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WITH/AFTERコロナのスポンサーシップ【実践!スポーツビジネス道場_#01】

ポッドキャスト番組「実践!スポーツビジネス道場」の文字起こし記事です。
「実践!スポーツビジネス道場」は一般社団法人スポーツビジネスアカデミ(SBA)の公式オンラインサロン「THE BASE」が毎週木曜日に配信しているポッドキャスト番組です。
スポーツビジネス界で奮闘する若手ビジネスパーソン、酒井翼さん(東京都社会人リーグ2部所属のサッカークラブ「TOKYO.CITY.FC」でスポンサー営業を担当)が日ごろの業務での葛藤や悩み、アイディアを、スポーツビジネス界の第一線で活躍し、SBA代表理事を務める荒木重雄さんに壁打ちし、成長していく様子をお届けしています。

酒井)こんにちは。TOKYO.CITY.FCの酒井翼と申します。僕はTOKYO.CITY.FCという、J1から数えて8部に相当する、東京都社会人リーグ2部に所属するチームでスポンサー営業を担当しています。

今回ですね、ご縁がありまして、SPOLABoの荒木さんに事業の悩みだったりキャリアのことだったり、様々なことに関して壁打ちをする機会をいただきました。その中で皆様にもお役に立てるような情報を荒木さんから引き出せるようにどんどん壁打ちをさせていただきながら体当たりするような覚悟で質問をぶつけ、スポーツビジネスについていろんなお話をできればと思いますのでよろしくお願いします。

荒木)はーい、よろしくお願いします。

酒井)よろしくお願いします!
今回第一回ということで、直近の僕のスポンサーセールスをやっている中でどういったところが実際課題を感じているかとか、リアルな動きの中でどんな課題があるのかとかそういったところの話からしていきたいと思います。
今回はですね、このコロナ時代においてどんな形のスポンサーシップが良いのかとか、今僕らがどんな課題を抱えているのかとか、どんなことを考えているのかというところを少しお話をさせていただいて、その中で荒木さんからきっとあたたかくも冷たくもあるフィードバックをいただければなと思います。

荒木)…(笑) 冷たくは言わないけど、厳しくはいくかもしれないね、よろしくお願いします。

酒井)よろしくお願いします(笑)
さっそくコロナ時代のスポンサーシップについて直近僕が考えていることや、課題と感じていることをお話させていただきます。
そもそも僕らTOKYO.CITY.FCが今どういうふうに去年含めて営業していたかという話も含めて…。
現状のスポンサーに関しては「渋谷からJリーグを目指す」というところを推していて、ある意味「夢」に共感してもらい、「一緒に渋谷からJリーグを目指す」という、応援といった形でスポンサードしていただいている企業さんが多かったりします。
一方でコロナ時代になって企業さんもCSR的な予算が出しづらくなっちゃったりとか、また翻ってスポンサーシップの内容どうするんだってなったときに、スポーツの価値としてリアルな場所で人が集まったり、そこで一体感を作れる・感じられるだったりというような価値がなかなか発揮がしづらいなと思っています。。
その中でどのように価値を作っていくことが正しいというか、良いのかなという風にはすごく思っていて。
例えばSPOLABoさんの中でスポンサー営業されたりとか、いろんな企業・スポーツチームの方からもお話されたりすると思うんですが、どういうふうに価値を作っていくのがいいのか荒木さんの中で答えというかアイディアってあったりされますか?

荒木)そもそもスポーツビジネスっていうのが価値をお金に換えるビジネスなので、スポーツというのはある意味スポーツビジネスの立場からしたらスポーツは手段。今の話しを聞いていて、コロナ時代とかwithコロナ・afterコロナとか言っているけど、価値の作り方の本質的な部分が変わっているわけでは全然ないのよ。
そもそも論で今までCSRで夢を追っていたけど、企業が大変な状況だからそこからお金が取れないっていうのは、昔ながらの過去のうまくいかなかった企業スポーツ、つまり高度成長の時代にはお金がたくさんあったから企業はスポーツチームを持っていたけど、グローバル社会になってボーダレス社会になって競争が激しくなってバブルが崩壊して企業は苦しくなったからスポーツチームを持てなくなりました、というモデルとほとんど同じことをやっているというように聞こえて…。
これだけ世の中変わってスポーツのビジネスの本質的な価値が語られる中で今の話しを聞いていると、「やばい、withコロナになってCSRの予算は取れないから価値の作り方は難しい」みたいなそうゆうタッチに聞こえたよね。多分そうゆう思考だとうまくいかない気がしたな。

