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8月見聞録 【映像編】 -2019-

もう9月も半分以上がすぎてしまいましたね。
堕落した3連休を送ってしまったので(笑)、ここで8月の記録を。

『宇宙を駆けるよだか』(Netflix)

ジャニーズWESTの重岡大毅と神山智洋がW主演を張るNetflixオリジナルドラマ。

明るくて容姿端麗、順風満帆な高校生活を送っている小日向あゆみ(清原果耶)。物語は、彼女が彼氏のしろちゃんこと水本公史郎(神山智洋)とのデートの待ち合わせ場所で、容姿に恵まれない同級生・海根然子(富田望生)と身体が入れ替わってしまうところからはじまる。入れ替わったことで海根然子の「生きづらさ」を知っていくあゆみだったが--。

『人間は、外見か、中身か』というテーマに迫っているようで、結局「ブスは心の持ちようでどうにかしろ」という、ブス側にしてみればなんとも救いようのないラストに、「漫画の原作者も製作陣も、だれも本気で外見を罵られたことがないんだろうなぁ(遠い目)」という感想でした。おーい、ブスは生きているだけで、何もしていなくても罵られるんだよ。そんなことを心の持ちようでどうにかしろなんて無理ゲーでしょ。うう、つらい、、、(このつらさを消化したいあなたは、漫画・『もしくはルーズソックス』収録の「それではみなさん良い旅を」をぜひ読んでください)。

推しの重岡大毅くんは、あゆみとしろちゃんの幼馴染役の火賀俊平を熱演。『溺れるナイフ』に引き続き、またまた最高の当て馬役。「イイヤツ」が似合うんだよなぁ。笑顔がキラキラしていて、言葉が直球で、瞳がブレないからなんだろうな。

ちなみに、現在放送中のドラマ『これは経費で落ちません!』で山田太陽(最高)役を射止めた彼ですが、それはなんと『よだか』を観た主演の多部未華子さんが推薦してくれたかららしい。ええっ、多部ちゃん最高ですか、、、! 山田太陽を演じる重岡くんが観られて、私はしあわせです。多部さま未華子さま、あなたの家の方向に足を向けて寝れません、、、 とってもありがとうございました。


『アイアンマン』(Netflix)

ヒーローものにはこれまであまり興味がなかったのですが、トムホ推しの友人から勧められた『スパイダーマン・ホームカミング』が思ったよりハマったので、こちらも視聴。結論から申し上げますと、「ハイパーかっこよかった」です。

何がかっこよかったかというと。
① 権力のある立場に奢らない
主人公のトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr)は、巨大軍事企業『スターク・インダストリー社』の社長でありながら、自社製品の多くがテロリストの手に渡っていると知ると猛省。軍需産業からの撤退を目指す。
(それまでは金に酒に女に、割と派手な生活を送っていたことで有名だったんだけれど)
② 自らの手で「ヒーロー」をつくりあげていく 
アイアンマンを形づくる「パワードスーツ」。最初は捕虜されたテロ組織からの脱出のために製作したのですが、その後、テロ組織と戦うためにスーツを何段階にも改良していく。偶然ヒーロー的な力を手に入れるのではなく、自らの知識をフル活用してヒーローを「手づくり」していく姿にグッときちゃいました(MITを首席で卒業しているのでめちゃくちゃ頭が良いのです、、、)。
③ とにかく色気がヤバイ
トニー・スタークがとにかく色気溢れる男でたまらない。女遊びの激しいやり手社長なのでそりゃそうだよね。女性を口説くシーンでは、一緒に観ていた友人と「ぎゃー!」「やったー!」と(謎の)黄色い歓声をあげていました。そのくせ、本気の恋となるとちょっと奥手になっちゃうのです。かわいい、、、


『君に届け』(Netflix)

いや、差が激しすぎるだろう、と思うのだけれど、アイアンマン後にこれを観ました。アイアンマンを観終えたあとにNetflixを触っていたら、友人のひとりが「これ観たい!」と言い出したため。これ、9年前の作品だそうで。びっくりだわ、、、

