【MLBドラフト】2024年MLBドラフト1~2巡目まとめ

 本日行われたMLBドラフトでは1巡目~2巡目の指名が終わりました。簡単に振り返っていきます。


全体1位~10位

左側が予想。右側が実際の結果。

 ドラフト前日になって全体1位指名はJJウェザーホルト(SS)が有力であるとの情報が出回りましたが、結局順当にトラビス・バザーナ(2B)が全体1位指名を受けることとなりました。

 もともと全体1位クラスの実力のウェザーホルトでアンダースロットを狙って、セカンドピック以降でオーバースロットの高校生を狙うというのは魅力的な戦略ではありますが、球団創設以来初となる全体1位指名権をアンダースロットのために費やすのはもったいないと感じたのでしょう。

 全体10位までで見るとサプライズだったのは、全体8位LAAのクリスチャン・ムーア(2B)の指名と全体10位WSHのシーバー・キング(3B/OF)の指名でしょう。

 LAAについては大谷翔平とマイク・トラウトの二大巨頭をポストシーズンに出場させるという命題がなくなった今、もはや早期昇格を意識する必要はないと考えていたのですが今年も大学生野手を指名。

 ここでアンダースロットを作ってセカンドピック以降でアップサイドの大きい高校生を指名するかと思いきや、この指名以降も大学生投手を2人指名しており、早期昇格のサイクルを止めるつもりはないようです。

 WSHはドラフト前日になってKCから全体39位の指名権を譲り受けており、そこでのオーバースロットを睨んでのボーナスプールの調整をするための指名かと思えば、後述しますが全体39位では再度大学生野手を指名。

 2巡目では高校生野手を指名しますが、この選手のために全体10位指名権をアンダースロットに費やしたのかと思うと少しもったいないように感じます。


全体11位~20位

左側が予想。右側が実際の結果。

 この辺りの順位ではスリップしてきたタレントも多く、スチールに成功した球団が現れ始めます。

 まずは、全体12位でブレイデン・モンゴメリー(OF)を指名したBOS。足の故障があったとはいえ、大学での成績は突出しており全体10位以内で消えると目されていたモンゴメリーをこの順位で指名できたのは幸運といえるでしょう。

 さらに、全体20位でトレイ・イェセベイジ(RHP)を指名したTOR。チェイス・バーンズ(RHP)ヘイゲン・スミス(LHP)に次ぐ実力を持つ大学生投手でしたが、流れに流れて全体20位までスリップしました。投手の1巡目指名を嫌う球団も多いとはいえ、ここまで残るのはTORでさえ予想外だったのではないかと思います。

 ここでもサプライズ指名がありました。全体16位MIAのPJモランド(OF)と全体17位MILのブレイロン・ペイン(OF)です。

 モランドはドラフトコンバインで目立った数字を残したとはいえ、ここまで指名順位を大きく上げるとは想定できませんでした。ポジションが限定されている打撃能力の高い高校生野手の1巡目指名といえばジョシュ・ネイラーを思い出しますが、MIAではそれ以来となるサプライズの1巡目指名となりました。

 上記のモランド以上のサプライズとなったのがMILのペインの指名でした。モランドは全体30位以内の指名はないとはいえ、全体31位~全体39位の間に指名されるだろうと目されていたのに対し、ペインは2巡目でも指名がないかもしれないといったタレントで今年のドラフトの中でも最大のオーバーピックとなっています。

 ついでに言えば、全体17位SEAのジュランジェロ・セインジャ(BHP)の指名もプチサプライズでしたが、2巡目の高校生投手指名の布石であることがのちに判明しています。


全体21位~30位

左側が予想。右側が実際の結果。

 この順位での最大のスチールは全体24位ATLのキャム・カミニティ(LHP)の指名でしょう。

 全体20位以内には消えると予想されることの多かった高校生No.1投手でしたが、やはり高校生投手は避けられがちということもあって全体24位まで落ちてくることになりました。ポテンシャルを買ってハイスペックな投手を1巡目で多く指名しているATLにとっては、カミニティが目の前に転がってきた状況は垂涎ものだったでしょう。

