【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューCHC編

目ぼしい選手を5人(場合によっては4人)ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績

1(27).ライアン・ジェンセン(Ryan Jensen):RHP:右投右打:6/180:Fresno State:$2M($2.57M)
90マイル中盤の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速99マイルをマーク。これにカット気味に小さく曲がるスライダーを組み合わせ大量の三振を奪う。チェンジアップはタイミングを外すボールとして有効。コントロールも年々改善されてきている。

成績

 21年にA+-AAでフルシーズンを過ごし、防御率4.16&K/9=10.1とまずまずの成績をマーク。AFLにも選出されましたが、コントロールが乱れ失点がかさんでしまいました。昨年もコントロールの乱れは収まらず、防御率こそ前年とさほどかわりませんでしたがBB/9=5.9と四球の数がかなり多くなってしまいました。
 ドラフトイヤーはカレッジで四球が減り、この傾向が続くかと注目されましたがプロでも浮き沈みが激しく安定してストライクを稼ぐことができていません。無駄に球数がかさむため長いイニングを投げることができておらずシーズンで100イニング以上をクリアしたことがありません。
 球速は現在でも100マイル近くマークしており、2シーム系のムービングでゴロを打たせることにも成功しています。投げているボールのクオリティはハイレベルなため、無理にスターターとして長いイニングを投げるよりも短いイニングを全力で投げ切る方がよいのかもしれません。


2(64).チェイス・ストランフ(Chase Strumpf):2B:右投右打:6-1/195:UCLA:$1.05M($1.05M)
打撃ではヒッティングスキルの高さと卓越したアプローチが魅力のミドルヒッター。三振の多さが気になる。ずば抜けたツールはなく、スピード・アーム共に平凡。その分ミスの少ないソリッドさが光る。何事にも動じない冷静沈着な性格。

成績

 21年はA+では好調だったものの昇格したAAでスランプに陥り、打率.211に終わりましたが62試合で7HRと長打数を増やすと、昨年はシーズン21HRを達成しました。
 優秀なピッチセレクションとソリッドなコンタクトスキルで打率2割台後半+高出塁率をマークするタイプだと見立てていましたが、プロ3シーズン目でまさかのモデルチェンジを果たしました。ただ、昨年はK%がプロ入り後ワーストとなる33.3%をマーク。長打数増加と共にコンタクトがおろそかになり、打率も.234に留まりました。
 しかし、このモデルチェンジもあながち間違いではなく、元々FB%が高くハードヒットを狙わないと今後打率が伸び悩む可能性があったため、いっそ多少コンタクトを捨てても長打を狙った方が全体的にはプラスに傾くのかもしれません。空振りは増えましたが、BB%は依然高い水準で推移しており打率の低さの割には高出塁率は維持しています。
 守備ではスペック不足が気になりますがIFであれば平均レベルには守れるのではないでしょうか。


4(132).クリス・クラーク(Chris Clarke):RHP:右投右打:6-7/212:USC:$426.6K($426.6K)
90マイル前半の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球はシンカー系のボールで、ムービングに富みゴロを打たせやすい。ただのシンカーボーラーと違う点はアウトピッチであるカーブのクオリティの高さ。鋭く曲がるパワーカーブで三振を奪う。今年からリリーフに転向し、コントロールが改善されブレークしたがプロでは先発として投げている。高校時代にトミー・ジョン手術を受けたが、大学3年間は故障とは無縁。

成績

 プロデビューイヤーはA-で防御率1点台とロケットスタートを切りましたが、過去2シーズンはいずれも防御率4点台とスローダウン。それでも昨年はA+-AAでフルシーズンを投げ切り120.1イニングを消化するワークホースっぷりを見せました。オフにはルール5ドラフトでSEAに指名されており、メジャーデビューが濃厚です。
 大学時代に改善されたコントロールがプロ入り後最大の武器になっています。プロ入り後はBB/9は常に2.2を下回っており、四球の少なさはマイナーの中でも随一です。それほど球速がない投手が安易にゾーン内に投げ込むと被本塁打が多くなりがちですが、シンカー系の速球でゴロを打たせることで被本塁打のリスクを減らしています。
 アウトピッチのカーブもプロで通用しており、毎シーズンK/9も8以上をマークしています。年間を通してローテーションを回すことは厳しいかもしれませんが、スポットでスターターもこなすリリーフとして戦力になる


9(282).タイラー・シュラファー(Tyler Schlaffer):RHP:右投右打:6-1/180:Homewood Flossmoor HS:$250K($149.8K)
90マイル前半の速球とチェンジアップ、スライダーのコンビネーション。速球は最速で95マイルをマーク。4シーム系の速球を投げるがムービングに欠けており、フラットな軌道になりやすい。ベストピッチはチェンジアップ。どのカウントからでも投げることができ、カウントを稼ぐことも空振りを奪うこともできる。スライダーのクオリティは平凡。長いイニングを投げるスタミナに欠けており、じっくりと育成する必要がある。

成績

 プロ3シーズンでようやくA+で1試合に登板とかなりスローペースですが、着実に実力をつけてきています。昨年はAで18試合に登板。防御率を3点台にまとめ、K/9も10を越えました。
 速球のスピードはアマチュア時代と変わっていませんが、ムービングに欠ける点も相変わらずですが、2シーム系の速球も投げるようになっており工夫を凝らしているようです。チェンジアップは相変わらずハイクオリティを保っており、スライダー、カーブといったサードピッチも徐々に改善されつつあります。
 慎重に順調にステップアップしていますが、アップサイドに欠けており、これ以上の上積みを考えづらいのが悩ましいところです。


総括
 1巡目のライアン・ジェンセンは当時の懸念通りコントロールの悪さがぶり返し、リリーフに収まりそうです。リリーフに回ったとしてもコントロールの悪さが収まるかは分からず、セットアッパー/クローザーを任せるのは難しいでしょう。
 野手ではチェイス・ストランフが思わぬ形でプチブレーク。コンスタントに長打を稼げればメジャーでもそれなりに出番があるのではないでしょうか。
 クリス・クラーク、タイラー・シュラファーと好成績を残しているもののアップサイドに欠けており、現在以上のバリューを望めるかというとなかなか厳しいでしょう。ここで紹介した4人ともメジャーに昇格できてもその先が見通しづらく、複数の球団を転々とすることになりそうです。

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