤の速球とスライダーのコンビネーション。今年は短大で三振の山を築き注目を集めた。
9(276) ギャレット・ゲイニー(Garrett Gainey):LHP:左投左打:6-1/200:South Carolina:$97.5K($190.4K)
総括
1巡目で指名したセオ・ギーエンは肩の手術さえなければ全体15位以内で消えていてもおかしくなかったタレント。肩の状態が戻らず2Bが本職となっても問題ないほどの打力を有していることは確かで、全体18位にしてはおいしい指名となったでしょう。
TBとしては2巡目のエミリエン・ピトレでアンダースロットを作り、タイラー・ベルに浮いた分をつぎ込む予定だったと予想できますが、ピトレとの契約が思いのほか大きくなってしまいベルとの契約に失敗してしまいました。上位2人の高校生が今回の指名の目玉だっただけに、ベルとの契約失敗は大きな痛手となりました。
今回のドラフトで指名したもう1人の高校生野手のネイサン・フレウェリングは攻守ともに見どころの多い選手で時間はかかるかもしれませんが、得られるリターンは大きく見えます。
4巡目からスタートした投手の指名はレパートリーが豊富なスタータータイプか、2ピッチないしは1ピッチでごり押しするリリーフタイプにキレイに別れました。いずれも大きな戦力にはならないかもしれませんが、スポットの先発やビハインドでのリリーフといったエッセンシャルワーカーとなりそうです。
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