 今年はサプライズ指名が多くここでも、全体26位NYYのベン・ヘス(RHP)はそれに該当するでしょう。

 ヘスは長いイニングを投げても球速が落ちないこと、在籍する大学が所属するリーグがハイレベルであることを理由に1巡目に食い込むのではないかと予想する声もありましたが、それでも今年の大学での成績からすると今回の指名順位はサプライズと表現して差し支えないでしょう。

 各媒体が1巡目指名で消えると予想していたとはいえ、個人的にはマルコルム・ムーア(C)が全体30位で指名されたことにも驚きました。

 昨年の評価は高かったとはいえ、今年の打撃成績はあまりにも平凡。低打率に終わったのは低すぎるBABIPが原因とも指摘されていますが、大学のリーグでは守備の怪しいチームが多くその中では苦しい言い訳にしか聞こえません。ムーア自身の守備もプラスを出せるようなものではなく、それも含めて1巡目で消えるのは意外でした。


全体31位~39位

左側が予想。右側が実際の結果。

 ドラフト直前に評価を上げたライアン・ウォルシュミット(OF)を指名したARI、ファーストピックで投手を指名できなかった穴を埋めたCOLがこの順位ではいい指名をしたように見えます。

 すべての球団がセカンドピックということもあってサプライズ指名はありませんが、ファーストピックでかなりのオーバーピックを敢行したMILがここで再度アンダースロットも狙えるブレイク・バーク(1B)を指名したのは意外でした。


全体40位~74位

左側が予想。右側が実際の結果。

 2巡目以降の指名で最も目を引くのはやはり全体55位SEAのライアン・スローン(RHP)の指名。1巡目のセインジャでアンダースロットを作り、2巡目でハイシーリングな高校生投手を指名するお手本のようなドラフトとなりました。

 2巡目ではスローン以外にも高校生投手が多く指名されています。これは好成績を残した大学生投手が少ないことが影響しているのでしょう。

 他にもうまくボーナスプールを調整できたように見えるのはTB。全体58位では大学生野手をオーバーピックしてアンダースロットを作り、1巡目と全体65位でハイシーリングな高校生野手を指名しています。仮に高校生が大きなオーバースロットとなっても十分に賄えるでしょう。

 上位に指名権が固まっていたARIは大学生ではなく、高校生でアンダースロットを捻出。大学生をマイナーデプスの肥やしにするくらいなら、少ないチャンスに賭けて高校生のブレイクを待つというのも1つの戦略でしょう。


3巡目以降に残っている注目のタレント


 前述したとおり、高校生投手が多く指名された一方で大学生投手は残りが地になっています。今年好成績を残していたライアン・プレイジャー(RHP)ダニエル・イーゲン(RHP)コナー・フォーリー(RHP)、ゲイジ・ジールや逆に今年は成績を落としたもののもともと高評価を得ていたライアン・フォルクッチ(LHP)ドリュー・ビーム(RHP)ジョシュ・ハートル(LHP)サッチャー・ハード(RHP)といったタレントは例年ならば2巡目辺りで消えていてもおかしくはなかったのですが、3巡目以降に残ることとなりました。

 一方で、高校生投手も多く指名されたとはいえまだビッグネームは残っています。スペックの高さが目を引くコンラッド・ケイソン(RHP)、最速99マイルをマークするダンカン・マーステン(RHP)、安定したコントロールが目を引くダックス・ウィットニー(RHP)トーマス・バリンシウス(LHP)あたりはボーナスプールに余裕がある球団にぜひとも指名してもらいたい面子です。

 野手に目を向けてみるとパワーの1ツールのタレントが多く残されています。上位候補にギリギリ入ることができなかったダコタ・ジョーダン(OF)ゲイジ・ミラー(3B)、カーソン・デマルティニ(3B)はポジションの問題もあってか2巡目以内での指名はかないませんでした。

 ハイシーリングな高校生野手が狩りつくされた一方で、ハイフロアーな大学生野手はまだちらほら目につきます。レギュラークラスには成長しないかもしれませんが、ケビン・バゼル(C)、ジョシュ・クロダ・グロアー(SS)、コール・メッシーナ(C)あたりはチームのデプスを確実に厚くしてくれるであろう頼もしい存在です。

 明日のMLBドラフトは3巡目から10巡目までが指名される予定です。


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