酒井)はい、ありがとうございます。
正にそこはおっしゃる通りだなと思っていて、去年はこの形で続けていった中で今年はそこから予算もより増えて追っていかなければいけないという、僕らの都合ではありますけど、やはりありまして。。
ただ単にCSR的な感じだけではなく、そこにプラスアルファで僕らのできることと企業さんが求めている物を考えた時に、従業員満足度を向上するようなイベントだったり、あるいは僕らの選手・スタッフが出ていったりだとか、CSRというより社内の活性化をしていくというところで、いろんな会社に対しても価値を提供していきやすくなるのかなと思っていたんです。
とはいえリアルのイベントも難しくなってしまいまったので、現在トライをしているのがサッカークラブ運営から培ってきたスキルだったり、メンバー個人が持っているアセットだったりを使って企業さん向けにマーケティング支援ができないかなと思っているんです。
具体的に言うと僕らが割と若いメンバー中心なので、若い人達を対象としたマーケティングの活動だったり、いろんな企画を作ったりやってきたりしたのでそれをそのまま企業さんに応用して、若い人たちに対してアプローチできるかなと。商品だったりサービスだったりを持っているような企業に対して僕らのチームはもちろんですし、ノウハウとかを使って支援ができないかというのを今トライをしているところです。しかしなかなか正直契約までは至っていなくて…。それが正しいか正しくないかは置いといて、まずはトライをしてみるというところは正しいのかなと思っています。
もっと他のやり方もあるんじゃないかなと思っていたので、その中で荒木さんの知見や考え方をお伺いできればなと思っていました。

荒木)今言ったとおりだと思うんだけどそれを構造的に理解していくとわかりやすい話かなと聞いていて思った。
Jリーグの上から数えて8つ目でしょ?J8ってことでしょ、背景が。そのJ8の価値って、「プロサッカークラブ」ではないわけ。その中でサッカーの興行的な価値、いわゆる露出興行あるいはメディアを通じた価値っていうのはそもそもまだ持ってないじゃない。
今言っていたのは培った資産を使ってイベントやったり云々って話だけどまさにある面で言ったら正しくて、イベント屋さんじゃんいい意味で。今J8のクラブの中で本丸のスポーツ自体で収益があげられないのは当たり前の話でその中でどう凌いで強いチームを作っていくかというと、そもそものビジネス構造ってスポーツを主語にしちゃいけないと思うのね、スポーツそのものでは稼げないから。
だけどそういう資産を持っているからイベントで稼げたけど、今はイベントができないんでっていう話だと、例えばその時点で本来TOKYO.CITY.FCとしてちゃんと大きなビジョンを持ってやるためには、そこまで稼いでクラブのお金をちゃんと入れて強化に使えるようなことにするための手段としてしっかりとした事業にしていくとするとスポーツクラブチームではなく、今言ったイベント会社かもしれないし、場合によってはメディア、ネットを中心としたデジタルメディア事業会社、クリエイティブ、セールスプロモーション、健康促進や健康増進を提供するサービス会社、渋谷という地を活かした音楽・エンタメをマネジメントするもしくは支援する会社かもしれないし…、そうゆうことで自分たちの持っているアセットを使って。
いずれにしてもスポーツチームに必要な大きなアセットになるわけですよ。(クラブチームにとっても)メディアの力とかクリエイティブ、セールス、健康、音楽エンタメの力とかいずれ必要なわけだよね。その領域って、必ずしもJ1だからすごいってことは無い。全てサービスの話であって人の話になる。個の話をしているから。極論いうと無茶苦茶とがっている実力のあるクリエーターがポンと入ったとしたら場合によってはJ1のクリエイティブよりJ8のTOKYO.CITY.FCの方がクリエイティブ能力があるということになる。というように個の力を活かしてそれがメディア会社になるのかクリエイティブ・イベント・健康なんちゃらサービスの会社になるのかというと、J8もJ1も関係ない。その領域においてのスペシャリティがね。そうゆうものが今ここまでやって築いて培ったアセット、個人で言うとエンプロイアビリティというけど、会社としての領域においての価値というのはクラブで培ったとかはどうでもよくて市場の中でその領域で勝負できますか?ということを自問自答し、それがもし受け入れられるのであればJ8とかJ1とかクラブとか会社とかというものではなくてそれは一つの事業として成立する。
結果としてメディア事業会社がクラブやってるとか、クリエイティブ会社がクラブやってるとか、そこから独立して自らスポーツ競技団体自身として稼げるようになったら分離していくとか、リアリティで考えるときにはそうゆう所を目指さない限りは夢だけではとてもじゃないけどやっていけないような気がするけどなあ。
ちなみにJに上がるまで何年計画でやってるんですか?