私も友人たちも原作漫画を読んでいたので、「え? なんか風早くん漫画と性格違わない?」、「けど、三浦春馬はびっくりするほどお顔がうつくしいね」などと言いながら観ていた。ギャルの夏菜(やのちん)とヤンキーの蓮佛美沙子(ちづ)が新鮮でした。

多部ちゃんと三浦春馬は、もうすぐ公開の映画・『アイネクライネナハトムジーク』でも主演だそうで。監督が今泉力哉なので絶対観に行きます。


『ミッドナイト・イン・パリ』(Netflix)

そうでした、アイアンマン→君に届けのあと、帰宅してひとりで観たのでした。

1920年代のパリに憧れを抱く主人公のギル・ペンダー(オーウェン・ウィルソン)がタイムスリップを繰り返し、フィッツジェラルド夫妻、ヘミングウェイ、ピカソなどの心酔するアーティストたちと交流する日々を描く。

主人公が卑屈すぎて最後まで好きになれなかったけれど(笑)、写真集や絵本からそのまま飛び出してきたみたいなパリの街並みがきれいで、かなり見入ってしまう。過去にタイムスリップして、偉人の生きていた頃に居合わせるのもなんともロマンチック。疲れて非日常を感じたいときに(けれど主人公の卑屈さは我慢できる心の余裕があるときに(笑))観たい1本。


リラックマとカオルさん(Netflix)

「や〜ん、リラックマ、かわいい〜! 仕事で疲れた心を癒してもらお〜!」と思いながら見ると痛い目を見る。主人公のアラサーOL・カオルさんにちょいちょい自分を見出してしまい、胸がズキンとするから。だってカオルさんって、真面目で気い遣いだから人に思っていることを言えなくて、結果自分が損するみたいな人なんだもん。そんでちょっとこじらせてるんだもん。やめて。アラサーOLにその設定はリアルすぎて切ないから、やめて。

大学の同級生たち数人と花見に行く予定が、ドタキャンを繰り返され結局ひとりになったり、宅配業者の男性に惚れちゃって通販で商品を買いまくり、とんでもない額の請求書がきちゃったり。いまのところされたことないし、やる予定もないことだけれど、「うわぁ、今後あるかもしれない」と思ってしまう。

でもいいよなぁ、カオルさんにはリラックマと、コリラックマと、キイロイトリがいるんだから。私にはいないからなぁ、とうらやましい目で観てしまうのであった。ストップモーションアニメだから温かみがあって沁みる。多部未華子さん演じるカオルさんの声がかわいくてキュンとする。


ホット・サマー・ナイツ

ティモシー・シャラメ主演。90年代の避暑地・ケープコッドを舞台に、甘く苦く危ういひと夏を描く。

父親を亡くした喪失感と、「気分転換に」と送り込まれた避暑地で、どこにも属せず浮いてしまっている自分への居心地の悪さを持て余しているダニエル(ティモシー・シャラメ)。地元では「超ワル」で有名なハンター・ストロベリー(アレックス・ロー)と意外にも意気投合、大麻のディーラーとして稼いでいたハンターに頼み込み、ダニエルも共に大麻を売りさばきはじめる。予想外にビジネスはうまく回るが、勢いづいたダニエルに、ハンターは危機感を覚える。

同じ頃、偶然出会った街一番の美少女・マッケイラに心惹かれるダニエル。しかしなんと、彼女の兄はハンターだった。「大切な妹には絶対に手を出すな」。彼に凄まれて了解しても、抑えきれない恋心に歯止めが効かず、ついにはハンターに隠れて付き合いはじめる。

「ウワー! もうやめといた方がいいよ! 痛い目見るよ!」というポイントを、ダニエルがすべて踏んでいくので、映画館の座席の上で私はずっと胃を痛めていた。父を失ってできた心の穴を、彼は大麻の売買やマッケイラとの逢瀬で埋めようとしていたのはわかるけれど。

ハンター役のアレックス・ローがめちゃめちゃ色気があって最高でした。ハンターを演じている時の彼の瞳が狂気に満ち満ちていて本当にこわかった。なのになんか、あの危うさに惹かれてしまうんだよなぁ、、、

