【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューOAK編

目ぼしい選手を5人(場合によっては4人)ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績


1(29).ローガン・デビッドソン(Logan Davidson):SS:右投両打:6-3/185:Clemson:$2.4M($2.4M)
両打席でパワフルなスイングを見せるスラッガー。SSとしての長打力は十二分なほどであるが、コンタクトスキルに難があり、三振が非常に多い。大学で打率が1度も.300を超えていないのは危険信号か。大柄な体格のため3B転向を気にする声もあるが、肩の強さとスピードはSSを守れるレベルにある。学業も優秀で、指名されてもサインせず大学に残るのではないかという噂もあったほど。父親は元MLB選手。

成績

 21年に初となるフルシーズンをAAで過ごすも、OPS.620&7HRと低調に終わります。オフにはAFLで好成績を残し復活に期待がかかりましたが、再度AAからのスタートとなった昨年は、OPS.743&14HRと前年よりは好転しましたが相変わらず物足りない数字で終始。オフのルール5ドラフトで指名がなかったのもやむなしでしょう。
 2シーズン連続で110試合以上に出場し、しのほとんどで二遊間を守る耐久性は素晴らしいのですがいかんせん打撃成績が伸び悩み壁を破れないでいます。唯一プラスの要素を挙げるとするならば、BB%が常に10%以上あることくらいでしょう。
 SSにははるかに守備が上手いニック・アレンがレギュラーの座を掴みつつあり、他のIFポジションは19年以降に指名された有望株がひしめいておりどこに目を向けても立場がない状況です。FAとなってチームを去るであろうチャド・ピンダーのような内外野をこなせる長打力のあるユーティリティとして活路を見出すほかないでしょう。


4(134).カイル・マッキャン(Kyle McCann):C:右投左打:6-2/217:Georgia Tech:$500K($418.2K)
パワーポテンシャルの高さが最大の魅力。シーズン2桁HRは軽くクリアすることができ、30HRも夢ではない。コンタクトスキルに欠け、空振りが多くハイアベレージには期待できない。慎重なアプローチなため、四球数は一定以上稼ぐことができるだろう。守備の評価は芳しくなく、プロでもCに残るのは至難の業。将来は1Bに落ち着くというのが大方の予想である。

成績

 ほぼパワーの1ツールにもかかわらずプロ入り後2シーズン続けて2桁HRをクリアできず、期待外れで終わるかと思われましたが昨年ようやく2桁HR、さらに20HR以上もクリアし、AAAに到達しました。
 20HR以上をクリアしたとはいえ、打撃の粗さはそのままで打率はプロ入り後キャリアハイでも.234に留まっており、K%は30%を切ったことがない。極端なアッパースイングのため、当たりさえすればフェンスの向こう側へとあっという間に打球が飛んで行きますが、そもそも当たる確率が低すぎるという難点を抱えています。パワー以外では1巡目のローガン・デビッドソン同様BB%の高さが挙げられますが、そもそもの打率が低すぎるため大きなプラスにはならないでしょう。
 守備ではやはりマイナーでさえフルシーズンでCを務めたことはなく、約半数は1Bとして出場しています。これも1巡目のデビッドソン同様1BにもCにもよりメジャーに近い上位互換の選手がおり、出場機会には恵まれなさそうです。デビッドソンと違い柔軟に複数ポジションをこなすタイプでもないため近い内にキャリアの岐路に立たされるかもしれません。


7(224).ドリュー・ミラス(Drew Millas):C:右投両打:6-2/205:Missouri State:$170K($191.5K)
守備だけなら1巡目指名のシェア・ランジェリアーズにも負けないと言われるほどの能力を持つ。内野手のように滑らかに動き、キャッチング、ブロッキングをそつなくこなし、平均以上のアームと優秀なポップタイムで盗塁阻止も完璧にこなす。特にフレーミングに高い評価を得ており、守備では隙が無い。一方で、打撃ではパンチ力が魅力だが逆に言えばそれだけ。スイッチヒッターだが、左打席に集中すべきとも。故障で今シーズンはプロではプレーせず。

成績

 21年にプロデビューを果たすと、前半戦はA+でBB>Kの数字を残し高出塁率をマークすると、シーズン途中でジョシュ・ハリソンらとのトレードでWSHへと移籍しました。昨年はAAまで昇格しましたが、AAで露骨に数字が落ちてしまい、OPSは.700に届かず終わりました。
 打撃は既にシーリングが見えてしまった感がありますが、それでもAAに昇格し出場機会を得ることができるのはやはり守備によるところが大きいでしょう。ドラフト当時から守備力の高さは変わっておらず、今でも傘下どころかマイナー全体でもトップクラスの守備力を持っているようです。レギュラークラスは厳しいかもしれませんが、その守備力の高さを買われてベンチプレイヤーとしてメジャーでも活躍の場が与えられそうです。


9(284).コリン・ペルース(Colin Peluse):RHP:右投右打:6-3/230:Wake Forest:$149.3K($149.3K)
90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で95マイルをマーク。シンカー気味に動き的を絞らせない。ベストピッチはスライダー。カッターのように鋭く変化し、空振りを奪う。チェンジアップは発展途上。今年は武器であるはずのコントロールが定まらず大学では苦戦。球速の維持にも課題があるため、リリーフ転向も考えられる。高校時代にトミー・ジョン手術を受けている。

成績

 21年にA+-AAでフルシーズンを過ごしプチブレークを果たします。18試合に先発して100イニング以上を投げ、防御率も3点台前半に抑えつつイニング以上の三振を奪う質・量ともに素晴らしい活躍を見せます。昨年はさらなるステップアップが望まれましたが、AAで防御率5点台と打ち込まれると、シーズン最終戦に1試合だけ登板したAAAでも2イニング持たず7失点を喫するなど期待外れのシーズンとなりました。
 21年のプチブレークのきっかけとなったのが球速の大幅な上昇。ドラフト当時最速だった95マイルは現在では平均球速となり、現在の最速は98マイルをマークします。また、よりスピードの出やすい4シームをメインに投げるようになったことで空振りを奪いやすくなっているようです。
 今年打ち込まれることとなったのは、元来の緩いコマンドが原因だと指摘されています。プロ入り後、シーズンのBB/9が2.3以上をマークしたことはありませんがゾーン内で細かく投げ分けることができず、失点が多くなったのではないでしょうか。また、サードピッチのチェンジアップのクオリティの低さも変わってないようです。
 速球とスライダーは相変わらず高評価のままなので、いっそこの2ピッチを武器にリリーフに回してしまうというのも1つの手でしょう。


総括
 1巡目のローガン・デビッドソンはプロ3シーズンを過ごして未だにAAを卒業できず、ルール5での指名もなしと厳しい状況にあります。今年はAAAでスタートすることになるのでどこかのタイミングでメジャーに昇格することはあるかもしれませんが、上記の通り上位互換のプロスペクトがひしめいている中ですんなり定着する可能性は低いでしょう。
 以降の指名も散々たる結果で、カイル・マッキャン、コリン・ペルースとチームに残ったプロスペクトはデビッドソン同様に既に上位互換のプロスペクトがよりメジャーに近い位置につけているため使いどころが見つからないというのが現状です。
 ここで紹介した以外の選手もそれ以上に低調なキャリアを歩んでおり、今のところは大失敗の年と言えるでしょう。

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