酒井)5年計画ですね。

荒木)5年を夢だけでは凌げないでしょ?ということはその中で培った仲間も増やしながら優秀な人材をうまく連携させながら力をつけて、力をつけていく作業そのものが実はクラブが上に上がっていくときに、より強いクラブのマーケティング力を高めるということに紐づいているから。例えば芸人が苦労していろんなアルバイトしながらステージに立ってというのも経験の血肉になるという意味では同じかもしれないけど、より一つのフローになっているというか一つ一つのスペシャリティがクラブの将来的なエンジンとして資産として残っていくアプローチの中に事業戦略を作っていくということが大事な気がするけどなあ。
今の冒頭の話しだと、自分が全て主語になっちゃっていて、ステークホルダーを俯瞰した中でいろんな形で価値を共に作るといった発想を提供するということだけではなくてね、共に作るという発想も含めてもう少し違う角度で物を見るということが大事な気がしたかな。

酒井)ありがとうございます。まさに今おっしゃっていただいたところの話はクラブの中でも話しているところでもあって、その中で意見が分かれているというか、ポイントになっているのがサッカークラブだからみたいなところをどこまで押し出すというか、使うのがいいかというところです。理想としては非スポーツ領域の事業を作って、それがそのままサッカーチームの価値向上にもつながるし、逆にサッカーチームをやっていることがそっちの事業の価値向上にも繋がるみたいな双方向の相乗効果が出せるというのが一番いいのかなと僕らの中で思っています。

荒木)たださ、デザイン会社一つとっても会社を作るときに絶対やっていかないといけないのは、圧倒的に誰がどう見てもTOKYO.CITY.FCのすべてのクリエイティブかっこいいよねということ。ブランドがもしできたとしたら、それって世のなかにごまんとあるデザイン会社と一つ差別化ができていると思うんだよね。その時にクライアントがサッカーが好きだったりスポーツが好きだったりという人が見た時に、普通に競争するよりは競争力があるということは言えるかもしれないよね。
そのためにいろんなカテゴリーの中で、自分たちのクラブで実践することによっていいサンプルになる。魅せられるコンテンツを持っているということは一つメリットではあると思うので、それをどう使うかというところだよね。

酒井)ありがとうございます。

≪第1話 終わり≫

■登場人物
➤荒木 重雄 Shigeo ARAKI

一般社団法人スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事。
株式会社SPOLABo、株式会社スポカレ代表取締役。2005年に千葉ロッテ球団の執行役員・事業本部長、パシフィックリーグマーケティングの取締役執行役員を歴任。日本サッカー協会(JFA)の広報委員をはじめ、官公庁のスポーツ関連プロジェクトなどにも多数参画。
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➤酒井 翼 Tsubasa SAKAI
J1から数えて8部に相当する、東京都社会人リーグ2部に所属するサッカークラブ「TOKYO CITY F.C.」にてスポンサー営業などを担当。
スポーツクラブで働きながら、1000万円プレイヤーになることを目指し、日々奮闘中。
TOKYO CITY F.C. 公式サイトはコチラ

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日米英に拠点を置き、スポーツビジネス界の第一線で活躍する理事4人が世界の最新スポーツビジネストピックスを発信する「理事会」や、スポーツビジネスの各専門分野に長けたゲストをお招きし、担当理事とのトークディスカッションをお届けする「サロン」など、スポビズパーソン注目のコンテンツを定期的に発信しています。昨今のコロナ禍を経て、オンラインでのコンテンツを強化し、直近のサロンはほぼアーカイブにて配信中!(いつでも何度でもご視聴可能!)
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