ティモシーは相変わらず、破滅的な役でもずっと輝いているのですごいと思った。でも私はそろそろ、穏やかに彼を見つめたいよ。


永遠に僕のもの

1971年、ブエノスアイレスで殺人と強盗の罪で逮捕された少年がいた。ブロンドの巻き毛に大きな瞳、ぷっくり艶やかな唇、つるりとした白い肌-その少年の天使のような容貌に、世界は衝撃を受けた。アルゼンチンでは知らない者はいない実在の人物をモデルに描かれた官能的エンターテインメント。

主人公のカルリートスを演じるロレンソ・フェロ、この映画に出演するために生まれてきたのかと思うくらいぴったりだった。キュートなベビーフェイスに倦怠感を漂わせ、例えようのない色気を放出しまくっていた。

カルリートスは息をするように華麗に、ものを盗んだり人を殺したりする。果実のようにぷるりとした赤い唇に、たばこをくわえながら。どんなに非道なことをしても、表情は一切変わらない。犯罪チームの相方・ラモン(高校の同級生)やその父・ホセが危機感を訴えてもお構いなしである。

画という画が本当にうつくしくて、画面に目を奪われっぱなしだった。公開日が同日でどちらも主人公が美少年なので、『ホットサマーナイツ』と共同キャンペーンを打っていた本作だけれど、狂気の狭間におかしみがあったり、ストーリーのテンポが小気味よかったりして、ホットサマーでは胃を痛めていた私もちょっと笑いながら観ていた。とてもおもしろかった。

そうそう、ホットサマーとの共通点がもうひとつ。それはベビーフェイスな美少年と色気ダダ漏れの少年がタッグを組むところだ。本作のラモンは本当に高校生かよ?と思うくらいダンディで、彼を演じるチノ・ダリンの将来がたのしみ。これ以上ってあるの?

ちなみに実在のモデルは終身刑で未だ刑務所の中にいるという。


13の理由 Season3(Netflix)

超話題作のNetflixオリジナルドラマ。待ちに待ったSeason3の公開が、8月下旬にスタート。Season1では、自殺した主人公・クレイ(ディラン・ミネット)の同級生のハンナ(キャサリン・ラングフォード)が残したテープの謎を追って自殺の真相に迫り、Season2ではハンナの死後に行われた裁判の様子と生徒たちの葛藤を描いた。そして、Season3では、「なぜハンナは死ななければならなかったのか」を、彼女の周辺のキャラクター、特に「有害な男性性」に囚われている男子生徒たちを中心に掘り下げることによって、物語に深みと説得力を与えた。

この感想がすべてです。

「男は強くあるべき」にはじまるマッチョイズム、それを誇示し合わなければいけないホモソーシャル自体に、男の子たちがどれだけ苦しめられているかというのは、男子本人たちもあまり気づいていないのだと思います。弱みを見せてはいけない(人前で泣いてはいけない、助けを求めてはいけない)、自分が強いということを仲間に誇示し続けなければならない、女のような男になってはいけない(同性愛者になってはならないも含む)などなど。外れられないレールの、なんと多いこと。

最近は「ジェンダーレス男子」という、性別の枠に囚われない男の子たちも台頭してきたけれど、まだまだ少数派だし、彼らに顔をしかめる大人の男性も多いでしょう。それは彼らが「マッチョイズムの規範」からかけ離れているから。

13の理由がすごいのは、リバティ高校の様々な問題が起こってしまった理由を、社会背景と照らし合わせて掘り下げ、そこまでをも描き切るところにある。ここまでつくり込まれたストーリーだからこそ、様々な人が議論をし合うきっかけになりうるのだろう。

ここまでの重いテーマだけれど、どのシーズンも「謎が謎を呼び、真相に迫っていく」という構成だから、先が気になって次々と話数を重ねていってしまう。社会派なストーリーとエンタメがここまで絡みあえるんだなぁ、と毎シーズン感嘆する。

最後にひとこと。
Season4、早よ〜〜〜〜〜〜〜!(待てない)


最後まで読んでくれて、ありがとうございます!